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魑魅魍魎
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魑魅魍魎
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「酒は飲んでも飲まれるな」
朝日がカーテンの隙間から差し込み、キヨはゆっくりと目を覚ました。
「ん……」
ぼんやりとしたまま横を向くと、穏やかな寝息を立てるレトルトがすぐ隣で眠っている。
「……え?」
見慣れない天井にキヨは目をぱちぱちと瞬かせた。
「ここ、どこ? 俺……なんでここにいるんだ?」
記憶を辿ろうとしても、頭の中は真っ白だ。
そして、もう一度レトルトへ視線を向ける。
「てか……なんでレトさんが隣で寝てんの?」
嫌な予感がして、恐る恐る布団を持ち上げる。
「……え?」
数秒、思考が止まった。
「えぇぇぇーーっ!?」
部屋中に大きな叫び声が響く。
「な、なんで俺、裸なの!? レトさんも裸じゃん!」
顔を真っ赤にしたキヨは、慌てて布団を引き寄せながら一人でわたわたと暴れ始めた。
「俺、昨日何した!? 全然覚えてねぇ!」
その騒ぎで、隣に寝ていたレトルトがゆっくりと目を開ける。
「……ん、おはよ。キヨくん」
まだ少し寝ぼけたような声。
「え、えっと……レトさん、お、おはよ……」
キヨは耳まで真っ赤に染めると、恥ずかしそうに俯いた。
そんな姿を見たレトルトは、くすっと小さく笑う。
「昨日のキヨくん、かわいかったなぁ」
悪戯っぽく目を細めながら、キヨの顔を覗き込む。
「いっぱい俺の名前呼んでさ。ぎゅってしがみついて、『もっと』って甘えてきてさ……」
「レ、レトさんっ!」
キヨは顔を真っ赤にして両手で耳を塞ぐ。
恥ずかしさのあまり身を縮こませるキヨを見て、レトルトは肩を揺らして笑った。
「ふふっ。そんなに照れんでもええやん」
その笑顔を見て、キヨはさらに顔を赤くするしかなかった。
昨日はTOP4の4人で飲んでいた。
久しぶりに集まったこともあって話は尽きず、お酒もどんどん進んでいく。
「俺、楽しくなって….それで….」
キヨは額に手を当て、必死に昨夜の記憶を辿った。
「えっと……確か……」
断片的な記憶が、少しずつ頭の中に浮かんでくる。
――ほら、キヨくん。ちゃんと歩いて。
優しく支えるレトルトの声。
――へへぇ……れとしゃん、だいすきぃ。
呂律の回らない自分の声。
――わかった、わかったから。ちゃんと歩いて。
肩を抱かれながら歩く感覚。
そして――
――おれ……れとしゃんになら….抱かれてもいい〜……。
記憶はまだぼんやりとしていたが、そこまで思い出した瞬間キヨの顔が一気に熱くなった。
あの時のレトルトの困ったような笑顔だけは、不思議とはっきりと思い出せた。
ずっと心の奥にしまっておこうと思っていた レトルトへの恋心。
伝えるつもりなんて、なかった。
なのに、お酒の勢いで全部口にしてしまった。
「……っ」
さっきまで真っ赤だった顔から、今度はすっと血の気が引いていく。
「レトさん……あの……」
震える声で口を開く。
「昨日のことは……忘れ――」
言い終える前に レトルトの手がそっとキヨの口元に添えられ、その言葉を優しく遮る。
「……なかったことになんか、させへんで?」
低く、静かな声。
静かに目が合う。
キヨの目に映ったレトルトは、いつものように笑ってはいなかった。
ただ真っ直ぐに、キヨだけを見つめている。
その目は、今まで見たことがないほど真剣だった。
「昨日、キヨくんが言ってくれたこと。」
レトルトは小さく息をつく。
「……俺は、全部ちゃんと覚えてる。」
その言葉に、キヨの心臓は大きく跳ねた。
「……俺も、ずっとキヨくんが好きやった。」
レトルトはそう呟くと、そっとキヨを抱き寄せた。
「もっと早く伝えればよかったな。」
レトルトは苦笑しながら、キヨの髪を優しく撫でた。
「レトさん……」
名前を呼ぶキヨの声は、どこか照れくさそうで、それでも嬉しさが隠しきれていない。
レトルトはそんなキヨを見つめ、耳元へゆっくりと顔を寄せる。
「……俺たち、一線越えちゃったね。」
その囁きに、キヨの顔は一瞬で真っ赤に染まる。
「もう、レトさん////」
恥ずかしそうにレトルトの胸を軽く叩くキヨ。
そんな反応すら愛おしくて、レトルトは思わず笑みをこぼした。
二人の笑い声が、朝の静かな部屋に優しく響く。
お酒は飲んでも飲まれないようにね。
終わり
コメント
4件
あーーもう最高だ……。 この後に察したガチ牛がクスクス笑ってて欲しい……。 ほんで二人して幸せそうに照れててほしい……。 妄想厨過ぎてやばい
あら〜、酔った勢いで本音が出ちゃう展開、すごく好きです。キヨくんの「れとしゃんだいすき」が可愛すぎて笑っちゃいました。でも後半のレトさんが「なかったことになんかさせへんで」って真剣な目で言うシーン、そこが一番グッときました。好き合ってるのに伝えあえてなかった二人が、お酒で一歩踏み出せたっていう構成が綺麗ですね。お酒って時々、魔法みたいな役割を果たしますよね。