コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
【第二話 おかしい】
「兄弟、兄なの?」
「そうだよ。歳結構離れてる。」
おかしい。写真は、絶対に男と女だ。あの妹らしき人は、絶対に女だ。でも、疑問に思っても、勝手に写真を見たと言ったら、部屋を勝手に漁っていたと思われそうだ。だから、何も言わなかった。紫苑が女、な訳がない。
「…ちょっと、今日、帰るね。」
「う、うん。気をつけてね?」
紫苑は美咲の頬にキスをした。朝美は笑った。笑うしか、なかった。
「…うん。気をつけて帰るね。」
ガチャ、と扉を開く。モヤモヤする。あの写真をもう一度見たい。そして、紫苑の嘘について知りたい。兄は本当にいるのか、本当の兄弟は妹なのか。それとも、紫苑が…
女の子、なのか。
それはない。もしかしたら、あの写真に兄が映らなかっただけかも知れない、と。確率は大いにある。逆に、それしかないと思った。自己解決をしてスッキリした美咲は、家へ帰ろうと足を動かしていた。
「ねぇ、ミサキぃ?」
…同級生のいじめっ子、「田中ココミ」だ。イチゴミルクを飲みながら、ハハハと笑っている。美咲が大嫌いな人間である。
「な、何」
「今さぁ、紫苑君の家に行ってたよね?やめてくれない?キモいんだけど。紫苑君と合ってないよ。ミサキ。つりあってない。私が一番合ってる。4ね、ブス。」
美咲の頭に、持っていたイチゴミルクをぶっかける。美咲はココミの足を軽く蹴り、家に帰ろうと走りだす。
「はははっ!!雑魚乙www紫苑君は私のモノなんだから、一生近づくなカス!!」
美咲は走りながら、イチゴミルクをハンカチで拭き取る。お風呂に入るの、面倒くさいなぁ。と思いながら、真顔で帰宅した。