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その日、結江は授業が早く終わったため、小松田と共に掃き掃除をしていた。結江は小松田を信用しているのか、授業が終わると小松田の手伝いをしてから小袖に着替えて町へ行く、という生活をしているのである。
「これで終わりかなぁ〜」
小松田の声に結江は、こくり、と頷いて、小松田の後ろを追い、小松田の方に頭を下げる。
小松田は、フフ、と笑い彼女の頭を優しく撫でた。
結江は小松田に懐いている。
理由は小松田には分からない。
妹、みたいだなぁ、なんて思いながら頭を撫でていると、学園の門をトントン、と叩く音が聞こえた。
「結江ちゃん、少し待っててね。」
小松田が結江の頭から手を離すと、結江は不服そうに、小さく、はい、と答えて小松田の向かう門へと向かう。
小松田が門を開けた瞬間、結江の知らない男がしゅん、と小松田の後ろに降り立った。足音を立てずに、結江はすぐさま懐から苦無を出し、その男の首元に苦無を突きつけた。
「動くな、動いたら、殺す。」
結江はすぐにわかった。
この男も忍者だと。自分より実力があるだろう。しかし、気配を消すのは結江の方が美味かったようだ。
「いや、私は、」
「動くな、と言ったが?どこの忍びだ?」
殺意が精錬されている、本当にくノ一か、と思うほどの実力を感じた男は冷や汗を流す。
結江は自分が兄、のように慕う小松田に害なすものと結論漬けてしまったようで苦無を一向にひこうとしない。
「あ!ダメだよ!結江ちゃん、」
「?なぜです?お兄ちゃんを、殺そうとしてたから、殺してやろうと、思って、」
「彼は、利吉さん!山田先生のご子息だよ!」
結江はやっと殺意をしまい、利吉、と呼ばれた男にその場で土下座をした。
「申し訳ございません、まさか、山田先生のご子息だと知らず、とんだ無礼をお許しください。」
「いや、いいんだ。こちらこそ、悪かったね。」
だから、土下座はやめてくれないか、と利吉に言われ、彼女は渋々、土下座をやめ、顔を上げた。
恐ろしく整った顔の男だな、と結江はそう思った。今、くノ一の後輩達がここを通ったらこの人のふぁんがすごいことになりそうだな、と他人事に考えた。
一方の利吉は目を奪われた。
顔を見るまで分からなかったが、彼女は自分の母親と同じくらい顔が整っていて、少し幼さのある彼女に心奪われていた。目はぱっちりと薄い桜がかっていて、頬も薄いピンク色に色ずいている。
自分の母親以外にここまで顔が整っている女の子を見たことがなかった。
_____
「あ!結江ちゃん、用事が」
小松田に言われた、結江はあ、という表情をしてから小松田の持つ出門表にサインをした。
結江は忍び装束を掴み、一瞬で小袖に着替えた。
「お兄ちゃん、山田さん、失礼します。」
そんな彼女に小松田は、笑顔で、行ってらっしゃい、と言うと彼女は薄く笑みを浮かべて、行ってきます、と答えた。
「あ、嗚呼。」
利吉は素っ気なく、そう返してしまった。
彼女は利吉の方には表情を戻し、頭を下げて忍術学園から出ていった。
「小松田くんの妹なのかい?」
利吉はやっと小松田に質問すると、小松田は首を横に振る。
「違いますよぅ。そうだったら嬉しいですけど〜。四ノ宮結江ちゃんはくノ一教室の最上級生の女の子なんです!」
ニコニコと小松田は答える。
どうやら、本当の妹では無いようだ。
胸の中のモヤが残るが。
「あ!利吉さんは山田先生にご用事が?」
そうだ、父親に聞けば彼女のことを知れるかもしれない。
「嗚呼、父上に用があってね。」
そう言って利吉は自分の父親がいるであろう、職員室へ向かって歩みを進めた。
職員室に入ると、自分が兄と慕う土井半助と父親がタイミングよくいた。
「お、利吉か。」
「やぁ、利吉くん、久しぶりだね。」
「お久しぶりです。父上、土井先生。」
_____
「はぁ!?四ノ宮結江のことを教えて欲しい!?」
まさか、自分の息子から女の子のまさか、自分の教え子(分からないところをすぐに聞いてくれるから)の名前が出ると思わなかった山田伝蔵は冷や汗を流す。
確かに、四ノ宮はあの男女混合実技大会で5年と4年に気になっている様子の生徒が多い。チラリ、と土井半助の方を見ると彼も少し心配そうな表情をしていた。
そういえば、半助も彼女のことを気にかけていたな、と頭によぎる。
それにしても、四ノ宮結江か。
四ノ宮は確かに、くノ一として優秀すぎる人材だ。わずか4年で5年生を制圧し一瞬でリーダーを見抜く観察眼、武器を落とされても申し分ない体術や武器の扱い方、くノ一になるために生まれてきた、と言われても否定はできない。しかし、彼女は休日出かけたきり、帰ってこないこともしばしば、遊んでいる訳では無いようで無表情をさらに無表情にしたような顔で帰ってくる。
半助によれば、天涯孤独の身だとか……。
「父上?」
最近、彼女の同室が卒業した。
寂しいか、と聞いた時、泣きながら寂しいと言った彼女の顔は今でも思い出せる。
もし、彼女と利吉が一緒になれば、母さんも喜ぶのでは?
