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情景や、登場人物達を自分の自由に想像しながら物語を読むと、より楽しめますよ♪
第20章:体育祭2
僕がメインで見たい借り物競争は無事に終わり、現時点で総合2位
借り物競争で緑団が頑張ってくれたおかげだ
今はと言うと、騒がしいお昼休憩だ
横には涼と日比谷さん
何やらお弁当の具の交換か何かで争奪戦になっているらしい
馬鹿馬鹿しい、がそれも二人らしいと心の中で変に思っていた
『ちょっ!それは俺が楽しみにしてたやつー!』
〈へぇ〜??でも〜、これ私が箸つけちゃったからなぁ〜〉
にやにやと意地悪く言う日比谷さん
周りから見たらただの悪役にしか見えないよ…
『ぐっ…、ならばこれをっ、!』
〈なっ…!それは私がお母さんに頼んで作ってもらったタコさんウインナー…!!〉
〈かーえーしてー!〉
『なら俺のも返せよー!』
〈箸つけちゃったもんっ!〉
『俺も箸つけたしー!』
……幼稚園か
それとも動物園か
はたまた暴走族なのか
……全部当てはまりそうだ
自分で考えておきながら少し面白くて、吹き出してしまった
〈……笑った!?今笑ったよね!?〉
「え、?w」
「なに、急に」
『いや、お前が笑うのってあんまねーからよ!』
『てか、俺等の争奪戦見て笑ったのかー?!』
〈な、!それは許せん…!〉
面倒くさい…w
だけど、そこもコイツ等といて飽きないところなのだろう
パシャッ
【!?】(二人)
「ははっ、変な顔、w」
『なっ、琉生!今の消せー!』
〈そうよ!消してよー!〉
やーだねと、意地悪をしてみる
「僕は写真部副部長だよ?それに少ししたら文化祭が始まる」
「その時のための写真もさっきから撮ってるしね」
〈え、みせt〉
「絶対に嫌だ」
即答
食い気味に、日比谷さんの言葉に被せた
「…そろそろだね、」
〈あ、席戻るねー!〉
日比谷さんが席に戻った後、涼が話しかけて来た
『なあ、琉生』
「ん、なに?」
『…いや、なんでもねーよ!』
なんだなんだと思いつつも、今目の前で行われている競技に目をやった
そろそろ、僕らの出場する競技
今日のコンディションはバッチリ
今回はヘマしない
こう見えて、負けず嫌いなんだ
と、意気込んでいたのに
〔はぁはぁ…!早海くん!〕
向こうから息切れのクラス委員長が走ってくる
「なんですか?」
「そんな血相変えて…」
〔きゅ、急で悪いんだけどっ…、次の200m走出場してくれないかな…!?〕
〔本来出場するはずの人が足を捻挫して…!〕
〔早海くんが100m走も出ること知ってるけど…!〕
〔捻挫した子が結構足早くて…、早海くんじゃないと回らないかもって思ったんだ…〕
は…??
そんな事したら…、僕の足駄目になるじゃないか
別に無理って言ってるわけじゃない
でも、終わった後の負担が倍以上になる
しかも今日初の人とバトンをうまく回せと…?
無茶にも程がある
「……100m走、2位でもよければ」
でも、無茶を超えることができたら、何か成長できる気がするから
委員長がぱあっと、表情を明るくする
〔もちろんだよ!それは気にしないで…!〕
「もちろん、全力は出します」
「でもそもそも僕中学の時より体力ないので、難しかもです」
〔うん、大丈夫だよ、出てくれるだけでよかった…!〕
すると涼が
『まあ、琉生はアンカーだしな、少しは足休められるだろ』
なんて厳しいことを口にする
休められるって言ったって、アンカーなんてどこのクラスも速いやつを置く
それこそ足が壊れるよ
『それに、お前の前の走者は俺だ』
『お前に1番にバトンを繋げてやる』
熱い目で見てくる
やめろ、普通に照れる
「……はぁ…わかったよ、」
『よしっ、なら早く並べ!』
ばんっと、背中を押される
振り向くと、グッドポーズをしながらニカッと子供らしく笑う涼の姿
ふと視線をそらすと、日比谷さんが見ている
これは全力でやらなければいけない
そう直感した
《よーい!…ドンっ!》
雷管が鳴る音と共に一走の人が一斉に脚を前へ踏み出し、いいスタートをきる
僕は三走
アンカーへ繋げる最後のバトン
重要だ
あっという間に二走の人がテイクオーバーゾーンに迫る
パシッ!
バトンを強く受け取る音と共に僕は全力で駆け出した
走り出す前は二走の人が追いつかれそうだったが、
僕にバトンが渡ったことにより、大幅に距離を稼げた
ただ、心配事がひとつ
……僕の次って誰?
