『猫被りな僕に君は恋をする。』
誰しも、一度は猫を被ったことがあるだろう。
それは相手によく見られたいから、
かっこいい自分・可愛い自分をアピールしたいから。
何であれ、人が猫を被る理由はそれぞれあるだろう。
だが、猫を被っていてもそれが永遠に続く人はほぼいない。
何故かと言うと、ボロを出してしまうから。
いつかは本当の自分を相手に見せてしまうのだ。
なのに、皆なぜずっと猫を被りたがるのだろうか…。
パタッ…
読んでる途中で僕は本を閉じた。
「はぁ~、猫についてたくさん書いてあると思ったのになぁ~…」
猫被り…
猫という単語に釣られ、ついつい図書室で借りてしまった本だった。
しかし、内容は猫を被るという人間してしまうことについて書かれていた。
(明日、すぐに返しに行こっと…)
にしても、本の内容が少し皮肉のようにも感じてしまう。
「猫を被ることの何が悪いんだか…!」
そう、ムスッとしながらカバンに先程の本を入れる。
翌日
“ピンポーン…”
家の中にチャイムの音が響き渡る…。
「ん~…」
僕は、目を擦りながら重たい体を起こす。
そして、自分の部屋から出て1階の玄関の前まで歩いていく。
【ガチャ】
「おがゆ、おはよぉ~!」
「ころさん、おはよ~。今日、家に来るの早くない?」
「え、もう7時50分だよ?」
「え?」
「うそ…、」
「え、ちょ…おがゆ早く着替えてきなよ!!」
「う、うん!」
「時間が間に合わなかったら、こぉね先に学校行ってるからね~。」
「わ、わかった…💦」
(最悪だ…、)
(いつもなら、早く起きて準備を済ませてるのに…)
“ボロを出してしまった…”
十分後…
「流石にころさんもう行っちゃったか…。」
「はあ…、一人で登校するなんて久しぶりだなぁ…。」
(って、こんなこと言ってる場合じゃない…!)
(急がなきゃ…!)
学校
「ふぅ、はぁ…」
(せ、セーフ…)
ガラガラッと教室のドアを開ける。
「お、おはよ~…」
「あ、おがゆ~!良かった間に合ったんだね!!」
「う、うん…」
「あ、おかゆ。」
後ろから声が聞こえる。
「スバルちゃんだ~、なに~?」
「寝坊か…?」
「まあ…、そうだけど。」
「珍しいな~笑」
「あはは、目覚ましが壊れちゃっててさ~笑」
「何ともないなら良かったよ…。」
「え、ああ…うん。」
スバルちゃんとの会話を終え、自分の席に着いた。
(~~~~~~~~!)
僕は心の中で叫んだ。
(本当の僕が、スバルちゃんにバレたら嫌われちゃう…)
そう、僕はころさん以外の前では猫を被っているのだ。
そして、スバルちゃんだけはボロを見せたくない…。
それは自分でもよく分からないけど、スバルちゃんにだけは僕はいい子だと思われたい・思って欲しい…のかもしれない。
(とりあえず、明日は寝坊しないようにしないと…)
放課後
あっという間に放課後になってしまった…。
今日は委員会があるため僕はころさんと一緒には帰れない日なのだ。
「おかゆ、委員会行くぞ。」
「はーい。」
僕とスバルちゃんは同じ委員会で、こうして委員会のある日は一緒に仕事をしたり、話したりするのだ。
ちなみに僕とスバルちゃんは図書委員だよ。
「今日は、返ってきた本を棚に戻す仕事らしいぞ… 」
「え、マジ…?」
「マジマジ、流石にキツイな…」
「ね、早く終わるといいな~」
そう、言いながらも少しだけ長くスバルちゃんと一緒に居られることを心で願っていた。
「じゃあ、スバルはこっちでやってるから」
「はーい、僕はあっちで片付けてくるね~。」
「ああ、頼むわ~!」
2人で作業をすると言っても、基本僕たちは分かれて活動しているのだ。
(あ、そういえば昨日の本返さなきゃ…。)
そう、思い返却の手続きをしにパソコンのある方へと向かう。
【がたっ、!】
「ん、?」
音の方へ目を向けると横から本棚が倒れてきているのが見えた…。
「へっ、?」
「おかゆ、危ないっ!!」
【ドンッ!!】
本棚が倒れる音がした…。
「あれ…、僕痛くない…。」
「おかゆ…、大丈夫か?」
「え、スバルちゃん!?」
本棚が倒れたとこから少しズレたとこに僕たちは倒れていた。
(こ、これは壁ドンならぬ床ドン…?!)
「てか、スバルちゃんは大丈夫なの…?!」
「全然、へーき!!」
「あ、てかこの本棚全部本が出ちゃってる…」
「え、マジか…」
「てか、なんで本棚倒れてきたんだろう…」
「一応、言っとくけどスバルはなんもしてないっすからね?!」
「分かってるって笑」
「この教室に誰かいたのかな?」
「あー、確かに…?」
「ごめんなさいっ、!!」
【タッタッタッ…】
「あ、ちょ!」
走って逃げたのは、ピンク髪でツインテールの髪型をした子だった。
「あの子、同じ委員会…ではないね。 」
「そう…だな。」
あの子が一体何しに図書室にいたのかは分からないが、スバルちゃんに床ドンされてラッキーなので問題はない。
2時間後…
「ん~!!」
スバルちゃんが体を伸ばす。
「お疲れ様~!」
「おかゆもお疲れ様~。」
「ともかく、仕事が終わってよかった…」
「そうだな!」
「うわ、外暗いな…。」
「ほんとだ…」
(気づかなかった…)
「暗いし、2人で帰るか!」
「そうだね。」
「「…。」」
帰り道、2人は黙り込む。
「「あのさ…!」」
突然、口を開くかと思えば2人で被ってしまう。
「え、なに?」
「いや、おかゆから先に言っても…」
「ぼ、僕は大した話しじゃないよ!」
「じゃあ…、スバルから先に言わせてくれ…。」
「うん、」
(なんだろう…、)
少し胸騒ぎがしている。
「その…、おかゆ!」
「う、うん…?」
「スバルと付き合ってください…!」
「え、?」
「ずっと、好きだったんだ…!」
「スバルちゃん、」
「…」
「僕たち、付き合おうか…笑」
「え、本当に!?」
「うん、これからよろしくね。」
「こちらこそ、よろしくな!!」
幸せだった。
でも、僕は気づいたんだ…。
君が見ている僕は、猫を被っている。
君に、本当の自分がまだ見せられてないんだ…。
だから、いつかボロを出してしまえば嫌われてしまう…。
そして、僕のことを好きと言ってくれてる君を騙してるんだ、、
“君の好きな僕は本当の僕じゃないんだ”
こんな、複雑な気持ちを抱えながら僕はただ…
自分を偽装する…
猫を被って、君に好きでいてもらうしかないのだろうか…。
君に嫌われる勇気さえあれば猫を被らなくてもいいのだろうか…。
END
ホロの短編、1作目どーでしょうか~?!
いや~、このお話続けて書こうと思ったけど長編書くのは自分には向いてないもので…笑
ってことで、主の気分次第でこちらの短編小説を投稿させて頂きます.ᐟ
次回もぜひ、ご覧いただけると嬉しいです!
おつ主~!
コメント
6件
トワ様とかなたそをかいてほしいです! 主人公なかなたがいいです!
※マジで、保存し忘れたせいで書き直しになるの辛い。 ホンマに、ムカつくわぁ~。 あ、ちなみに短編小説のみで書いて欲しいホロライブのカップリングとかあればぜひ言ってください~!