テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
翌朝、3人はなんともいえない雰囲気のまま朝食を摂っていた。
生涯一ノ瀬亭に居ること、瓜生の監視下にいることを条件に投獄は免れた。
ミズキもトウマも1人ぼっちになる前の記憶はあまりなかった。それはハルも一緒だった。
「•••ミズキ、トウマ。」
ハルが声をかける。
「あのさ、昨日の話、聞いた。」
「•••そうか。」
「でも俺は、2人と一緒にいるからな!今までだってそうだったんだから、今更離れたりしないからな!」
「知ってた。」
「僕も、それくらいわかってたよ。 」
「はぁ!?」
ハルのことだから見放されないことはわかっていた。それでも本人から実際言われると安心もしていた。
「お前ら元気だな。」
「険悪になるより良いでしょう。」
そう言って花村と叶はコーヒーを飲む。
「そういえば、今日からまた訓練でしょ。遅れるわよ。」
「そうだった!」
「15分後に玄関集合な!」
そう言って3人はバタバタと準備を始めた。
「そうだミズキ、ちょっと管理棟行くぞ!」
「ちょっと待ってよ!」
そう言ってハルはミズキの手を引いて管理棟に向かう。
大きなモニターやコンピューター、無線機器など精密機械が並ぶ。
ミズキはなにがなにやらさっぱりだった。
その中の1室に見慣れた後ろ姿があった。
「いたいた!霧島!」
「霧島、君?なんで。」
「あ、雨音さん!実は見習いとして入ったんだよ。あの時、なにも出来なくて守ってもらっただろ?俺、運動は苦手だけど、機械なら役に立てるかと思って。」
少し照れながら霧島が話す。
「この前課題も持ってきてくれたんだよな!」
「そっか、ありがとう。」
「来週提出みたいだから。」
「来週って•••。」
「あと4日しかなくね!?」
3日間は訓練にあてられるため、実質1日で終わらせないといけない。
「まぁ、なんとかなるかな。」
「見習い!なにしてる!早く戻れ!」
「はい!じゃあ、また!」
そう言って霧島はモニター前に戻った。
「俺達も行くか、そろそろ待ち合わせだろうし。」
「そうね。」
ハルとミズキも待ち合わせ場所に向かう。
「見習い、お前、あいつらと知り合い?」
「はい。クラスメイトです。」
「なら気をつけろ。あの女」
「んんっ!」
いつの間にか叶が後ろに立っており、苛立ちを隠していない咳払いをした。
「か、叶さん、お疲れ様です! 」
「お疲れ様です。うちのミズキがなにか?」
「い、いえ•••。」
「叶、やめとけ。」
後ろから瓜生が止めた。
「おはようございます。」
管理棟の職員が向き直り敬礼をする。
「俺は今から行ってくるが、叶、あんまり他の奴をいじめるなよ。霧島、見習いだろうと軍の一員だからな、気を抜くなよ。」
「は、はい!」
「•••あいつらの事も頼むな。」
瓜生は霧島の頭をぐしゃぐしゃと撫でると訓練場へと向かった。
いつもの見慣れた訓練場に着く。
そこには複数名の隊員の姿があった。
「あいつらじゃねぇか?」
「敵なんだろ、なんで殺さないんだ。」
ヒソヒソとする声と視線が3人へ向けられる。
花村もわかっていたが、やはり大体の隊員にとって納得のいく処遇ではなかったのだろう。
「トウマ君!久しぶり!」
「わ!えっと、奏さん、お久しぶりです。」
トウマの後ろからアリアが抱きついてきた。
「アリア、久しぶり。」
「ミズキちゃん。久しぶり、元気そうで良かった。」
ハルとトウマが驚いた顔でミズキを見た。
「なに?」
「いや、だってミズキ、珍しいなって
。」
「ミズキちゃん!久しぶり!」
「よう。」
そこにリョウとハクトも合流した。
「リョウ、ハクトさんまで。」
「なんだか大変な事になったんでしょ?良かったよ、ミズキちゃん達が処刑にならなくて。」
「面と向かって文句も言えない奴らもいるみたいだしな。 」
そう言ってハクトが他の隊員を睨み付けた。
「整列!」
瓜生の声が響き渡る。2つのグループをまとめて面倒をみるため、今までの訓練より人数が多い。
「昨日の1件のことは俺に権限がある!あいつらの処遇に不満がある奴は直接俺に言ってこい!ないなら始めるぞ!」
瓜生の言葉に名乗りを上げる隊員はいなかった。
それを確認すると昨日の周参見と平野からの情報を元に、想定された訓練が始まった。
「ちんたらするな!動け!」
瓜生に対し12人の隊員全員で戦う
しかし瓜生の動きについていける隊員は少なく、大剣の凪払いで飛ばされる者、近づくことすらできない者もいた。
「はあ!」
「おりゃ!」
そんな中、ハルとミズキが前衛で瓜生に立ち向かう。
「いっけぇ!」
「お前静かにしろよ!奇襲だろ!」
2人が攻撃を受け止めている間に後ろからリョウ、ハクトが斬りかかる。
「ふん!」
「うわ•••!」
「くっ!」
瓜生は渾身の力でハルとミズキを振り払うとリョウ、ハクトへ攻撃をしかける。しかし、そこに左右からナイフと矢が飛んできた。
「トウマ君、ナイス!」
「奏さんも、ナイスサポートです。」
「ほう。」
瓜生は一旦距離を離す。そして、短期間でここまでの連携がとれるようになった3人の成長を感じていた。
「はははは!お前達、いい動きだ!だがな、2度目はない!来い!」
「やったろうじゃねぇか!」
「ハル、行くよ!」
そうしてまた6人で瓜生に立ち向かう。
「残りの奴らはこっちだ!鍛え直しだ!」
残りの隊員達は花村達によりまた基礎訓練からやり直しとなった。
1日目の訓練が終わり、3人はクタクタになりながら屋敷に戻る。
「遅かったな。」
「え?ハクトさん?」
「やっほー!俺もいるよ!」
「今日からお世話になるから。」
その後ろからリョウ、アリアも出てきた。
「お帰りなさい。瓜生さんがみんなを連れてきたのよ。本当に私情挟むんだから。」
そう言う叶も心なしか嬉しそうだ。
「ちなみに、他の隊員は?」
恐る恐るハルが聞いてきた。
「あぁ、瓜生さんとか花村とかからの鍛え直しね。」
叶から殺気が出てきた。恐らく昼間の訓練の結果だけではなさそうだ。
ミズキは霧島の姿がないことに気づいた。
「霧島君は?」
「霧島君は見習いだから、ちゃんと家に帰ったわ。拘束はできないし、あなた達とは違うからね。さ、みんな、夕飯にするから、早くシャワーしてきて!」
その一言でハル、トウマ、ミズキはそれぞれの部屋に行く。そしてまた、明日からの訓練に備えるのだった。