テラーノベル
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⚠️意味不明なところがあるかもしれません。申し訳ございません。
意味もなく、1人になりたい時とかありますよねー
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結江は、忍術学園へ帰る前に小川に来ていた。なんとなくだった。小松田には出門表を書いたし門限までまだ時間がある。
腰を下ろして、小川を見つめる。
嗚呼、昔、弟と一緒に魚を取りに行ったな、なんて思いながら彼女は静かに流れる小川をじっと見ていた。
「お爺様は、わかっていたのかな、」
私がこうなること。
ゆえの周りには山賊がか細い息を漏らしている。
先程、襲われそうになったから気絶させたのである。山賊は恨めしそうに彼女を見て、「……バ……化け物が……」と漏らす。
「そうですね、私は化け物でしょう。」
彼女はそう同意して、化け物、と罵った山賊のひとりをじっと見つめる。
綺麗な顔をして、大の男3人を地に伏せているくせになんでそんなに泣きそうな顔をしているのかが分からない。
「お兄さん達には兄弟がいますか?」
彼女の問いに山賊は答えなかった。
いや、答えられなかった。理由は彼女の気迫にやられたからだ。
彼女は、山賊の方に目を向ける。
「私にはいましたよ。目に入れても痛くないってほどの可愛い可愛い弟が。」
彼女はゆっくりと山賊から目を逸らし、夕日に当たってキラキラと反射する小川を見る。
「私のことを、姉ちゃん、姉ちゃんと呼んで後ろを着いてきて」
「あの日、なんで家にいれなかったんだろう
あの日、なんで私別のところにいたんだろう
あの日、なんで私じゃなかったんだろう。」
彼女はそう言いながら、ゆっくりと立ち上がり、買っていたのか、団子を山賊に渡す。
「なんの……つもりだ……」
山賊の言葉に、彼女は微笑んで答えた。
「迷惑料ですよ。」
それでは、とその場を後にする彼女は今にも夕日に飲まれてしまいそうで、消えてしまいそうで、死んでしまいそうに見える。
ただ、悲しそうに話す彼女が儚くて美しくて自分のものにしたかった、と思ってしまうのは何故なのだろうか。
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彼女は寄り道をしていた。
こんなにゆっくり帰ってくるのは久しぶりだなとマイペースに考えている彼女と裏腹に学園では彼女の帰宅があまりにも遅いと学園中の教師や生徒が心配していた。
いつもだったら、早く帰ってくるのに今日は全くもって帰ってこない。
小松田はあまりにも帰ってこない実の妹のように可愛がってる女の子が心配ですぐに吉野作造に相談、その相談が学園長の元まで届くのにそう時間はかからなかった。
3人で珍しく長時間にわたって談笑していた山田伝蔵、土井半助、山田利吉は呼びに来たヘムヘムに着いていき、今も尚、帰宅していない彼女捜索隊が編成された。
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彼女は小川をでて、少し歩いたところにあるお地蔵様のあるところでお祈りをしていた。
願掛けなんて何年ぶりだろ、とマイペースに考えている彼女に変わって学園は彼女の捜索隊ができていることを彼女は知らない。
彼女は、怒られてもいいから1人になれるところはどこだろう、と考える。この時期は弥生(3月)を迎えていた。
気づけば、竹林に来ていて竹林にふさわしくない大きな岩に腰掛けた。傍から見たら危険極まりないが、彼女はそんなのどうでも良く感じていた。
空を見上げると月が登っていた。普通なら、焦るのに彼女は焦ることなく、空を見上げていた。
実を言うと、学園長に話を通していたのだ。
今日は満月なので月見をしてから帰宅する、と。
それを小松田に伝えることなく、彼女はのんびりと満月を見つめていた。
学園長にしか言っていないことを忘れ、学園長も思いつきを発動し、彼女を捜索隊が編成されて探されていることを夢にも思わない彼女。
報連相を行わないとこうなる、とこちらとしては勉強になる。が、こんなことをいっているばやいでは無いのだが。
彼女は、岩の上で寝転がる。
視界にはたくさんの星空が移る。
「綺麗……だな……」
ポツリと零す彼女の目には涙が流れていた。
目が熱くて仕方がない。彼女はゆっくりと起き上がって目元を抑えて深呼吸をする。
あの子は、どこに行ったの?
