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3 - 朽ちゆく、悲しみの歌。

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2025年02月22日

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天候の変化の激しい、スコットランド北部の町… セント・アンドリュースに一軒の古ぼけた屋敷があった…。


そのアダム様式の美しい屋敷の名は、 アガヴェニー・ハウスと呼ばれていた。



しかし、嘗て栄華を誇った名家の屋敷であったアガヴェニー・ハウスも…


今ではすっかり埃が積もり。

蜘蛛が巣を張り。

ドアはひしゃげて、 床は歩く度に軋んで、悲鳴を上げる…。


建物が老いて、やがて朽ちてゆくように…、 人も老いて、朽ちていく。


かつて聞こえた、 一家が食事をする楽しき団欒の声は、 もはや聞こえない。


この広い家に住むのは、ウイリアム・ハドーと呼ばれる…孤独な老人一人だけなのだから。



ウイリアムは今一人、ロッキングチェアに揺られて、考えていた。 

自分を慰める哀悼の歌を。

死にゆく者への鎮魂歌を。


夜な夜な…、 嗚咽し。 苦悩し。 後悔し。


苦しむ。


ウイリアムに残された物は、もはやひたすらに虚無が続く…時間だけだったのだ。



ウイリアムは懐かしむ。 最愛の人を。 かつての輝かしき日常を。 今は亡き、古き友を。 よく悩み、必死に努力してきたあの若かりし日々を。





孫も子も、都会へ出て行き。 社交も無く。 幸せも無く。 感情の揺れ動く事も無い、灰色の日常の中で…。 日に日に歪んでいく、その狭き世界で、 少しづつ老いてゆく。




終着点へ向かって。



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