悪魔への第一印象
人の第一印象は、3~5秒で決まるらしい。
じゃあ、天使や悪魔の第一印象は何秒で決まるのだろうか…?
きっと、人と同じぐらいだろう。
悪魔などと聞いたらきっと、皆はいいイメージは湧かないだろう。
もちろん、僕もそうだ。
悪魔なんて、僕たち天使とは到底分かり合えない種族で、絶対に関わることは無い。
関わってはいけないんだ。
でも、恋をしてしまった。
一目惚れだった。
その日のことを今でも鮮明に覚えている。
それは、ある夏の日だった…
何となく天界から降りて、人間界へと行くと、蒸し暑く倒れそうだった。
天使とはいえ、暑さを感じない訳では無い。
どこか、日陰で休もうと人の少ない場所へと向かう。
そこで、初めて僕は悪魔を見た。
「大丈夫?」
彼女は、弱っている猫にそう声をかけていた。
その姿は、彼女が悪魔であるということを忘れてしまうほどだった。
「どうしたの?」
気がつくと僕は彼女に声をかけていた。
「げっ、天使か…。」
僕が天使だということがわかると彼女は、明らかに顔をしかめた。
「い、今は天使とかどうでもいいだろっ!!」
「まあ…、そうだね。」
「その子、体調悪そうだね。」
「うん…」
「僕が治してあげようか?」
「えっ、?」
驚いた顔でこちらを見てくる。
「お願い…、助けて。」
そう、彼女は真面目な顔でお願いしてきた。
「わかった。」
そう、言って猫に向かって自分の手をかざし、力を使った。
「にゃぁ~!」
元気を取り戻したのか、猫は元気よく鳴いた。
「よかったぁ…!」
と、彼女は嬉しそうな顔をする。
「あ、ありがと…助けてくれて。」
「こ、困ってる人を助けるのは天使の役目だし…。」
「トワは悪魔なんですけど、?」
「う、うるせーな!だから悪魔とか天使とかなんて関係無いじゃん!!」
「あっそ…」
「てか、トワって名前なんだね!」
「うん」
「僕はかなたって言うんだ~!」
「あのさ…」
「なに?」
「助けてくれたのはいいんだけど、トワは悪魔でかなたは天使なんだよ?」
「それがどうしたの?」
「関わっちゃダメでしょ」
「もう、いいじゃん。」
「なんもよくないけど、?」
「僕たちはもう友達でしょ~?!」
「友達…」
「そう、友達!」
「かなたがそんな言うなら友達になってあげる。」
その日から僕とトワは時間がある時にこっそりあったり、助けた猫と遊んだり、友達らしいことをした。
「ねえ、トワ~。」
「なに?」
「僕、トワのこと好き。」
「え?」
「出会った時から、ずっと好きだった。」
「…それ、どういう意味か分かってるの?」
「もちろんだよ、」
「一応言っとくけど、トワは悪魔でかなたは天使なの。」
「うん、知ってる…笑」
「…ただでさえ、関わっちゃいけなかったのに…。」
「うん…」
「本当にどうなってもいいの…?」
「トワと一緒にいれるなら、僕はどうなったっていいんだよ、」
彼女がこうやって、必死に何度も何度もしつこく言ってくるのは…
きっと、僕の為に言ってくれている。
「…かなた、トワも好きだよ、」
「じゃあ、僕たちはこれから人間で言うコイビト同士だねっ!」
「うん…//」
「お前は、何をしたのかわかっているのか?」
「はい…。」
そして、突然訪れてしまった…。
「かなた、お前は天使という身分でありながら悪魔と何度も交流をした…。つまりどういうことか分かるな?」
「…はい、」
「お前のことは気に入っていた…。だが、私に違う忠誠心が足りなかった。そんな愚かで醜い自分を憎め。」
「…」
「待って、!」
「…トワ、?」
「なんで、かなただけに”罰”が下るわけ…?」
「この天使がお前をそそのかして、ハメられたのだろ?」
「え、?」
「…トワ、僕は君のことが本当は嫌いだった。」
「かなた、トワに嘘が通じると思ってるの?」
「嫌いだよ、今までもこれからも…。だから」
「なんで、自分だけで責任を抱えて逃げちゃうの…?」
「え…?な、何言ってるんだよ、笑」
「かなたがこんなことするわけないし、嫌いだなんて絶対に言うわけない…!」
「トワ…、バイバイ。」
「かなたっ、!」
そして…僕は、もう二度とトワと顔を合わせることはなかった。
僕は、君に…
トワに嘘をついてしまった。
それは…、君のことを最初から最後までずっと愛していたということ…。
𝐄𝐍𝐃
補足
この物語では、悪魔と天使は関わってはいけない…。
そんな設定となっています。
かなたは天使という身分でありながら、悪魔であるトワに恋をし、人間で言うコイビト同士となった。
ただ、天界・魔界での決まり(人間で言う法律)では、天使と悪魔同士での交流は禁止されていて、最悪思い罰が下されてしまう。
ただし、罪を受けるのは片方だけ。
全てバレてしまったかなたは、自分だけで罪を背負って、自分が居なくなってもトワが他の悪魔から避けられぬように、自分を悪者にした。
その後、罰を受けたかなたがどうなってしまったのかは分からない…。
まだ、どこかでコイビトのトワを想い続けていることだろう。
コメント
3件
ありがとうございます!!
今回はひなさんからのリクエストでかなトワの小説を書かせていただきました〜。 あの一応、言っておきますがかなたがどういう罰を受けたのか 、かなたはしんでしまったのかと気になる方もいると思いますが、その辺は、ご想像におまかせします*_ _) ホロライブの短編のみですが現在【✨リクエスト募集✨】 書いて欲しいカプのみコメントで書いていただければ完成次第投稿させていただきます。 ⚠ 🔞は書きません。