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「恋する臆病者」
「俺、レトさんのこと好き!」
ある日、突然キヨくんに告白された。
「……え?」
思わず聞き返してしまう。
確かに、キヨくんはやたら距離が近い。
気づけば隣にいるし、笑う時は真っ先に俺を見る。
嬉しそうに尻尾を振る犬みたいな顔で、俺の名前ばっかり呼ぶ。
好きなんやろなぁ、とは思ってた。
でも….。
「……俺のこと、好きなん?」
念のため聞いてみる。
「うん!」
返事は一秒。
迷いゼロ。
「レトさんのこと、大好き!」
満面の笑み。
……そんな即答ある?
今日もキヨくんは俺の後ろを、とことこと付いてくる。
「レトさーん!」
名前を呼んでは笑って。
目が合えば笑って。
隣を歩けば腕が当たるくらい近づいてきて。
こんな事で素直に喜べるほど俺は恋愛が得意じゃない。
(……いや、待て。 こんなに好き好き言ってくるってことは、 もしかして誰にでもこんなんなん?)
急に不安になる。
「キヨくん。」
「ん?」
「……俺以外にも、好きって言ってたりする?」
「言わないよ?」
「ほんまに?」
「うん。」
「……昔好きだった人とか。」
「いない。」
「……初恋は?」
「レトさん。」
「……」
「今も好き。」
「……」
「これからも好き。」
そのたびに、俺の心臓だけが勝手に忙しくなる。
こんなに真っ直ぐ「好き」をぶつけられたことなんて、一度もない。
嬉しいはずなのに。
信じたいはずなのに。
心のどこかで。
(……いつか、好きじゃなくなるのかも。)
そんなことばかり考えてしまう。
恋愛をこじらせた俺と、 好きだと何の迷いもなく伝えてくるキヨくん。
キヨくんの「好き」を疑ってるわけじゃない。
でも——。
その「好き」が、どこまで本気なのか。
どこまで俺だけに向いているのか。
知りたくなってしまう。
俺は、わざとキヨくんの目の前で他の子と話した。
いつもより距離を近づけて。
顔を寄せて。
少しだけ声のトーンを上げて、楽しそうに笑う。
「へぇ、そうなん?」
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#kyrt
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なんて、興味があるふりまでして。
本当は、その子の話なんて何一つ頭に入っていなかった。
気になっていたのは——ただ一人。
ちらり、と視線だけを動かす。
少し離れた場所に立つキヨくん。
さっきまで笑っていた顔は消えていて。
唇をぎゅっと噛み締め、今にも泣き出しそうな顔で俺を見つめていた。
胸が締め付けられるような表情。
その姿を見た瞬間——
「……っ」
心臓が大きく鳴った。
かわいい。
そんな顔、俺にしか見せへんのかな。
そう思うと、胸の奥が熱くなる。
もっと見たい。
もっと俺だけを見てほしい。
もっと、俺のことでいっぱいになってほしい。
そんな自分勝手な感情が、じわじわと膨らんでいく。
キヨくんを困らせたいわけじゃない。
泣かせたいわけでもない。
ただ——
俺だけを見ていてほしい。
キヨくんが見せた寂しそうな表情に、俺の心はぞくりと震えた。
“俺“という存在でキヨくんの独占欲を掻き立てたい。
終わり
コメント
3件
マッッッッッジで天才???? 本当に大好きすぎるんだが?? 独占欲湧きまくっちゃってるレトさんLoveすぎる……キヨも好き好き言って来る犬系で一途でしっかり嫉妬しまくるのだいすこ……。 もう一生幸せになりやがれ(泣) お風呂前に至福をくれてありがとう🥹🙏🏻💖
**はる。だわ🔥** 第11話、めっちゃ良かった…! 「好き」を迷いなくくれるキヨくんと、それを素直に喜べないレトさんの距離感、すごくリアルですっこた。ラストの「俺だけを見てほしい」で、それまで臆病だったレトさんの本音がじわっと出たのが刺さる〜。 キヨくんの泣きそうな顔にドキッとするレトさん、分かりすぎるわ…。続きが気になる! --- **作者・魑魅魍魎さんへ** --- レトさんの心の動き、すごく丁寧で引き込まれました。更新、ゆっくり待ってますね📚