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#リゼロの二次創作増やすため、意味もなくリゼロタグ
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最高です...( ̄ー ̄)bグッ!
おおお!!『リゼロ』の二次創作、しかもラインハルト×スバルの出会い編…!✨ 読んでて「ああ…そういう関係性か…!」ってニヤニヤが止まらなかったよ〜😭💕 特にスバルが「好き?」って何度も聞かれて困惑しつつも答えるところ、最高にエモかった…! ラインハルトの「スバルじゃなきゃダメ」発言に胸がギュッてなったよ…! からあげさんの柔らかい文体、めっちゃ合ってると思う!続きめっちゃ気になるので頑張ってください🔥
暖かい太陽の光と心地いい鳥の囀りを身に受けながらゆっくりと目を開ける。おそらく使用人が開けてくれたであろう窓からそよそよと風が吹き、カーテンが揺れていた。
寒くも暑くもないこの気温のおかげでベッドから出るのも苦ではなく、すんなりと足を地面につけ、着替えをしまってあるクローゼットへと歩いて行った。中からお気に入りのいつものジャージを引っ張り出し、腕を通す。
扉を開けて、廊下に出ると朝の掃除をしてくれていたメイドと目が合い、お互いに挨拶を済し、会釈をする。そのままいつも通りに中庭に目を向けると綺麗な赤髪が目に入った。毎朝の鍛錬であろう。彼の指南役と共に剣を交えている。指南役と言ってもどちらが指南しているのか分からないぐらいに赤髪に押され、苦しそうに追いやられていく。
(また辞めるだろうな…)
そんな杞憂に襲われながらもスバルは窓枠に近づき、部屋とは違い、まだ開けられていなかった窓を開け、その赤髪の持ち主に声をかけた。
「おっはよー、ラインハルト! 朝からお疲れさん」
その声を聞いたラインハルトは顔を上げ、二階の窓からこちらを覗いているスバルを見つけたあと顔を綻ばせる。
「おはよう!」
嬉しそうに手を振る少年をスバルは愛おしそうに眺めていた。
ナツキ・スバルは引きこもりである───であった。
とある日の深夜、コンビニに出かけた彼はそのコンビニから出た途端、異世界へと転移させられた。初めは何が何やら分からず、右往左往していたスバルであったが、一時間も経てば頭の整理がつき、自分がどういった状況に陥っているのかを理解できた。
理解はできたが納得はできない。なぜ自分がこんなことになっているのかどうすれば家に帰れるのか。次はその問題が頭を悩ませ、スバルは路地裏へと入り、適当な場所に腰を下ろす。
これからどうしたものかと途方に暮れていると、ふとスバルの目に燃えるような赤髪が目に入る。
ああ、異世界だもんな。あれも地毛なんだろうな。
と、どうでもいいことを考えていたが、その赤髪を揺らす少年が不安そうにあたりを見回していることに気づき、スバルは立ち上がる。
(迷子だ)
小学生程度に見える少年が一人で何かを探すにキョロキョロとしている。そうとしか思えない。仮に違っても一人でいるのいうのは危ないだろうと自分に言い聞かせ、路地裏から通りへと足を踏み出した。
薄暗い場所から明るい場所に出たもんだから目が慣れず、パチパチと何度か瞬きをする。けど赤い髪を見失わないように視界に捉え、歩みを進める。そしてようやく側に辿り着き、少年の肩を叩く。
「えっ…?」
いきなり知らないやつ、しかも自分のような凶悪顔から声をかけられたのに驚いたのだろう。二、三歩下がられたことに、予想はしていたことだが少しショックを受けた。
「ごめんな、ビックリしたな?」
「えっと…?」