「わかった。彼女の方にも利吉について私と半助で話をしておこう。」
「!ありがとうございます!父上!土井先生!」
利吉は嬉しそうに笑った。
その後、あ、という表情をしてから利吉は話し始めた。
「じ、実はかくかくしかじかで、」
将棋のパペットと鹿のパペットをはめて、ぴょこぴょこと動かしながら、利吉はいった。
は?
「利吉、まさか、背後を取られたのか!?」
「あの利吉くんが!?」
彼女がそこまで暗部としての才能を発揮するとは思わなんだ。
「あ、後。」
彼女は小松田くんを兄のように慕っているようで……。
「はぁ!?」
何故!?
むしろ、苦手ぐらいなのか、と思っていた身にとって驚くのは無理はない。
「いや、確か、」
土井半助が重い口を開いた。
「半助、知ってるのか?」
ええ、と返事をした土井は話し始めた。
「火薬委員会の久々知兵助が彼女と話す機会があったようでそれについて聞いた、と言っていて。」
「何故!大事なことを言ってくださらないんですか!?土井先生!!」
たはは、と笑う土井に利吉が素早く突っ込んだ。
気を取り直して、と土井は続けて話した。
「見つけてくれたから、だそうだ。」
自分たちにとっては単純な言葉に彼女は相当嬉しかったようで、いつも無表情なのにそれを話す時は薄く笑みを浮かべていたそうだ。
「まぁ、小松田くんはなんで懐かれたかわかっていない様子だったそうだけど。」
小松田らしい。
だから、彼女は安心して小松田の傍に居たがるのだろう。何も聞かないで隣に座ってくれる存在が小松田だから兄、と慕っているのだろう。
「この前、小松田くんの兄上が来たことがあってね。小松田くんが彼女のことを紹介したんだけど彼女、小松田くんの兄上には挨拶してすぐにその場を去ってしまったんだって。」
彼女は小松田から兄がいる、と言うのは聞いていたようで遠慮したみたいだ。小松田の兄が帰ったあとはずっと小松田の後ろについて歩くようになった。
「彼女、遠慮しいなんですね。」
利吉がそうポツリと零すと、山田伝蔵と土井半助は苦笑いをした。
「それも私達が気にしている1つなんだ。」
利吉は首を傾げて、どういうことです?と質問をした。
「今回、四ノ宮の同室が卒業してからさらに遠慮しがちになっている。このままだと、」
四ノ宮は潰れる。
利吉はその言葉に目を見開いた。
忍びにおいて大切なのは、三禁(色・酒・侮る)を破らないことだ。彼女はそれを護り、くノ一としての才能を見出した。
「四ノ宮は確かに素晴らしい才能を持っている。
だが、人に遠慮して頼らないというのはあまり良いとは言えない。」
相棒を作るのなら、尚更良くない。
その役割をになっていたのは、同室の存在。
自分は、彼女に頼らる程の人間になれるのだろうか。利吉はそう考えざる追えなかった。
外からカラスの鳴き声が聞こえる。
彼女はもう、帰ってきたのだろうか。