テラーノベル
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私は家の前に建つクリニックの方へ回り込んだ。
けど、誰もいない。
お盆休み期間の貼り紙を見て、帰ったのかな?…
緑は家の近くの海岸で、ぼんやり海を見ていた。
部屋の中に居る気分ではなかった。
心の中を波に委ね、洗い流したい気持ちだ。
そして心ごと 波に連れ去ってもらいたい。
スマホからLINEの着信音が鳴った。
鞄からスマホを取り出す。
陸斗だった。
【元気にしてる?】
緑は、まだ気持ちの整理がついていなかった。
だから、何て返せばいいかわからない。
なのに どこかで陸斗からの連絡を待っていたことに、今 気付いた。
自分でもどうしたいのか、解らなくなっている。
ただ1つ言えるのは、どこかでこの関係を終わらせないといけない。
いや、終わらせる。
【元気ではないよ】
適当な言葉が思いつかず、緑はそう返した。
陸斗を愛する気持ちがなくなったわけではないが、時間の経過と共に 少しずつ、冷静さを取り戻しつつある。
この恋に身を委ねたところで、未来はない。
セフレだとか愛人だとか割り切って付き合う程、強くない。
ずっと仕事で生きてきたのだ。
やはりこれからも、そうやって生きていくのが妥当かもしれない。
陸斗から返信がきた。
【色々と辛い思いをさせてごめん。明日、地元に帰ろうと思うんだ。
もしよかったらだけど、緑も来ない? 1日だけ、2人で一緒にいたいな。
明後日くらいはどう? 何か、予定入ってる?】
不倫旅行をしよう…ってこと?
緑は考え込んだ。
いっそ、その時に別れを告げようか…と ふと思った。
コメント
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第35話、読みました。緑の心情がすごく丁寧に描かれていて、特に「波に心を委ねたい」という描写から、自分でも整理できない複雑な感情が伝わってきました。陸斗からの連絡を待っていた自分に気づくところもリアルで、不倫旅行に乗るかどうか迷いながら「その時に別れよう」と心の準備をする緑の強さと弱さの両方を感じました。次がどうなるか気になります。
#狂愛
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