「あー、その。間違ってたり、俺が先走ったりしてたっつーんならそれでいいんだけどな…───もしかして迷子?」
迷子、という単語を聞いた途端、少年の肩が跳ねる。
ビンゴ。
とりあえず不審者には間違えられるまいと身振り手振りで自分は怪しいものではないと伝え、道の中央で止まっていても邪魔になると思い道の端へと移動した。
「どこではぐれたとか分かるか?」
「……」
ふるふると首を横に振るのを見てスバルは「そっか」と頭を撫でた。
「一人で怖かったろ? 泣かなくて偉かったな」
「えら、…い?」
「おう! よく頑張った!」
わしゃわしゃとよく父親にやられてたみたいに目一杯撫でてやると少年は目を見開きあり得ないものを見るような目つきでスバルを見た。
「あ、もしかして頭撫でられんのやだった…?」
それが嫌悪からくるものではないかと恐れたスバルが尋ねると、また首を横に振られ、スバルの目を見つめながら話し始める。
「あ、のね。お父様が、えっと」
「うん」
「挨拶してくるからって。その」
「ゆっくりでいいからな」
「うん…えっと…」
一生懸命次の言葉を探しながら話す少年と目線を合わせ、何度も何度も相槌を打ちながら話を聞いていく。
どうやらこの子の父親はどこかしらのお偉いさんに挨拶に行くからとその人の住む家の前に待たせていたらしい。しかし、なかなか帰ってこない父親に痺れを切らしてしまったようで、ウロウロとしていたらここがどこか分からなくなってしまったのだとか。
誰かに声をかけようにもどう話しかけていいのかが分からなくてどうしようもなくなっていた時にスバルが来たと言った。
「お父様、怒ってるかな」
「まあ、待ってろって言われてたんなら怒ってるかもなあ」
「っ……」
「でもさ。大丈夫だよ。まずは無事で良かったって安心されるはずだしさ。それに怒られるっていうんなら俺が誘ったって言ってやるよ。一緒に怒られよーぜ」
にしし、と笑うと、また少年は驚いたようにスバルを見て、照れくさそうに俯く。
「じゃ、まずは地図探し…と」
「え? この辺りのこと詳しいんじゃ…」
「んなわけねーだろ。自慢じゃねーが俺はここがどこかもどうやって自分が来たのかも分かんねーんだからな!」
「───僕よりもずっと迷子…?」
「うぐぅ」
バツが悪そうに顔を顰め、話題を変えようとスバルは少年に向き直った。
「そういや、お前なんつーの? 名前」
「僕? 僕はラインハルト。えっと、お兄さんは?」
「俺の名前はナツキ・スバル! 天下不滅の無一文! っつーことで、その、なんかこの辺でいい仕事とかない…?」
「やっぱりスバルの方がずっと大変だ…」
心配する側からされる側に移されてしまったスバルはがっくりと肩を落とした。
「またはぐれたりしたらアレだし手ぇつなごーぜ」
「手」
「手。ほら」
コンビニ袋を持ってない方の手、つまり左手を差し出すと、ラインハルトは顔と左手を交互に見た後に恐る恐る手を握る。
スバルの表情を窺うように顔を見られる。
「どったの?」
「いや、何でもないよ…その、うん」
先ほどからこの子の態度が妙に引っかかる。何かをずっと我慢していうような、恐れるような。スバルの手を握るその力も弱々しく、すぐ離れて行ってしまいそうだ。
何がそんなに怖いのだろうか。
少なくともスバルに対してはそこまでの不信感を覚えていないはずだ。スバル自体が怖いというのならこんなに人通りがあるのだから叫んで助けを求めるに違いない。
(いや、道を聞けなかったんだっけか)
それなら助けを求めなかったというより求められなかった、とも考えられる。
しかし、スバルのことを心配する素振りを見せてくれたことを思えばやはり不審には思っていないと考えて良いのかもしれない。
(でも度を超えたお人好しって可能性も…)
