【てらしもち】の二次創作です
投稿するかとか伏字を使うかとか、結構悩んだんですが、考えた末に当たって砕けろの精神でこうなりました。
恐らく雑多です。小説もイラストもここに。
ラムネさん多くなると思われます
てらしもちの方々の二次創作になります。
相変わらずの駄文。
捏造・個人の妄想です。
にわかなため、口調・性格など迷子です。
テラーで活動してる方達なのでそちらを是非。
短編が三つ。
終わりがかなり雑で中途半端です。続きなんてなかった。
ラムネさん・テトさん
あの夏が飽和する パロ
『昨日、人を殺したんです』
ラネの言葉を理解するのに十数秒を要した。
だってあまりに突飛で、それでいて、ごく自然に。世間話でもするように。流行りの曲を口ずさむように。それは軽やかに空気を震わせた。
え、と思わず聞き返してしまうのだって無理はないと思う。
そんな私の戸惑いの声を、ラネはなんでもない事のようにくすくすと笑うと、視線を少し離れた位置にある、路肩に咲く花へと移す。
『もう、嫌になったんです。靴を隠されるのも、教科書を捨てられるのも、暴言を吐かれるのも。色々と』
『だから。軽く。抵抗したつもりだったんですよ。もうやめてって、距離をとりたかったので』
『それがダメだったみたいです。その子、頭打っちゃって』
ぽつぽつと語って、そこからは察して欲しいとばかりに、ラネは目を閉じた。その表情は凪いでいて。全てを諦めているようにも見えて、こっちが泣きたくなる。
炭酸飲料の瓶を持つ手が末端から冷えていく感覚。 夏よりもすこしだけ前の時期、雨上がりの蒸し暑い空気のせいか、心地よく感じていた手の中のそれが、どうにも今は冷たすぎた。
「…なんで、私に…」
沈黙に耐えきれなくなって、間を埋めるように、口をついて出た言葉。居た堪れなかった。
視線を手元の炭酸飲料へと移す。中身はまだ半分ほど残っていた。
手持ち無沙汰に思えて。瓶の表面を流れる結露を意味もなく指で掬いとる。また瓶に擦り付けては、程よく曲線を描きつつ雫の流れる道をつくった。そうすれば、道に沿って水の粒が流れていく。
でも。それも途中までで、そのうち敷かれたレールを大きく外れて、勢い良く下へと流れ出し、ぽたりと落ちてコンクリートにシミを作った。
そんな意味の無い行為と事象に魅入る私の方を見て、ラネは微笑むと、また軽やかな声を出してみせた。
『死のうかなって思ったので、さよならを言いたくて。テトにはお世話になりました』
頭が真っ白になる。ラネの言葉に何も言えずに押し黙れば、バクバクと心臓が激しく鼓動している音が聞こえる。
そんな私を知ってか知らずか、ラネは声色すら変えずに続けた。
『どうせもう、ここには居られないでしょうし。いっその事、旅行がてら何処か遠くに行って死んでこようかと』
『だから…』
ぷつん、と何かが切れた気がした。ずっとにこにこと笑っているラネの言葉を遮って、私はラネに詰め寄る。考えるよりも前に、身体は身を乗り出すように動いていた。
「っ私も!私も連れてって!!」
両手でラネの右手を掴んで、半ば叫ぶように懇願する。
先程まで持っていた瓶が、地面に叩きつけられたせいで、大きな音を立てて割れた。それがあまりにも耳につくものだから、少しの静寂にたった二人で放り込まれたような錯覚に陥る。
でもそれも一瞬で。次の瞬間にはワンテンポ遅れてやってきた、せっかちな蝉の鳴き声が遠くからその存在を主張した。
ラネは突然の私の行動に驚いたように顔をこちらに向けて、目を見開く。ほら、ようやく目が合った。
ラネの両目は、いつの日か画面越しに見た蛋白石と黒瑪瑙によく似ている。初めて会った時、不躾にもじっと見詰めてしまったのを思い出して、どこからか懐かしさが込み上げる。
はくはく。戸惑っているのか、ラネは口を開いては閉じてを繰り返す。やっと、作り笑顔以外が見えたことに、今度は私がとびっきりの良い笑顔をしてやった。
もうすぐ夏だと言うのに、ひんやりと冷えているラネの指が、微かに震えた。いや、多分、ずっと震えていたんだ。
本当は怖くて不安で逃げ出したいんでしょ。その癖、私の前では笑って取り繕えると思ってるのだから、随分と生意気だ。私がどれ程の時間、ラネを傍で見てきたと思っているのか。
『…たった一度きりの人生なんですから、それを棒に振るのはやめた方が、』
「たった一度きりの人生だから、後悔したくないんです」
