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「里奈〜!かくれんぼしようよ!」
「?なんで急に‥?いいけど…」
「やった!最近暑いよね〜。夏だからかな?くらげの川行ってみる?くらげと三人でかくれんぼ〜」
「…」
「どうしたの?」
「いや、大丈夫なのかな…?」
「大丈夫!あのときはなんか事情があったみたいで。詳しくはわからないけど。襲われたりしないから!」
「うん…」
琴葉はこう言っているが、里奈はなにか少し心配なようだ。
「なんか里奈、上の空だし…なにかあったの?」
「ううん、なにも…」
たしかに元気ではなさそうだったが…里奈は必死にはぐらかす。
「えーと…昨日夜よく眠れなくて。最近暑いでしょ?」
「あぁ…」
琴葉も納得したようで、二人は川に向かって歩き始めた。
一方、紅真…
「現世から来た女の子、どこや〜?」
どうやら、すれ違いにあっていたようだった。
里奈と琴葉が川の方へ行ったタイミングで、紅真は先程まで二人がいた場所に着いたのだ。
「…困ったなぁ。あ。川の方行ってみるかー」
そう気長に…まあ、彼にはたくさん時間があるのだ。
そして、川の方へと歩いていった。
「何しに来たんじゃ。うるさい」
「うぇー?くらげ、そんなこと言わないでよぉ〜いっしょにかくれんぼしよ?」
「嫌じゃ」
「なんでー!」
川の方では、琴葉が駄々を捏ねていた。だが、くらげは首を縦に振らない。
その様子をヒヤヒヤしながら里奈が見ている。
「安心しろ、人間の娘。この前のようなことはしない。お前に危害を加えるつもりはない」
「人間の娘じゃなくて、里奈だよぉ!」
「…どうでもいい」
しかし、里奈は安心したようで、ほっと息をした。
パシャ…
川の水が少し揺らいだ。琴葉の耳も、動揺したような動きを見せる。そんな二人を見て、里奈も少し不安になる。
「…誰か来た。妖怪だ」
「誰じゃ?儂の居場所に入ってきた輩は」
「…」
三人は辺りを警戒する。そのとき…
「そーんな警戒しなくてもええでー?俺やって」
「なんだ、紅真かぁ…」
「久しぶりじゃな。見回りか?儂は何もしとらんぞ」
「いやいや、そーじゃなくて…人間の子を一目見ようと。探してたんや。お、いる」
「あ、初めまして…霧崎里奈といいます…」
「浅斗紅真や。よろしゅう」
「はい…」
どうやら、悪い妖怪ではなかったようだ。けれど、直前まで自分の霊感が反応しなかったことから、かなり強いのではと里奈は理解した。
「よし!じゃあ紅真鬼ねー。一万数えて!」
「日が暮れるわ。じゃあ、3分な」
「ちぇー」
さすがに一万は…と紅真は困った顔をした。
「じゃあ、スタート!」
「儂もやるんかぁ…」
くらげは呆れ顔である。反対に琴葉と里奈は、楽しそうにしている。
「あ、あまり水に近づくでないぞ。危険だからな。って、聞いてるのかー?」
「はいはーい」
遠くから琴葉の声が聞こえる。
二人は、奥の方の森に隠れようとしていた。
「琴葉、しっぽ見えてるよ」
「ええ、うそっ!」
琴葉は耳と尻尾を手で押さえ、隠すようにうずくまる。
里奈も琴葉のとなりに、しゃがむ。
「探しにいくでー」
紅真の声が聞こえた。どうやら3分すぎたようだ。どうやって計っているのか…
「…」
一方、くらげは川の深いところに潜っていた。
ふつうの人間(妖怪も一部)ならはいれないような、深ーいところに。
(こうやって隠れてるのが一番楽じゃ。まったく若い妖怪はうるさくて面倒だのぅ…)
なんて、老人のようなことを考えているが…
彼女も見た目は10代後半くらいである。
「あれー?どこ行ったんやろ〜?」
「…」
紅真の声が遠くなる。
と、思った次の瞬間…
「みぃつけた」
「!!」
目の前に、いた。
くらげは驚き、あわてて陸に上がる。紅真はニコニコと、余裕ぶっている。
「よく見つけたのぉ。この水は魔力も込められているのに…」
「いやー、勘で」
「勘か…」
(キメラの勘、なんなんじゃろう…)
残り二人。