けれど、まあ。
(ほぼ握ってないような手を振り解いて行かないってのは、そういうことで良いんだよな)
そう結論づけたスバルは手に少しだけ力を入れて、一回りは小さいその手を握り込む。すると、ラインハルトも遠慮がちに握り返してきてくれて、その態度にスバルは安堵する。
それはともかく。
「すみません、ちょぉっと聞きたいことがあるんっすけど」
近くを歩いていた中年の男を呼び止め、ラインハルトの言っていた家の場所を聞く。
この辺ではそこそこ有名な人物らしく、すんなりと目的地を知ることができた。
「サンキュー! 助かったわ!」
「さん…? まあ助けになったなら何よりだよ」
そのままラインハルトの手を引きながらその屋敷へと向かって行く。
屋敷はかなり大きいようで、そこそこ離れているはずの場所からもその姿を目視することができた。
ちゃんと到着できると一息つくスバルとは対照的にラインハルトの顔は強張っている。父親に叱られるのがそんなに怖いものだろうかと考えたが、実際自分が悪戯をした際の父親を思い出しスバルは勝手に納得していた。
屋敷にはテレビや漫画でしか見たことのないような立派な門が備えられており、門番が立っている。先ほどの楽しげな町の雰囲気と打って変わったその厳格な雰囲気に気圧されてしまうところだが自分よりも歳下が緊張しているのだ。ここで自分まで空気にやられてしまってはなるまいとできるだけ気丈に振る舞いながら門番に声をかける。
「すんませーん…」
「はい?」
「お届けものでーす…なんちゃって」
ジロリとこちらを睨むような視線に耐えられず思わず茶化してしまう。
ラインハルトの両肩を持ち、差し出すかの如く前へ押し出すと門番がすぐに姿勢を正し、ラインハルトに頭を下げた。
「あの、お父様は」
態度の違いに驚くスバルを置いてさも当然かのように普通に接するラインハルト。
(もしかしてこの子結構良い家柄だったり…!?)
ラインハルトの小さな影に隠れるかのように後ろに立つと、門番はやはりスバルを睨むように見てくる。
(絶対誘拐犯だと思われてる!!)
訂正しなければと、頭の中で様々な会話パターンを想像していると、門番が口を開いた。
「ハインケル様ならご帰宅されましたが」
「……は?」
訂正の言葉よりも、誤解を解くセリフよりも先に出てきたのはそんな腑抜けた声だった。
「…そう、なんだ」
まるで分かってましたよと言いたげにラインハルトは目を伏せる。
「ごめんね、スバル。せっかく連れてきてもらったのに…」
門番さんもごめんなさい、と何も悪いことをしていないはずのラインハルトが頭を下げる。その異様な光景に門番と立派な門を目にした時とはまた違う、別の空気の悪さに気圧されることとなった。
「い、いやいや。いやいやいや!! なんでだよ!」
「スバル…?」
「ラインハルトがいなくなったの親父も気づいてるだろ!?」
「多分そう、だけど」
「ならどうして置いて行ったりなんか…!」
「お言葉ですが」と門番に口を挟まれる。
「このお方なら一人で大丈夫だと判断されたのだと」
「どうして!」
「ラインハルト様だからです」
「はぁ!?」
意味がわからない。
小学生程度の子供だぞ。なのになんで。
スバルは門番の言葉の意図が汲み取れず、怯えていたはずの門番に食ってかかる勢いで前に出る。
「ラインハルト様は、我々よりも腕達者でいらっしゃる。だからこそ、ハインケル様も信頼し、お一人にされたのだと」
「なんっだよそれ…」
育児放棄にも程がある。
これが異世界の子育てなのだろうかと一瞬頭をよぎったが、そんなわけあるかとその考えを追い出した。
(だってこれが普通なら)
(ラインハルトがこんな顔するわけねーだろ!)
