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確かに先生の言ったとおりだった。
いきなり急な登りになった。
最初は水がない沢を、えっちらおっちら登っていく感じ。
栗原さんは小さい分、1つ1つの段差を登るのが大変そうだ。
足のリーチを目いっぱい使っているように見える。
そんなハードな登り、15分少々。
「お疲れ様でした。本日一番ハードな部分終了です。まだ登りも下りもあるけれど、今よりはきつくないから大丈夫です」
でも栗原さんの目が、ちょっと死んでいるような。
僕も何気に結構疲れた。
服も汗びっしょりだ。
「そんな訳で一時休憩だ。ということでチョコ」
先輩からチョコの配給。
これが結構、疲れに染み渡るように効くのが不思議だ。
「チョコは美味しいけれど、しんどいです」
ほんの少し、栗原さんが生き返った。
「まだ甘いぞ。私の経験からして一番しんどいのは最後の最後の坂だ。別名が『心臓破りのコンクリ坂』」
出る前も似たような事を言っていたな。
「何ですかそれ」
「行けばわかる」
先輩の目がニヤニヤしている。
僕はペットボトルに直接口をつけて飲みながら、ふと気づいた。
「何なら栗原さんのザックの水、僕が持とうか」
「まだ大丈夫です。でもありがとう」
一方、竹川さんの方はまだまだ元気な感じだ。
多分、身長というか足の長さの違いだと思う。
同じ段差を登るのでも、足の長さで角度がだいぶ変わる。
栗原さんはもう、目いっぱいで登っている感じ。
他の人はそれと比べると、だいぶ余裕がある。
10分位、くたっと休憩した後。
「さて。ちょっと辛いかもしれないけれど、また行きますよ。あまり止まっていると、筋肉が冷えて動きにくくなってしまいますから」
「もう大丈夫です」
栗原さんが自分のザックを引き寄せる。
「ならいくぞ」
先輩が宣言。
再び歩き始める。
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