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アリア&ライランの襲撃事件も無事に終わり、また平和な日常が訪れていた。
卵焼き店はいつも大盛況で、遠方からもお客さんが買い付けに来たりしていた。
私とゼルゼディス様は店を完全にルクルさんに任せて、のんびりとした日々を過ごしていた。
その日はルクルさんからハムチーズ卵焼きの材料が無いと報告を受け、隣街のネザレイヤに買い出しに向かった。
「ねぇ、ゼルゼディス様?」
「どうしましたか?」
「せっかく隣街に来たのですから、少しお買い物して帰りません?」
私は言う。
「別に構いませんよ。
欲しい物でもあるのですか?」
ゼルゼディス様は鈍感だ。
いや、私だって鈍感だけど、鈍感カップルもいいところだ。
「で、で、で…」
デートしませんか?と言いたいのだが、言葉にならない。
「で…?」
ゼルゼディス様はキョトンとする。
「で、で、出来ればゼルゼディス様のお洋服を買いたいのです…!」
うーん、違った方向に行ってしまった…
「私は別にこの格好で…」
「ダメですわよ!
ゼルゼディス様はセイラの領地の領主であられるのですよ?
きちんとした服も持ってなくては!
私が見立てて差し上げますから!」
まぁ、途中の方向は違ったが、結果オーライだろう。
「分かりました。
初めての”デート”ですねぇ?ニヤリ」
ゼルゼディス様はデートという言葉をわざとらしく言った。
分かってたのね…!
「意地悪っ!」
「腹黒と言って下さい。」
そんなたわいない話をしていると、ネザレイヤに着いた。
私たちはまずはハムとチーズを買わなくてはならない。
肉屋でハムを、酪農家に行ってチーズを分けてもらった。
一旦馬車の御者に預けて、それから初めてのデートをした。
「あっ、この服似合いそうですわ!」
「え、こんな派手なの似合います?」
「ゼルゼディス様は、そ、その、かっこいいのですから、もっと華やかな服でも…」
私は何故か赤くなる。
「これ、買います!」
店員さんに即決で言うゼルゼディス様。
そして、シャツやズボンやベルトを買って、私たちは足が棒になったので、近くのカフェに入った。
「良い買い物ができましたわ!」
嬉しそうに言う私をゼルゼディス様は微笑んで見ている。
「あなたが楽しければ、それを見るだけで私は幸せです。」
そんな事を言うゼルゼディス様。
「で、で、デートらしくなってきましたわ…」
私は言う。
「それは良かった。」
ゼルゼディス様は私をどう思っているのだろうか?
今だに突然嫁に来た元令嬢?
それとも…
だけど、それを聞く勇気はなかった。