スバルの後ろでこちらの様子を見ているラインハルトの顔はいまだに迷子の子供のようで。父親が帰ったのならと同意したようには見えない。
「い、良いんだスバル。僕、一人で帰れるから」
「いやでも」
あたりはどんどんと薄暗くなっている。
ラインハルトの家がどの辺りにあるのかを知り得ないスバルにとってその言葉は聞き捨てならないものだった。
「俺もついてく」
「でも」
「こんな子供を一人にはできねーだろ…、そろそろ夜だし…、また道に迷うかもしれねーし…」
ワシワシと大して整えていない髪をかきむしり、ラインハルトの手を繋ぎ直す。
「一緒に帰ろう。…あと、ついでに泊めてくんね?」
「一緒に」
まるで美味しいものを味わうかのように、ゆっくりとそう言ったラインハルトは今度は打って変わってぎゅうと音が出そうなほど強くスバルの手を握りしめる。
その力は子供のそれではない。
門番の言ってた通りラインハルトの力は常人とかなり掛け離れているのだろうとスバルは思う。しかし、それがなんだというのだと言わんばかりにその力に負けないぐらい手を握り返した。
「で、家どっち?」
「…! こっち、こっちだよ、スバル」
グイグイと引きずられるようにラインハルトの後をついて行く。
その後ろ姿を門番は不思議そうに見送った。
ラインハルトはここがどこか分からなかった、と言ったがそれは嘘だったのではないかという気がしてきた。
手を握るどころか掴んでいるその子供を見てスバルは首を捻る。ここまで家までの帰路を自信満々で進んでいるのだ、そんな記憶力を持つ者があの程度の距離で迷うものだろうか。
勿論、ラインハルトの家からあの屋敷まで何度も行ったことがあり、道を覚えている可能性はあるが。しかし、屋敷からここまでかなり歩いたが、ラインハルトの家らしきものは全く見えて来ない。屋敷自体町のはずれにあり、周りには木々が生い茂り視界があまり良くなかったというせいもあるが、住居らしき建物は現れる様子はなかった。
木、木、木…。
ここさっき通ったとこじゃないか?
そんな妄想をさせるほど同じ景色が繰り返される。それを平然とした顔で進んで行くのだ。到底道に迷って困り果てる普通の子供には見えない。
(そっか、逆だ)
ここでスバルはある仮説を思いつく。
(道に迷ったから迷子なんじゃなくて、迷子だから道に迷ったんだ)
ラインハルトは、迷子になる必要があった。だから、あの程度の道がわからなかったのだと。
それは恐らく。
「ねえ、スバル」
と、ここでラインハルトの声が響く。
今まで気に留めてはいなかったが、あたりが静まっているからこそ、その声の美しさに耳を傾けしまう。
少年らしいといえばらしいが、とはいえ他の声とは一線を画す澄んだ声。聞くもの全てが聴き込んでしまうような、玲瓏たる声。
こんな声で歌でも歌われたら老若男女問わずころりと落ちてしまうだろう。
見た目もそうだ。
ズボンを履いていたから少年だと判断したが、もしスカートなんか履かれていた際には少女かと見紛うような綺麗な顔立ち。目はパッチリとしており、碧眼の宝石のような瞳が溢れ落ちそうだ。鼻は高く、整っており、すっきりとした顔の輪郭と良くバランスが取れている。おでこ、頬、眉、まつ毛、唇。どこをとっても美しいと表現出来てしまうような完成された顔立ちに十年後が楽しみだなとスバルは心の中でほくそ笑んだ。
そんな少年が、顔も声も、全てをスバルに向けている。
なんだか気恥ずかしくなり、視線を逸らすと「こっち見て」と腕を強く引かれた。
「どうしたどうした、急に強引…、スバルお兄さん照れちゃうよー」
「ごめんね、スバルに確認したいことがあって」
この場を誤魔化そうとふざけたことを言ったが華麗にスルーされ、その豹変っぷりにぎょっとした。
