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おその★
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めかぶぷりん
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#SnowMan
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その隣にある《日輪のロゼット》にも乗ってみる。観覧車のようにゆっくりと上昇していくそれは、円形ではない不思議な形をしており、高い位置まで来るとルミナシアパークのほぼ全景を見渡すことができた。
💚「上から見ると、また雰囲気が変わるね」
💙「……これ、下も見えるから思ったより怖いぞ」
💚「ははっ。遠く見てたら怖くないよ。ほら、あっちに庭園みたいなの見える」
🖤「あ、ホントだ」
💚「あそこ、ノクターン・ガーデンかな。行ってみたいけど、名前からして夕方とか夜の方がいいよね」
💙「何で?」
💚「ノクターンって夜想曲って意味だから」
🖤「さすが阿部ちゃん」
💙「めめ、どっか行きたいとこねえの?」
🖤「しょっぴーは?」
💙「俺は怖くなきゃどこでも。かなり楽しめてるし」
🖤「うーん……じゃあ、ここ行きたい。星空ホール」
💚「だよね。めめはそう言うと思った。でも、ここからだと結構、距離あるね……あ。さっき乗らなかったトラム、乗っていい? 気にはなってたんだ」
🖤「いいよ。トラムに乗って移動しよう」
日輪のロゼットを降りた後は、上から確認しておいたトラム乗り場へと向かう。途中、気になる店やアトラクションを覗きながら歩き、10分ほどで乗り場へと辿り着いた。
屋根のついた小さなトラムの停留所で待っていると、汽笛が聞こえてくる。目の前に停まった蒸気機関車型のトラムは迫力がある。
けれど扉は開かず、どうしたのかと思っていると先頭の機関車が客車から切り離され、少し先まで進んでいく。そこで方向を変えると、客車の横を通る別の線路へ入り、そのまま反対側へと回り込んでいった。
そして今度は、先ほどまで最後尾だった客車へと連結される。どうやら、ここで進行方向を変えるらしい。
💚「なんか凄いの見れちゃった」
🖤「ここで乗るの、正解だったね」
💚「うん」
やがて扉が開き、三人も四両編成のトラムへ近づき、《TIME & SEASONS》のプレートがついている車両へと乗り込んだ。
中は、昔ながらのSLの客車らしい内装だった。温かみのある木質の壁と窓枠には真鍮の金具がついており、模様の入った深いグリーンの座席は二人掛けで、向かい合わせに配置されているため、最大四人で座ることができる。乳白色のガラスシェードを使った暖色のランプが灯っており、全体的にクラシカルで温かい。
大きな窓の下には、小さな金属製のダイヤルがあるのが見える。親子連れが席に座っており、何やら楽し気に話している。
「わ、今度は冬になった!」
「ウィンターって書いてあるからじゃない?」
「じゃあ、こっちは?」
「EVENINGだから夕方ね。試してみて?」
「ホントだ! 夕方になった!」
「へぇ、窓の外の景色が変わるなんて、不思議だな」
どうやらダイヤルを操作すると、窓の外の時間や季節が変わるらしい。だから、入口のプレートにTIME & SEASONSと書かれていたのだろう。
💚「他の車両、確か違うプレートがついてた」
🖤「別のことができるのかも。行ってみよう」
その車両は歩いて行き、次の車両への扉の上には《INFORMATION》と書かれているので、中に入る。
クラシカルな雰囲気は前の車両と同じだけれど、青と黒を基調とした内装に、青い張りの座席。そこに真鍮のディテールが入っている。
窓の下には先ほどとは打って変わって操作パネルのようなものがあり、同じように向かい合った席の一つに座った。
窓の外に広がるのは、ルミナシアパークの景色。ゆったりと流れていくのだが、その景色に文字が浮かんでいるのが分かった。
