テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
砂煙が徐々に薄れていく。
その中にあるひとつの影は……片膝をついて立っていた。
「……まだまだ……甘いんじゃない……?」
左腕と右太もも、そして腹部は黒く焼け焦げ、左目からは血が流れていた。
『死に損ないが』
ふらつきながら立ち上がるフィニス。
「魔族の魔法も……所詮はこんなもんか……」
ゆっくりと右手で剣を持ち、剣先を魔族の胸元に見えるコアに向ける。
(……ん?)
『見え透いた挑発だ。だが……こっちもいい加減イライラしてきた。その挑発……乗ってやるよ』
杖をかざす魔族。フィニスはゆっくりと体勢を低くし、再度狭くなった視界の中で相手のコアを凝視した。
(コアが……欠けてる?それに……なんだ?黒い霧?)
魔族の胸元にある赤黒いコアの端が欠けており、その場所が白く濁っていた。
さらにその欠けた部分からは黒いモヤが溢れ出ている。
(……よく分からねーけど……多分そういうことだろ!)
魔族が構えを変えた。魔法が発動される。
この溜めの魔法は避けられない……おそらく大規模の魔法だ。
それにこの身体……今から飛びかかっても間に合わないだろう。
だが……
「……こっちはそれを狙ってんだよ!」
持っていた剣をコア目掛けて投げるフィニス。
『!!』
発動を中断し、杖で剣を弾く魔族。
その剣を空中で左手でキャッチし……
そのまま相手に切り掛かる。
⸻
「……大丈夫?」
横たわるフィニスを覗き込むニティア。その横ではジャヌスが回復魔法をフィニスにかけていた。
「やりすぎ……じゃないですかねニティアさん……」
息も絶え絶えに答えるフィニス。それに笑いながらジャヌスも口を開いた。
「ですが、だいぶ避けられるようになっていましたね。後半はニティア、ムキになって出力上げてましたから」
「……は?」
視線を逸らすニティア。
「ですが、貴方にとってはコレが魔法を使う相手との基本的な戦い方です。しっかりと身につけてくださいね」
「うっす……」
回復魔法をかけ終わり、ジャヌスが2人を交互に見て話し始める。
「そして、魔族と戦うことがあったら、これは覚えておいてください。魔族は、魔女がいる以上、魔力が永遠に供給され続けます」
「ということは、魔力の枯渇は望めないってことですか?」
ニティアが即座に反応する。
「基本的には……。ですが、短期決戦であれば別です」
首を傾げるフィニス。
「大量の魔法や大規模の魔法を使った魔族の魔力は、そんな一瞬で回復はしません。だから」
「魔力をわざと使わせて、弱体化させるって事ですね」
「その通りです」
「でもその前にそんな大規模の魔法使われたらキツくない?」
ジャヌスは優しく微笑んだ。
「使わせなければいいんですよ。大規模の魔法を」
⸻
(そう言えば誰かさんも言ってたしな!)
ガキーン!
(迷路は歩くだけで力を使うって)
フィニスの剣が相手の杖で弾かれていた。
『剣を握る力も残っていない雑魚が。終わりだ……小僧』
中断していた魔法を再開したのだろう。杖からは黒い炎が立ち上っていた。
「……お前さ。だいぶ魔力消費してるんじゃない?」
フィニスの身体に隠れていた右手には、小さなナイフが一本。
『っ!!キサマっ!』
「終わるのはてめーだよ!!」
そのまま右手に持ったナイフを、コアの欠けている部分に突き刺す。
ピキッ
コアのヒビが一気に広がり……
パキン
魔族のコアが弾けた。
『ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!!』
魔族の身体から黒い炎が立ち上がる。
『この俺が……!こんなガキに……!』
徐々に崩壊していく魔族の身体。
フィニスは朦朧とする意識の中、魔族の最後を見ていた。
『ノクス様さえ……生きていれば…………』
黒い炎がだんだん小さくなってゆく。
『白髪の……魔……め………』
魔族が燃え尽きると共に、フィニスの意識もなくなり、その場に倒れ込んだ。
#ファンタジー
#ドクターストーン系
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!