あれほどまでにオドオドしていたはずのラインハルトはもうそこにはいないようで、スバルを見つめるその瞳は力強い。
「仕事がないって言ってたよね」
「…言ったな」
「家に泊めてほしいとも言ったよね」
「それも言った…」
「そっか。うん。ありがとう」
確認は終わったとも言いたげに満足そうに口角を上げ、移動を再開する。
足取りは軽やかで、今にもスキップを始めそうだ。
新しいおもちゃを与えられた子供のように。今から欲しいゲームを買ってもらう子供のように。
楽しげに、嬉しそうに。
「スバル」
「……何?」
「ありがとう。僕を見つけてくれて」
やっぱりそうだったのかと、仮説が正しかったことを理解した。
ラインハルトは父親に探しにきて欲しかったのだ。
『剣聖』というらしい。
家に帰ったラインハルトを使用人含めて誰も心配する素振りを見せなかった。全員が全員というわけではないが、殆どが「おかえりなさいませ」だけである。それもこれもラインハルトの持つ加護に対する信頼の証であった。
『剣聖の加護』。
ラインハルトの祖母から引き継がれたらしいそれは世界に愛されている証拠らしく、それを持つものは例外なく人並み外れた剣の才能を惜しみなく発揮させる。
あの力の強さもそういうことだったのかと合点がいく。
ラインハルトはまずスバルの手を引き、真っ先に父親、ハインケルの部屋へと飛び込んだ。
「この人を世話係として雇って欲しいんです」
そう言ったのち勢いよく、それこそ土下座も辞さない態度で頼み込むラインハルトを不気味な物を見る目でハインケルは見つめ、「好きにしろ」とぶっきらぼうに言い放った。
関わりたくもないとでも言いたげな態度にスバルはまた少し眉を顰めるが、ラインハルトが飛び上がりそうなテンションで何度も何度も「ありがとうございます」と繰り返す物だから口から文句の言葉ひとつも出て来なかった。
「スバル、僕と部屋同じで良いよね?」
「えぇ…何その距離の詰め方…」
着替えはここ、靴はここに、変えの下着はと着々とスバルが暮らす準備をするラインハルトに何も言えず、ただ茫然と立ちつくす。
「スバル、スバル。あのね、世話係と言ってもほとんど使用人さん達がしてくれるから君の仕事はほとんどないって思ってくれていいからね」
「それ良いのかよ!? ニートみたいなもんじゃん!」
「にいと、が、よくわからないけど。良いんだ。スバルは僕の側にいて。僕におはようって言って、おやすみって言ってくれたら良いんだ」
「それ俺じゃなくても…」
「ダメ。スバルじゃなきゃ絶対ダメ」
「ダメなんだ…」
一通り部屋の準備が終わったのか、ラインハルトは部屋にあるソファを指差し、「座ろう」と一言告げる。
そのまま何も考えずソファに腰掛けると、隣にラインハルトも座り、二人分の重さでソファが沈んだ。
「スバルが着てるこの服、見たことない作りをしてね? どこのなんだい?」
「えっと…どこだっけな。なんかお母さんが買ってきてくれたやつだよ。着やすいから着てる」
「この辺では買えない?」
「買えない、んじゃねーの? 多分」
そもそもこの世界の品物ではない。似たようなものは存在してもジャージという服があるとは考えられない。
「そっか…。お揃いには出来ないね…」
「お揃いにする気だったの!?」
残念そうに口を尖らせたラインハルトだったが、すぐに切り替え、スバルの黒髪を興味深そうに触る。
「染めてたりするのかい?」
「いや、地毛だけど」
「へぇ、そうなんだ…! 珍しいね。スバル、目も黒いし」
どうやら現実とは違い、黒髪が珍しがられる世界のようでそのギャップに驚かされた。そして、髪のことなら、と、スバルはラインハルトのその綺麗な赤髪に手を伸ばす。
