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舞花と京香の電話の結果、どんな結論になるのか気になりながらもトイレから出られずにいる。
_____これからどうする?俺!
今後のパターンを考えみた。
①裏垢は京香じゃなかったから、舞花も京香を責めることもなく、京香も俺のことは話さない
②実は京香だったということがバレて、舞花と佐々木がキレまくって京香が追い詰められて、何かの拍子に俺とのことを暴露する
今この時間、舞花が京香に電話をしてことの次第を明白にしているだろう。
_____どっちだ?
既読にならない京香へのLINEを見つめながら、じっと息をひそめる。
ずっとトイレに座っていたら、マジで腹痛がしてきた。
これはあれか、神経的なものなのか。
ブルッとスマホが震えて、京香から《約束》スタンプが届いた。
二人だけの秘密という俺からのコメントに対しての、約束するという意味だろうか。
《わかってますよ。奥さん大事ですもんね。二人だけの秘密ですよ》
「よっしゃ!」
個室で小さくガッツポーズを決める。
あとはあの夜のことを、酔っ払ったせいだと貫くしかないな。
_____で、どっちだったんだ?あの裏垢は!
どうやって京香に確かめるか?待てよ、舞花が京香に電話したことは、俺は知らないことになってるはずだ。
ここに4人集まっているとは思ってないんじゃないか。
しばらく考えたあと、裏垢のことも舞香のことも全く関係ない返事をしようとした時、続けて京香からコメントが届いた。
《岡崎さん、あの夜は楽しかったです。またぜひ誘ってくださいね。私、さっきすごくイラつくことがあって、お酒飲んで忘れちゃいたいんですよ。その後は岡崎さんにめちゃくちゃにされたいかも?》
末尾にハート❤️が付いていた。
_____うわっ!マジかよ
舞花と比べると大人っぽくて色気もある京香と、またあんな夜を過ごせるかと思うと、さっきまでのハラハラはどこへやら、期待で心ばかりか下半身も膨らむ。
_____待てよ、ここは慎重にいかないとな
今度こそ、徹底して隠さないと杏奈にバレてしまうだろう。
〈俺みたいなおじさんより、京香ちゃんには若い彼氏がお似合いだよ〉
大人のふりして、素っ気ない文章だと我ながら感心する。
《そんなぁ…、私が好きなのは岡崎さんだけです。ダメですか?》
_____ぶほっ!鼻血が出る
出ないけど。
京香とLINEでやり取りしていたら、コンコンとノックの音がして、動揺してスマホを落としそうになった。
「ね、大丈夫?お腹痛いの。病院行く?」
杏奈の声だった。
「あー、もう出るよ。大丈夫だよ」
「そう、ならいいけど。あ、佐々木さんたち、もう帰るって」
「あ、そうか。よろしく言っておいて」
佐々木夫婦が帰ってしまえば杏奈も、俺のことをもう質問してこないだろう。
お邪魔しましたと、遠くから二人の声が聞こえた。
「やれやれ……」
安堵のため息をついていたら、京香から写真が送られてきた。
ほぼヌードのそれは、いわゆるオカズになりそうなもので、思わず顔がニヤける。
その写真は、お気に入りフォルダに保存しておいた。
大袈裟なほどの勢いで、トイレの水を流しながら外へ出る。
……と、ドアが途中で止まって、ぶつかった。
「あ、いたっ、なんだよ」
そこには杏奈が立っていた。
「随分長いトイレだったから、心配になったのよ。でも平気みたいね、顔色もいいし」
「あ、うん、出すもの出したらスッキリしたよ」
「違うでしょ?誰かと連絡取ってたんでしょ?それ」
杏奈が指さしたのは俺が手にしていたスマホ。
「やっ、これはゲームしながらさ、ただトイレに座ってるのも退屈だから」
「はぁ?お腹痛いのに?わけわからない。もういいわ!そろそろ圭太も起きる頃だし。起きたら散歩にでも連れて行ってくれない?その間に晩ご飯の準備するから」
それだけ言うと、さっさとキッチンへ戻って行った。
_____杏奈はもしかして気づいてる?