春風が気持ちいい季節。
今日も朝から晴れ渡る快晴。雲一つない。
まるで今の俺の心を表しているみたいで少し親しみをもった。
今日は久々に愛しき恋人に会える日。
中々二人の予定が合わず、会えたとしても挨拶ぐらいだったから、今日をとてつもなく待ち望んでいた。
軽い足取りで待ち合わせの場所に向かって歩く。
やっと期末テストという地獄から抜け出せた嬉しさと、愛しい人に会える喜びで俺の心は満たされていた。
春の柔らかな日差しがのどかな海を照らしている。
宝石のように光っていて眩しすぎるくらいだった。
あっとにも見せたいななんて思っていたらちょうど、あっとからの電話が来た。
嬉しさとやはり運命じゃないかと感じて心が喜びでいっぱいになりながら電話に出た。
さっきまでは雲一つもなかった空は雨雲らしき雲で覆われていた。
今にでも泣き出しそうな空。本当に俺の心を表しているようで少し怖くなった。
あっとからの電話。それは、あっとからではなく、あっとの兄からの電話だった。
「あっとが倒れて病院に運ばれた」とのこと。
何故かさっきから頭痛がひどい。
病院に近づくたびに頭が痛む。まるで、”病院に行くな”と言われているかのよう。
悪いことが起こりそうな…そんな気がしてたまらなかった。
消毒液の匂いで満たされた病室。昼間だけど部屋全体に響く医療機器のアラーム音。
”悪いことが起こりそう”それは本当に正解だった。
病室に入ってくる風があっとの髪をなびかせる。横も整っていて様になっている。
”大丈夫?”その言葉をかけるほど軽いものではなかったらしい。
At❤️:「…大変失礼なことをお伺いしますが…貴方はどなたでしょうか?」
「僕たち、何処かでお会いしたことがありましたっけ。」
「すみません…記憶になく、(汗」
いつも優しい笑顔で話してくれるあっと。でも、その面影さえ感じられない。
これじゃ、まるで初対面の人と話しているみたいだ。
Mz💜:「…いくらなんでもこんなの…ッ(ボソッ」
朝見た晴れ渡る快晴は夢だったのだろうか。
窓から見える景色は大雨警報が出る一歩前の状況。夕立とか雨が蕭々と降っているとかのレベルじゃない。
病室に入ってくる風は少し雨が混じっていて冷たい。
あっとの母から聞いた。
”あっとは記憶喪失になってしまった”と。”ストレスによる解離性健忘だ”と。
世の中の全てが色あせて見えた。
視界がだんだんと滲む。
泣くな、と心に言い聞かせた。けど、唇の小刻みな震えは止まらない。
こらえていた最初の一粒が零れた。
もう、止められない。溢れた涙を抑えることは。
満面の笑みで笑っていたあっとは、俺を好きだと言ってくれたあっとはもう居ない。
信じたくなどなかった。今でも現実逃避したいくらいだ。
”冗談”、”嘘”そう信じたかった。
久々に会えて楽しい、愛しい時間を暮らす”はず”だった今日。
やっと会えた愛しき恋人は別人になっていた。
俺と過ごした時間はもちろん、家族のことも自分のことさえ忘れてしまった。
信じたくない。嘘だと、嘘だと言ってほしい。
現実なんて見たくないのに…今の現実が俺にわからせようとしている。”本当のことだ”と。
コメント
6件
ふぉーーー!!!新作ありがとう✨通知きたとき叫んだw 今回の作品もめっちゃ良き❗何回も誤送信しちゃったごめん、
前、雑談部屋で言ってたお話だー! 投稿するのが遅くてもいくらでも待ってる(っ ॑꒳ ॑c)
一話一話、とても内容が短いものとなると思います。 投稿するのも遅くなると思います。ご了承を。