「そーいうお前もこれ地毛だろ? 綺麗だよなあ、真っ赤で」
「綺麗…かな」
「綺麗だよ。うわ、根元まで真っ赤! すげぇ!」
ラインハルトの髪をかき分け、つむじあたりを見るとやはりそこも真っ赤であった。赤い髪がしっかりと頭皮から生えている。プリン頭とは程遠い綺麗な色を堪能するようにまじまじと眺める。
「僕の家族は赤髪が多いから気にしたことなかったな…」
「へぇ、遺伝ってやつかな? そーいや、親父さんも髪赤かったよなぁ。いいなぁ」
派手な髪色に憧れていた時期もあったスバルにとって最初から色付きの髪が生えてくるなど羨ましいにも程があった。
色を見るのに満足したスバルは、そのままラインハルトの頭にある手を動かし、今度は髪の感触を楽しむ。一本一本が細いのだろう。もふもふとした心地いい触感が伝わり、頬が緩む。
撫で心地がすごくいい。
「…本当に髪質超いいな…。長かったら三つ編みとかやりてぇ…」
近所の子供にせがまれて三つ編みやらツインテールやら編み込みやらを散々やっていた記憶がある。無駄に手先が器用であったスバルは髪を結ぶのもかなり上手く、女児に大人気となり、公園でスバルが来ているとなればヘアゴムを持ち待機されていたぐらいだ。
「スバルは髪が長い方が好き?」
「ん? まあ、ロングは可愛いもんなあ」
「じゃあ伸ばすね」
「んっ???」
「伸ばすよ、スバルが好きなら」
「んー???」
にこやかにそう告げるラインハルトは揶揄っている様子もなくただ本当にスバルの喜ぶ顔が見たいとも言いたげな顔をしていた。
「え? なんで?」
「だってスバルは髪が長い方が好きなんでしょ?」
「だからなんでそれで髪を伸ばすって話になんの! 髪が長い方が好きなのは女の子の話だし!」
「女の子…、じゃあ男の僕は短くても好き?」
「えぇ…? まあ、似合ってると思うけど…」
「好き?」
「…ラインハルト?」
「スバルは、今の僕が好き?」
「……、す、き?」
「えへへ」
困惑しつつも好きだと伝えると、ラインハルトははにかみつつ、スバルの腕に抱きついた。
「スバルは僕が好き、ね、スバル。もう一回」
「…好き?」
「もっかい」
「すーき」
「うんっ! うん! 僕も! 僕も好きだよ!」
確かめるように繰り返させ、その問答はしばらく続けられた。スバルには自分の何がラインハルトの琴線に触れたのかが分からずただただ意味もなく「好き」という言葉を使うロボットになっていた。
「ら、ラインハルト。そろそろ口が乾いてきたんだけど…呂律回んねぇ…」
舌が疲れるという経験したこともない疲労感に襲われ、ラインハルトの頭を撫でつつ問答の終わりを告げる。
「そっか。そうだね。じゃあスバル、最後にもっかい」
「…好きだよ、ラインハルト。大好き」
「えへ、えへへ」
僕も。
ラインハルトはスバルの腕に体重をかけ、「好き」という言葉を噛み締めるた。
宝物のように、スバル腕を撫で、その手を握る。
(ああ、今日、お父様に着いて行って正解だった…)
今までにない幸福感に包まれつつ、ラインハルトはその意識を手放した。
眠ってしまった少年をスバルは一度撫でたあと、ベッドへと移動させる。靴を脱がした後自分も眠くなってきたと一緒にベッドに潜り込み、ラインハルトを抱きしめながら目を閉じる。
(あったけぇ…)
燃えるような赤髪を持つ彼の体温も子供ということもあってか高く、スバルもすぐ眠りにつくことができた。
二人の呼吸に合わせ、掛け布団が上下する。
カーテンも閉められていない部屋には優しい月明かりが差し込んでいた。
朝、スバルが目を覚ますと作り物のような綺麗な顔立ちが視界いっぱいに広がるものだから思わず飛び起き、ベッドから転がり落ちそうになる。
(あ、そっか! 異世界来てたんだ!)