白銀の細い線で吹き出しのように囲われており、その線の上には同じ白銀の文字でルミナシア湖と書かれている。
💚「これ、景色の情報が出てるんだ」
🖤「ホントだ。木の種類とか、建物の名前とか、見えたものに付いてるね」
💚「だからINFORMATION、情報なんだ」
💙「すげー。前に佐久間が言ってたけど、阿部ちゃんが電脳空間で見てるのって、こんなん?」
💚「情報収集の時は、確かに見ることもあるよ。全部が全部じゃないけど」
🖤「……この中から知りたいもの選ぶって……阿部ちゃん、凄すぎ」
💚「そんなことないよ。実際にはもう少し絞ってるし」
💙「あ。切り替えもできるんだな。これ、ガイド?」
窓枠についている操作パネルのGUIDEという部分に触れてみる。
すると、物の名前の下に、細かい説明文が書き足された。
💙「おお。すっげ」
💚「ホントだ。結構、細かく教えてくれるんだね。えっと、グランド・テラス。湖の水が流れ込む、開放的な展望エリア。透明な床の……」
🖤「阿部ちゃん?」
目を擦っている阿部を、隣の目黒が覗き込む。
💙「どうした?」
💚「いや……今、表示が二重に見えた気がして」
🖤「疲れた? 少し休む?」
💚「んーん、大丈夫。えっと、透明な床の展望デッキから、アルシエル湖とルミナシアパークを一望できます、だって」
💙「透明な床……俺パス」
🖤「だと思った」
ははっと笑い合う渡辺と目黒を見ながら、阿部はもう一度、目を擦った。
そして次の三両目《PAST》。ここは入った瞬間から、これまでとはまた雰囲気が変わった。
セピアのような色合いの壁に、濃い茶色の木材。暖色の真鍮の照明が照らしているが、その明かりはぼんやりとしていて暗めだ。座席の色は、マルーンや茶色を使っていて、昔を思わせるものばかり。
窓から見える景色はやはりルミナシアパークなのだが、その下には年号と月が書かれており、今のパークというよりも建設途中のように見える。その次の窓には、更に前の年号、その次も更に前に……というように、奥に行くにつれて年号が古くなっており、景色の色もどんどん色あせている。
最後の窓はフィルム映画のように、たまにノイズが走るようなものだった。
それはまるで、ルミナシアパークの歴史写真を見ているかのよう。
そして最後の車両には、《FUTURE》の文字。
開けた瞬間に、目に飛び込んできたのは無数の青白い光だった。
💚「うわ……」
思わず、阿部が声を漏らす。
先ほどまでのクラシカルな客車とは一変し、壁も天井も深い紺色。そこを細い光の線が縦横無尽に走り、時折、何かを伝達するように光の粒が滑っていく。座席も木製ではなく、丸みを帯びた白と濃紺の近未来的なものに変わっていた。
けれど、一番目を引くのはやはり窓だった。
窓の向こうにあるのは、今までと同じルミナシアパーク。
それなのに、まるで違う世界に見える。
建物の輪郭が細い光の線で縁取られ、道や木々にも無数の点と線が浮かんでいる。それぞれは独立しているわけではなく、あちらからこちらへ、こちらから更に遠くへと細い光で繋がり合っていた。
時折、その間を小さな光の粒が駆け抜けていく。
世界そのものが、巨大な情報の集合体になってしまったようだった。
💚「……なんか、ここ落ち着く」
🖤「落ち着くの?」
💚「うん。ちょっとだけ、電脳空間っぽい」
💙「へぇ、これが」
💚「見た目は全然、違うんだけどね。情報が全部繋がってる感じとか。めめが木の記憶辿る時は違うの?」
🖤「俺はもっと、テレビの画面を見てる感じ。いつもその画面の前にぼーっと立って見てるかな」
💙「めめっぽいな」
🖤「着くまで、ここで座ってよう。阿部ちゃんも落ち着けるみたいだし」
💙「だな」
そのまま揺られること数分、トラムが停車したのは星空ホールに近い停留所。そこで降りてから、地図を確認しつつ星空ホールへと向かった。
地図を頼りに歩いていると、やがて昼のパークには少し不釣り合いな、夜空を閉じ込めた巨大な宝石みたいな建物が見えてくる。