ぐっ、と言葉に詰まって、眉を下げるラネに、私ははっきりと言った。
「ラネ、私も連れて行ってください」
ラネは何か言いたげに、視線を右往左往させて、そのうちゆるゆると下に下げていく。
私へ返事をするわけでもなく、ラネは私の足元を見ていた。私もそれ以上何も言わずに、ラネの顔を見つめていれば、落ち込んだような声色で、ラネはぽつりと呟いた。
『…..最後まで飲んだら良かったのに』
ラネの見る先を辿れば、瓶の破片が散らばっていて。瓶の中に入っていた飲みかけの炭酸飲料は、コンクリートに染み込んで、さっきよりも大きなシミをつくっていた。
奇跡的に無傷なビー玉でも、派手に割れた瓶でもなく、まだ残っていたはずの炭酸飲料の方にラネは気が向いたようである。
勿体ない、と呟くラネが、先程とは打って変わって、何でもない日常のワンシーンを切り取ったみたいで。おかしくて。
だから、思わず声を上げて笑ってしまった。つられたように、ラネも笑い声を上げる。
割れてしまったラムネの瓶は、太陽の光を反射して、眩しく輝いていた。
シル汁さん・テトさん
観用少女(プランツ・ドール) パロ
※テトさん観用少女 ※年齢操作有
小さい頃。お誕生日は何が欲しいかと聞いてきた両親に連れられて、足を踏み入れたアンティーク調のお人形屋さん。
かなり裕福な家庭に産まれた私は、珍しい物も取り揃えているような、お高めのお店に訪れていた。 もっとも、幼い私にその事が理解出来ていたかは怪しいけれど。
少し不気味な雰囲気と、子供心をくすぐる可愛らしいお人形さん達。ショーケースに入れられたその子達は、キラキラとした宝石のようだった。高い所にあるものはお父様に抱っこをせがんで見せてもらって。大小様々なお人形さんに心が躍ったのを覚えている。
そうして。ふと、一つのショーケースが目に留まった。
そのショーケースは他のものよりも大きくて、私がすっぽりと収まってしまうほど。ショーケースを指さして、お父様に抱っこされたまま連れていってもらう。
覗き込んだショーケースの中のお人形さんは、他とはまるで比べ物にならなかった。
見た目からすれば、私とあまり年齢は変わらないだろうか。ショーケースの中のクッションの上、小さな女の子が静かに座っていた。もちろん、精巧なお人形ではあるのだが。
青藍の髪に、躑躅の差し色を入れた髪は、ふんわりとしていて、よく手入れされているのが一目で分かる。長い睫毛に縁取られた瞼は閉じていて、瞳が見えないのを残念に思った。整った容姿は人間離れしているようで、それでも血色の良い肌と、子供特有のふっくらとした輪郭が、この子が本当に生きているかのように錯覚させる。
熱心に見詰める私に気を良くしたのか、店主である品の良いおじいさんが近づいてきて、声をかけられた。
[その子はプランツ・ドールと言って、名人と呼ばれる人らによって作られた、生きているお人形さんなんですよ。今はまだ眠っていて、自分に合う人間が来るのを待っているんです]
「ぷらんつどーる…」
まだ小さい子供であった私を気遣ってか、おじいさんは分かりやすい言葉で説明してくれる。幼い滑舌で名称を反芻する私にくすりと笑うと、特別に見せてあげましょうか、とショーケースを開けてくれた。その時だっただろうか。
満月のような瞳と目が合ったのは。
ショーケースのガラスの扉が開け放たれて。ようやく自由になったその子は、間違いなく私を見ていた。透き通ったその瞳を細め、ふんわりと微笑んでみせる。その姿は、やっぱり人間離れした美しさを纏っていた。
まだ子供らしさを残した手が、私に向かって伸ばされる。惚けたように。誘われたように。私も手を伸ばして──
ゴンッ、と鈍い音を立ててベッドから落下した。一瞬、息が出来なくなるような衝撃と、後からじんわりと襲ってくる痛みに、夢の中にあった意識が引き摺り出される。
「…いたい…..」
しばらくベッドから落ちるなんてことなかったのに、と足は辛うじてベッドに乗っており、上半身は完全に落下しているという不格好な体勢で呟く。何をどうやったらこんな落ち方するんだろう。
自分に若干呆れつつも、寝起きの気だるさと少し痛む上半身のせいで、体勢を変える気力がない。 どうしようかな、とぼんやり考えていると、頭上から影が落とされた。
心配そうにこちらを見詰める瞳は、夜闇に浮かぶ満月のように綺麗だった。