一旦落ち着いたスバルは、ラインハルトを起こさないようにゆっくりとベッドから這い出た後、部屋の窓を開ける。そこには綺麗な噴水やら花壇やらがあり、ザ・貴族の中庭という雰囲気に苦笑いを浮かべた。
(昨日の屋敷もすげえって思ってけど、ここも大概だよな…)
昨日は風呂も入らずに寝てしまったことを思い出し、ラインハルトを起こして風呂の場所を聞こうとしてた矢先、腰あたりに抱きつかれる。
「うっ、わ! びっくりした!」
「…おはよう、スバル。早起きだね?」
眠たそうに目をこすりながら言うラインハルトはひとつ大きなあくびをしてスバル腰にその顔を埋めた。
「おはよーさん、ラインハルト。朝っぱらから悪いんだけど、風呂とかって貸してくれたりする?」
「お風呂? 勿論いいよ。僕も入らなきゃ」
行こう、と自分側にあったスバルの手を取り部屋を出る。
豪華絢爛な廊下を進むと、一階階段を降り、また進む。しばらくした後、他の扉とは雰囲気の違う扉へと辿り着き、ラインハルトはそのドアノブを捻った。
「すっっげ」
おそらく脱衣所であろうこの場所は脱衣所と呼ぶには広すぎるぐらいで、銭湯の更衣室以上はある。
そのままラインハルトに連れられ中に入ると、服を脱ぐように促された。
「あ、着替えどうすんの?」
「大丈夫だよ、誰か持ってきてくれるはずだから」
「ふぅん」
脱いだ服はここだよ、と教えられた場所に服を置き、風呂場へと入る。
「…金持ちってすげぇ」
今まで生きてきた中で映画でしか見たことが無いような湯船があり、度肝を抜かれる。ただ体を洗う場所になぜこんなにも大量の装飾品が必要なのかと疑問に思うが、まあ金持ちだからとすぐに頷き風呂場の扉を閉じた。
「頭を洗うのがこっちで、体はこっち」
何個もある石鹸に顔を引き攣らせながら髪を洗うようの石鹸を手に取り泡立てる。
「ラインハルト、髪洗ってやろうか?」
冗談のつもりでそう言ったが、ラインハルトが顔を明るくさせ、髪を濡らした後スバルの前にちょこんと座るものだから、大人しく泡を髪に乗せ、なるべく優しく洗い始めた。
誰かの頭を洗うなんて経験がなかったためか、チラチラとラインハルトの顔色を窺う。
「痛くねーか? 痒いとことか」
「平気だよ! あ、でも流す時は言ってね。目に沁みちゃうから」
「分かってる分かってる」
この綺麗な髪が傷んではいけないと、ゆっくり丁寧に洗い、言われた通りに「流すぞ」と宣言する。
頷いたのを確認すると、桶で組んでいた湯船のお湯を頭からかけ、泡を綺麗に洗い流す。そして泡が無くなったのを確認したラインハルトは立ち上がり、スバルの後ろに立った。
「交代だね」
「はいはい、よろしくな」
楽しげに泡を立てながらスバルの頭をわしゃわしゃと洗う。
スバルとは違い、あまり力の加減をしなかったせいかかなり痛かったが、表情に出さないように努力し、ラインハルトの好きなようにさせる。同じようにお湯をかける確認をとられたから了承し、流してもらった。
ポタポタと髪から落ちる水滴を少し絞るように横髪を触った後、耳にかける。
「スバルって」
いつの間に前に移動していたラインハルトがスバルの顔を見入りながら続ける。
「前髪下ろしたらすっごく子供っぽい」
「お? 喧嘩か?」
かなりそれを気にしていたスバルはコンプレックスを的確に着いてきたラインハルトに食ってかかる。
「ち、違うよ! 感想だってば!」
慌てて否定するラインハルトが妙におかしく笑うと、もう、と頬を膨らました。
「体洗うやつはこっちだったよな。…背中洗う?」
