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sideシャンク
その頃、もう俺の戴冠式も近づいて来たと言うのに、王都では魔物の襲撃が絶えなかった。
以前は1週間に1度ほどだったが、最近では1日に2、3度…
これでは、護衛無しでは王都でも歩けないようになってしまう。
俺はかなり焦っていた。
その時、宮廷魔導士の長のドルモッドが王の間に現れた。
ドルモッドは俺の前でうやうやしく一礼して、俺の言葉を待っている。
「申せ。」
役立たずの金食い虫が…!
宮廷魔導士など居たところで、何の役にも立ちはせんわ!
そう思ったが、つとめて冷静にそう言った。
「はっ!
アリア投獄の件はご存知かと思いますが…」
「もちろん知っておる。
何だ?
単刀直入に申せ。」
俺は苛立ちを隠せない。
「アリアはライランというAランク魔導士を従えて、元宮廷魔導士のゼルゼディスを襲いました。
しかし、ゼルゼディスはライランを瞬殺したそうです。
つまり、ゼルゼディスの魔力はライランより遥かに上だと愚考いたします!」
ドルモッドは言った。
「Aランクより上だと…?
ならば、ゼルゼディスは…」
俺は言う。
「恐らくSランク以上の力を持っているかと…」
「それが本当ならば、何故宮廷魔導士で下っ端をしていたのだ!?」
俺は声を荒げる。
「恐らく奴は自分の魔力を隠していたのでは無いかと…」
ドルモッドは言う。
まずい…
もしも、ドルモッドが言うように、ゼルゼディスがSランク以上の魔導士だとすれば…
奴が王都に結界を張っていた可能性があるぞ…!
それで、ゼルゼディスをクビにしてから、王都に魔物が…!?
「馬鹿者!
そんな優秀な魔導士をクビにする奴があるか!!!
すぐにゼルゼディスを連れ戻せ!
金ならばいくらでも出す!」
俺は怒鳴っていた。
ゼルゼディスをクビにする事は俺も承認していたにも関わらず…
「はっ!
すぐにゼルゼディスとの交渉に当たりまする!」
ドルモッドは言い、退出した。
シーンとした王の間で俺は考えた。
ゼルゼディスと言えば、エシャロットの旦那か…
何とも不思議な縁だ…
俺が婚約破棄したエシャロットはゼルゼディスと結婚し、俺はエシャロットの妹のアリアに乗り換えた。
Sランク魔導士は世界に8人しか存在しない。
また、その中で特に強い魔力を持つ3人を、魔導三神と呼んでいる。
魔導三神と普通のSランク魔導士には大きな差があると聞く。
しかし、魔導三神を見た者はほとんど居ないのだ。
ま…さか…?
いや!
まさかそんなはずは無い!
ゼルゼディスが魔導三神のはずなど…
しかし、俺の胸の内には不安な思いが渦巻いていた。
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