「おはよう、ニトちゃん」
夢の続きは今まさに目の前に広がっている。私はあの後、目覚めたプランツ・ドールを買ってもらったのだ。後に『テト』という名前が与えられたその子に、私はニトちゃん、と呼びかける。
これは別に幼い私がテとニを読み間違えて、それが定着してしまったとかそういう訳では無い。親しみを込めたあだ名である。
落ちたままだった身体を起こして、ニトちゃんのふんわりとした髪を梳くように頭を撫でた。気持ちいいのか、目を細めて手に擦り寄ってくるのが可愛らしい。
朝から可愛いニトちゃんを摂取できた喜びをそのままに立ち上がると、恐らく部屋の前に待機しているであろうメイドたちに声をかけることにした。
「ん?」
ぱたぱたと私の後ろを着いてくるニトちゃんを見て、ふと気付く。
「なんか、ニトちゃんあの頃より大きくなってません?」
もちさん・ラムネさん
人外なラムネさんと幼いもちさんが出会うお話
※年齢操作有 ※人外表現有
森の中で微かに聞こえる小さな足音。吐き出した息は白くなって霧散していく。
人の踏み入らない森の中は、木や背の高い草が生い茂っていて。きっと小柄な者しか立ち入れないそこを、月白の髪を乱れさせた少女は進んでいく。何処かで鋭い枝にでも引っ掛けたためか、彼女の頬には紅い一線が引かれていた。
どこからか迷い込んだのか、自ら進んでここに来たのか、誰かに唆されたのか。幼い子供が立ち入るには鬱蒼としすぎた森を、少女は息を切らしながらも懸命に進んでいく。そうやって暫く歩いていれば、やがて開けた場所に出た。
現れた景色に、少女は嬉しげに華やかな瞳を細めて笑う。
目の前に佇むのは古びた教会だった。長いこと放置されていたのか、蔦が這っているが、それがかえって神秘的にも思える。
少女は寒そうにミントグリーンのマフラーに口元を埋めると、さく、さく、と新雪を踏み締め、教会に向かって歩き出した。
ギィィ、と軋んで重たい扉を、体重をかけてどうにか開けると、迷いなく中へと足を踏み入れた。 教会の中は、森に放置されていた割には綺麗なもので、壁に穴が空いていたり、窓ガラスが割れていたりするわけでもない。
そんなことを確認するよりもまず目に付いたのは、大きなステンドグラス。そこから、薄暗い教会に色鮮やかな光が降ってきていた。少女もその光景に釘付けになったようで、目に焼きつけるようにそれに魅入っていた。
『危ないですよ、こんなところに来たら』
びくり。少女は肩を跳ねさせると、パッと後ろを振り向く。誰もいない。
くすくすと鈴を転がすような笑い声が聞こえた。
『前です。前にいます』
言われた通りに先程の場所へ視線を戻すと、そこには確かに声の主がいた。先程までは居なかったはずという疑問も、その人の浮世離れした容姿を見れば何故か納得出来る。
少女は驚いたように目を見開いていたが、やがて何か思い当たったように口を開いた。
「てんしさまだ!」
『ん??』
舌っ足らずに、てんしさま、と確かにそう言った少女は納得したように、うんうんと頷くと花が飛ぶような笑顔を見せた。
「てんしさま、ですよね!」
『え、えぇー…?』
天使と呼ばれた、碧色の髪と風変わりな瞳をもつその人は、見てみれば確かに天使のような羽をもっている。が、焼けただれたような、溶けたような状態になっている箇所が多く、ぼろぼろなそれを引き摺りながら歩いているようで。 到底その姿は綺麗だとは言えないものだった。
その事を自覚していたのか、天使に似た何かは困ったように苦く笑うと否定の言葉を口にする。
否、しようとした。
「だって!だって、とってもきれいなんだもん!!」
遮られたのだ。純粋極まりない少女の声に。
拙い発音で伝えられた言葉に、その人は驚いたように目を見開いた。
『き、きれい、?』
「きれい!ね、てんしさまなんですよね!」
ぐいぐいと詰め寄ってくる少女に、若干引き気味の体勢になりつつも、やはり否定すべきかと頭を悩ませる。
でもそれも純粋な瞳の前では無粋に思えて。
結局は少女の夢を壊さない選択肢を選びとることにして、その人は言葉を紡ぐ。
『そうですね、天使かもしれません』
嬉しそうにきゃらきゃらと笑う少女を前に、てんしさまは再び眉を下げて笑った。
コメント
5件
天才ですか…? 文章描くの上手すぎて見入っちゃいました…
口調掴めてなくて本当申し訳ないです 時間あるときにでもこういうの書いていくと思います