考えたら、ダメだった。
彼女の唯一は行方知らず、どこで何をしているのか分からない。今日だって、見つからなかった。
彼女は被りを降った。
良くない考えが浮かんでしまう。
私が早く生まれていたら、あの子はひとりきりにならなくてすんだんじゃない?
そう頭に流れる。
彼女は自分を守るように抱きしめる。
ぎゅっと自分の腕を掴む。その痛さが心地よくて彼女は下を向く。
「はは……」
ここまで来ると、笑えてくる。
何も出来ない自分に笑えてくる。
馬鹿の一つ覚えみたいに宛もなく探す自分に呆れて笑える。
「泣きたいのはあの子だ。」
約束したのに、会えにも行けない、探しても見つけてあげられない。
ただの、馬鹿だ。
「帰らなきゃ。」
お兄ちゃん、まだいるかな、なんて軽く考えながら、彼女は岩から降りた。
風が吹いた、心地よい風だった。
頬を撫でられた。
なんでか知らないけど、涙がこぼれた。
「お爺様……」
祖父の撫で方そのものだった。
等々、彼女は動けなくなった。
糸が切れたのか、その場に座り込んでしまった。小袖が汚れてもそれどこではなかった。
あの風は、祖父そのものだった。
亡くなった祖父の撫で方、そのものだった。
「お爺様……」
呼んでも返事は帰ってこない。
わかっている。
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「私たちはあちらの方を探してみる。」
彼女の1つ上の上級生である、立花仙蔵が冷静に言った。
「じゃあ僕たちはこっちを探してみる。」
善法寺伊作がしっかりした声音で答える。
彼女が忍術学園に帰宅しない、というのを聞いたのは二刻前。そろそろ、危険な動物だって人さらいだって出てくる。
「私と文次郎、小平太で海側、伊作と留三郎、長次で山側、また半刻後会おう。」
立花がそう話してから、彼らは別れた。
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「四ノ宮さん、どこに行ったんだろう。」
善法寺の言葉に、2人は首を傾げながら答えた。
「さぁな、夜遊びでもしてんじゃねえか?」
男女混合実技大会で大負けした食満はまだ結果に納得していないのか、彼女を少し目の敵にしている部分があった。
「モソ。」(鍛錬が足りなかった)
中在家は食満の言葉にそう返し、食満はウグ、と何も言えなくなっていた。
「そうだとしても!門限すぎる理由にはなんねぇだろ!!」
食満が珍しく、中在家に噛み付く。
何が嬉しくて勝負に負けた後輩を探さなければならない。
「そうだね、留三郎。」
そんな悠長なことも言っていられない。
理由は彼女が膝を抱えて泣いていたからだ。
「しの、みや?」
中在家が膝を抱えている彼女の方へ走る。
2人もそれに続き、四ノ宮の傍による。
「おじ……いさま……」
ヒクヒク、と声にならない声で泣いているのは、自分たちが負けた相手なのか。食満はこんな風に泣いている彼女を見るのは初めてだった。
哀車の術でも使っているのだろう、彼女はくノ一の端くれなんだから、と思っていたが、違う、彼女は本当に感情を露わにして泣いているのだ。
「……なん……で……」
いなくなるの、私を置いていかないで。
善法寺は彼女になんて声をかけていいのか、分からなかった。何を言っても綺麗事になってしまうから。
「……ごめんなさい……ごめんなさい……」
そう繰り返す彼女は、痛々しくて、
「お爺様……」
1人にしたら、死んでしまう、と思った。
「四ノ宮、」
食満がそう、四ノ宮の肩に触れる。
四ノ宮は1度身体をびく、とさせてから食満の方をむく。
「見つけた。ここにいたんだな。」
彼女は、目を見開いてふふ、と笑う。
月明かりに照らされて美しい。
「……そう……言えばいい……と思って……いらっしゃるんでしょ……う?」
彼女は食満に抱きついた。
自身より、小さな彼女。
食満も彼女を抱きしめ返す。
隣にいつの間にかいた、善法寺が彼女を覗き込むように優しい笑みを浮かべて言った。
「怪我はないかい?四ノ宮さん。」
彼女は善法寺の言葉に、食満の腕の中でこく、と小さく頷く。
「……よかった。」
中在家が食満の腕の中で安心している彼女の頭を優しく優しく撫でた。
「帰ろうか、」
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