TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
現世と隠世の境界線

一覧ページ

「現世と隠世の境界線」のメインビジュアル

現世と隠世の境界線

9 - 第8話 かくれんぼ 前編

2024年08月02日

シェアするシェアする
報告する

「里奈〜!かくれんぼしようよ!」

「?なんで急に‥?いいけど…」

「やった!最近暑いよね〜。夏だからかな?くらげの川行ってみる?くらげと三人でかくれんぼ〜」

「…」

「どうしたの?」

「いや、大丈夫なのかな…?」

「大丈夫!あのときはなんか事情があったみたいで。詳しくはわからないけど。襲われたりしないから!」

「うん…」

琴葉はこう言っているが、里奈はなにか少し心配なようだ。

「なんか里奈、上の空だし…なにかあったの?」

「ううん、なにも…」

たしかに元気ではなさそうだったが…里奈は必死にはぐらかす。

「えーと…昨日夜よく眠れなくて。最近暑いでしょ?」

「あぁ…」

琴葉も納得したようで、二人は川に向かって歩き始めた。


一方、紅真…

「現世から来た女の子、どこや〜?」

どうやら、すれ違いにあっていたようだった。

里奈と琴葉が川の方へ行ったタイミングで、紅真は先程まで二人がいた場所に着いたのだ。

「…困ったなぁ。あ。川の方行ってみるかー」

そう気長に…まあ、彼にはたくさん時間があるのだ。

そして、川の方へと歩いていった。


「何しに来たんじゃ。うるさい」

「うぇー?くらげ、そんなこと言わないでよぉ〜いっしょにかくれんぼしよ?」

「嫌じゃ」

「なんでー!」

川の方では、琴葉が駄々を捏ねていた。だが、くらげは首を縦に振らない。

その様子をヒヤヒヤしながら里奈が見ている。

「安心しろ、人間の娘。この前のようなことはしない。お前に危害を加えるつもりはない」

「人間の娘じゃなくて、里奈だよぉ!」

「…どうでもいい」

しかし、里奈は安心したようで、ほっと息をした。

パシャ…

川の水が少し揺らいだ。琴葉の耳も、動揺したような動きを見せる。そんな二人を見て、里奈も少し不安になる。

「…誰か来た。妖怪だ」

「誰じゃ?儂の居場所に入ってきた輩は」

「…」

三人は辺りを警戒する。そのとき…

「そーんな警戒しなくてもええでー?俺やって」

「なんだ、紅真かぁ…」

「久しぶりじゃな。見回りか?儂は何もしとらんぞ」

「いやいや、そーじゃなくて…人間の子を一目見ようと。探してたんや。お、いる」

「あ、初めまして…霧崎里奈といいます…」

「浅斗紅真や。よろしゅう」

「はい…」

どうやら、悪い妖怪ではなかったようだ。けれど、直前まで自分の霊感が反応しなかったことから、かなり強いのではと里奈は理解した。

「よし!じゃあ紅真鬼ねー。一万数えて!」

「日が暮れるわ。じゃあ、3分な」

「ちぇー」

さすがに一万は…と紅真は困った顔をした。

「じゃあ、スタート!」

「儂もやるんかぁ…」

くらげは呆れ顔である。反対に琴葉と里奈は、楽しそうにしている。

「あ、あまり水に近づくでないぞ。危険だからな。って、聞いてるのかー?」

「はいはーい」

遠くから琴葉の声が聞こえる。

二人は、奥の方の森に隠れようとしていた。

「琴葉、しっぽ見えてるよ」

「ええ、うそっ!」

琴葉は耳と尻尾を手で押さえ、隠すようにうずくまる。

里奈も琴葉のとなりに、しゃがむ。

「探しにいくでー」

紅真の声が聞こえた。どうやら3分すぎたようだ。どうやって計っているのか…


「…」

一方、くらげは川の深いところに潜っていた。

ふつうの人間(妖怪も一部)ならはいれないような、深ーいところに。

(こうやって隠れてるのが一番楽じゃ。まったく若い妖怪はうるさくて面倒だのぅ…)

なんて、老人のようなことを考えているが…

彼女も見た目は10代後半くらいである。

「あれー?どこ行ったんやろ〜?」

「…」

紅真の声が遠くなる。

と、思った次の瞬間…

「みぃつけた」

「!!」

目の前に、いた。

くらげは驚き、あわてて陸に上がる。紅真はニコニコと、余裕ぶっている。

「よく見つけたのぉ。この水は魔力も込められているのに…」

「いやー、勘で」

「勘か…」

(キメラの勘、なんなんじゃろう…)

残り二人。

現世と隠世の境界線

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