「洗って!」
ご機嫌を取るように石鹸を振るとすぐに上機嫌になったラインハルトはまたスバルの前に座る。
弟ができたみたいだと顔を綻ばせ、また丁寧に背中を洗った。
「せ、背中もげるかと思った…」
「ごめんね、加減分かんなくて…」
いまだにヒリヒリとする背中を労わりながら湯船に浸かる。足を目一杯伸ばしてもまだまだ余裕のあるその広さに感謝しながら肩までつかった。
スバルが背中を洗い終わると、また交代だとラインハルトに背中を洗われた。しかしその力はすごく強く、ガシガシと背中を抉られるように洗われてしまった。髪を力強く洗われるのにはなんとか耐えられたが、背中のそれは髪とは比にならないぐらい痛く(実際皮も少し剥げたりした)、涙目になりながら終わるのを待った。
「スバル、僕のこと嫌いにならないで…」
「ならねえって。けど、力加減覚えような…」
俺みたいなのはすぐ死ぬからと言えば何度も首を縦に振られ腕に抱きつかれた。
「本当にごめんね」
「そんな落ち込むなって、失敗くらい誰にでもあんだろ? な?」
「…うん。そうだね」
安心したように顔を綻ばせたラインハルトに釣られるようにスバルも笑う。
緊張がほぐれたおかげか急に空腹感に見舞われ昨日から何も食べていないことを思い出した。食欲が湧かないほど大変な一日だったとしみじみ思い、よし、とまた肩まで沈んだ。
「っスバル! 溺れないで!」
慌てて腕に抱きつく力を強くしたため、骨が軋む。
「溺れてねぇよ!? いいかラインハルト。風呂ってのは肩まで入って百数えてから出るんだ
ぞ」
「なんで?」
「あったまるじゃんか」
「そっか、そうだね! じゃあ僕も」
ラインハルトの肩が浸かったのを目視し、スバルは数を数え始めた。
「いーち、にー、さーん…」
百数え終わることには二人ともほんのり赤くなっており、ポカポカしたまま風呂場を後にする。
ラインハルトの言った通り、脱衣時には綺麗に畳まれた服と下着が置かれており、昨日の服は回収されていた。
「スバル、朝ごはん食べようよ」
「そーだな。…お前んちって朝はパン派?」
「そう…だね。大体は。スバルのお家は?」
「うちはご飯の割合が多かったなあ。大抵ご飯が出てきたぜ」
「…? 朝ごはんだからごはんが出てくるのは当然だと思うけど…」
「いやだから、ご飯だって白ご飯」
「白いものを食べるんだね?」
「そーじゃなくて、米! ごはん!」
「朝ごはん…だもんね?」
「あれ!? もしかしてご飯が無い世界!?」
ラインハルトの頭の上にはてなマークを浮かんでいる。
「カルチャーショックだわ…」
「かるちゃあ?」
「あー、文化の違いに驚いたってこと」
「スバルが使うその言葉もスバルの故郷独自のものなのかな? 聞いたことが無い言葉ばっかり」
「そう、って言っていいのか? 和製英語ならともかくカルチャーショックは英語…だよな?」
「わせいえいご? えいご?」
「あ、そうだよな、分かんねーよな」
服を着替え終わった二人は脱衣所を後にして食卓へと向かう。
そこに用意されていたのは朝ごはんと言っていい程では無い、凄まじい量の料理たちであった。
「食い切れるかなあ!?」
「大丈夫! 僕も毎朝食べてるから」
とても信用ならない大丈夫を受け取り、スバルは自分の分であろう料理に手をつける。味は申し分ない程に美味しいのだが、しかし。
やはり食べ切れず、残った分はラインハルトの胃袋へと収まることとなった。
少し書き方変えて見ました。書き方安定出来ないので、作品事に変わると思います……