濃紺から青紫へと色を変える半透明の外壁には、太陽の光を受けるたび、無数の小さな光が星のように瞬いている。中央の高くなった部分には幾つもの白銀の環が浮かび、まるで一つの星を囲む軌道のようだった。
思わず、立ち止まって見上げる。
💚「なんか、ルミナシアパークでずっと言ってるけど、凄いね」
🖤「これだけでワクワクする」
💚「めめ、目がキラキラしてるよ。星に負けないくらい」
💙「これはテンション上がるだろ」
🖤「爆上がり中。ヤバいかも」
💚「ふふっ。じゃあ、入ろうか」
そうして入口の方に向かった時だった。
🩷「阿部ちゃーん! れーん! 翔太ー!」
物凄く元気な声が聞こえてきた。声は阿部たちが来たのとは逆側から聞こえてきており、姿を見なくても誰なのかは分かる。
声のした方を振り向けば、こちらに大きく手を振りながら走ってくる佐久間。その後ろには、向井とラウールの姿もある。
💚「相変わらず元気だなー、佐久間」
🩷「もち! まだまだ元気だよー!」
💙「ちょっと康二、へばってねえ?」
🧡「んなことあらへんよ。まあ、さっくんについてくのはなかなかハードやけど」
🤍「いや、康二くんだってほぼ一緒だったよ。休憩しようって寄ったのに、30秒も座ってなかったじゃん」
🧡「あれはほら、むっちゃおもろかったやん、あの展望デッキ」
🖤「展望デッキって、もしかして、グランド・テラス?」
🧡「そそ。めめ達も行ったん?」
🖤「いや、さっきトラムに乗った時に阿部ちゃんが説明してくれてたとこ。下が透明の展望デッキって」
🤍「そうそれ!」
💙「よくそういうとこ行けるよな」
🤍「しょっぴーも阿部ちゃんも行かなくて正解だよ。景色なら、他のも見れるしね」
💚「俺たちは日輪のロゼット乗ったよ。景色はかなり綺麗だった」
🤍「あれねー。僕たち素通りしたやつ」
💚「だろうね。佐久間達にはスリル足りなさそう。でも、ゆっくり写真とか撮れてる? ここ、絶景が多いから康二はいっぱい撮りたいんじゃない?」
🧡「絶景ポイントでは写真は撮ってるで。その展望デッキでも撮ったし、あとあれ、ウンディーネの軌跡もいい感じやった」
💚「へぇ! あ、写真と言えば、トラムって乗った?」
🤍「僕ら移動系のは乗ってないよ。ずっとダッシュだから」
🧡「写真でなんでトラムなん?」
💚「そこのね、パストって書かれてる車両が写真ぽいから、康二好きだと思うなって。他の車両も面白かったし。ね?」
💙「あれはね、行った方がいい。マジで楽しい」
🤍「お、しょっぴーがそこまで言うの珍しいね」
💙「だろ」
💚「自分で言うんだ」
🩷「ってか、阿部ちゃん達どっか行こうとしてた?」
💚「ここ。星空ホール。めめご希望の場所」
🩷「あー。蓮は絶対、好きだよ」
🤍「え、僕らも一緒に行っていい? 食べた後だし、僕ちょっとゆっくりしたい」
🖤「もちろん」
🧡「ええな。みんなで一緒に回ったら倍楽しそうやね」
わいわいと話しながら、星空ホールの中に入って行った。
扉が閉じた瞬間、それまで背中に感じていた昼の明るさが消えた。
代わりに広がったのは、夜。
天井というものがどこにあるのか分からないほど暗く、その遥か上には無数の星が瞬いている。壁と天井の境目も見えず、足元まで深い紺色に染まっているせいか、本当に夜空の中へ放り出されたようだった。
ただ、歩く場所だけは分かる。床には淡い光の粒が散らばり、それらが星屑の道のように奥へと続いていた。
🩷「すげー……!」
🤍「うわぁ……」
💚「すっご……」
🧡「めっちゃ星やん」
先ほどまで騒がしかった六人が、揃って足を止める。
目黒に至っては何も言わず、ずっと頭上を見上げていた。
🤍「めめ、もう動かなくなった」
🖤「だって、これ……すごいよ」
💚「語彙なくなってるね」
🖤「今は無理」
💚「気持ちは分かる」
どうやら決められた席に座って上映を見る普通のプラネタリウムとは違うらしい。星空の中に作られた道を、自分の足で歩いて巡っていく。
少し先には緩やかな階段があり、その先にも、その更に上にも別の道が見えている。高さの違う幾つもの通路が複雑に重なり、どこから眺めるかによって見える星空も変わるようだった。
階段を上り始めると、傍にある星座の光が少し強くなった。そしてその星座の名前が浮かび上がり、更に星座の元になった姿まで淡く描き出される。今、見ているのはこいぬ座で、星々に重なるように子犬の姿が見えていた。
💚「近づくと出てくるようになってるんだ」
🤍「不思議ー。でも、親切だね」
💚「うん。形だけだと分からないけど、こうやって姿まで出てくると、ああ、そういう形なんだって分かりやすいね。こいぬ座って確か、冬の大三角の一つであるプロキオンがあるんだよ。あと、オリオン座のペテルギウスと……あ、おおいぬ座のシリウスの三つで冬の大三角だね」
💙「阿部ちゃん、クイズみたいになってんぞ」
💚「あ」
🤍「阿部ちゃんらしいけどねー。僕は聞くの好きだよ。いろんなこと知れるし」
💙「俺だって嫌じゃないけど。相変わらず、そういうの好きだなって思っただけ」
🧡「楽しみ方は人それぞれやしな」
🩷「そうそう。そうやって知識を吸収できるのって阿部ちゃんのいいところだし。蓮だって、ずっと無言で見てるじゃん。ああいうのも、楽しみ方の一つだろ」
💚「だね」
段差は低く、一段上るごとに足元に散らばる小さな星が淡く光った。左右には高さの違う通路が幾重にも伸びており、その向こうを歩く人の姿も、星空の中に浮かぶ影のように見える。
少し先を歩いていた佐久間とラウールが近づくことで浮かび上がる星座を見つけては足を止め、向井が後を追う。渡辺は時折それを覗き込みながらも、基本は阿部の隣。目黒だけは少し遅れて、頭上に広がる星空を飽きることなく見上げていた。
誰かが立ち止まれば、自然と残りも足を止める。そうして六人で一つの星座を見上げては、また次の星へ。
急ぐ必要もなく、星空の中を散歩するように歩いていく。
星座の旅が終わりに近づき、そこから天の川が広がり始めた。その奥には星雲も見えて、星座とは違う景色がそこにある。
そしてここで、これまで大人しく歩いていた佐久間が飛び出した。
🩷「うお! なんかすげー光ってんのある!」
🧡「ぅえ、ちょ、さっくん!?」
🤍「あーもう、またー?」
走って行く佐久間。その後を慌てて向井が追いかけ、ラウールも呆れながら駆け足でついていく。そんな三人に、阿部も渡辺も肩を竦めた。
💚「ま、佐久間がゆっくり見てるわけない、か」
💙「だな。むしろここまでよく持ったな、あいつ」
💚「美術館とか、ゆっくり見て回ることはできるんだけど、この施設だと興味の方が勝つよね、そりゃ」
星雲を眺めている目黒の肩を、阿部が優しくトントンと叩く。
💚「めめ、行こっか」
🖤「ん……あれ、佐久間くん達は?」
💙「もう見えねえわ」
🖤「早」
先に行った三人を追いかけることはせず、阿部たちは変わらず自分たちのペースで進んでいく。
星座から天の川へ。天の川から色鮮やかな星雲へ。階段を上るにつれて、地上から見上げていたはずの星空はいつしか遥か遠くへと広がり、周囲には幾つもの惑星が浮かび始めた。
更に進めば、その惑星さえ小さくなっていく。足元にも頭上にも無数の星が瞬き、自分たちの方が宇宙の中を歩いているようだった。
時折、遥か先から佐久間の声が聞こえてくる。
💙「……あいつ、どこまで行ったんだよ」
🖤「声だけは聞こえるね」
💚「元気だなあ」
そんなことを話しながら、三人もゆっくりと星々の中を進んでいった。
そして、最後に待っていた少し不思議な演出を抜けると、眩しい昼の光が目に飛び込んでくる。いつの間にか、星空ホールの出口へと辿り着いていた。
💚「めめ、どうだった?」
🖤「めっちゃ良かった。ずっといれる」
💚「だろうね。ほっといたらあと3時間くらい余裕でいそう」
🖤「いけるいける」
💙「ここが遊園地じゃなかったら、そうしてたんだけどな。長くいたら俺は寝てた」
💚「確かに。音楽も良かったよね。心地よくて寝れそうで」
💙「だろ」
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