名前が出てこない
やばい
後ろからも置いてきたはずの選手達がぐんぐん迫ってきている
大分全力だ
100m走まで持つかわからない
空を切る音が耳に響き、最後の走者へとバトンを渡す瞬間
〔早海!アンカーは俺だ!〕
先程の委員長が僕を呼ぶ
委員長も出ていたのか…、
いつも委員長と呼んでいるからか名前を忘れてしまったことに深く反省した
「はいっ、!」
小刻みに揺れる僕の息だけが耳に残る
〔ありがとう…!〕
そう、小声で聞こえた
〈いや〜おつかれー!〉
〈まさか200m走も出るなんて知らなかったよー〉
〈出るって知ってたらもっとしっかり見たのに…〉
ははっ、と苦笑い
そりゃ言ってないからね
『琉生、疲れてるとこごめんけど、そろそろ100m走の出番だ』
「本当に…、これ明日筋肉痛だよ、僕」
〈筋肉痛はもっと動けば治るらしいよ!〉
他人事に言ってくれる
その動きが出来ないほど痛いから治らないんだよ
はぁ…、とため息一つ
グラウンドに並ぶ
僕はアンカーとして、6走の涼から1番にバトンをもらいたい
{よーい、どんっ!}
クラウチングスタートで始まる100m走は、圧巻だった
だから100m走が最後なのかと、実感する程までに
向かい側に立つ涼と目が合う
目を凝らすと、ガッツポーズが見える
僕も涼にガッツポーズ
がんばれという思いだ
100m走というのは200m走よりも回るのが速い
すぐに涼の出番になった
涼がバトンをもらったのは3番目
どう見ても全力で走っている涼。そんな涼を僕は見たことがなかった
僕は背を向けて走り出し、バトンを待つ
はいっという、涼の声と共にバトンが手のなかに収まる
バトンが回ったのは2番目を走っていた団の人と同時だった
「1番じゃないじゃないか」
「…でも、ここならまだいける」
「任せて」
僕は背を向けていたから分からなかったけれど、きっと涼は満面の笑みなんだろうな
隣を走る他団
ガタイのいい人に少し怯むが、前だけを見る
前を走っているのは、前回の試し走りで1位だった
“朝倉壮馬(あさくらそうま)”
いかにも速そうな名前だ
負けるものかと、更に速く走る
2番を走っていた人を追い抜かし、朝倉に迫る
ただ、やはり200m走のハンデがきつい
それがなければもっと簡単にここまで来れただろうに
もう朝倉を抜く余裕はない
それでも、このポジションを維持しようと、いけそうなら1位を狙いたいと、思っている
速さに前髪が横になびく
熱い太陽はさらに熱くなって、容赦なく振り注ぐ
少し前を走るあいつはゼッケンをなびかせながら、砂を全力で蹴る
「はぁはぁっ…はぁ…っ…!」
息が上がる声がする
後ろからは陸上部生徒や、運動部の生徒達が全力で砂を蹴る音がすぐそこまで迫っている
絶体絶命だ
クラスと、同じ緑団の声援
緊張感が高まるゴール前
なのに、何故だろう。
今この瞬間を僕は楽しんでいる
絶対に、このポジションは譲らないと、残りの全力を出し切る
最初にゴールテープを切ったのはやはり朝倉だった
でも、何だか悔しくない
やり切った感じだ
〘お前!えと…名前なんだっけ…!?〙
「……早海琉生、それがどうしたの?」
〘あ、俺は朝倉壮馬だ、琉生!〙
あ、涼タイプだ
涼し気な笑顔と頬を伝う汗が男の僕でさえドキッとしてしまう
〘さっきの100m走早かったなー!✨️〙
〘追いつかれると思ったぜ!〙
どうやら僕は知らなかっただけで、彼が先程の1位だったらしい
「追いつけなかったけどね」
『それでも、200m走もやって2位にポジションをつけるなんて、すごいじゃないか』
涼が向こうから歩いて言ってくる
げ、似た者同士ばかりじゃないか…
「…あー、予言通りだよ」
「涼、起こしてー…筋肉痛で動けない…」
『ま、!?次学年リレーあんぞ!?』
「涼が代走してよ」
『はぁ…、しっかたねぇなぁ…』
涼は頭を掻き、僕に肩を貸してくれた
〘…仲いいんだな!?〙
〘この前険悪だったろ〙
〘隣のクラスだから知ってるぜ!w〙
『あー…』「まあ…、」
『勘違い、だったから』
「仲直りしたんだよ」
「それ以外に理由いる?」
ぽかんと一瞬固まったが、ニカッと笑って
〘そうか!〙
と、一言
控え席へ戻って行った
なんだったんだ…
控え席に戻ると、日比谷さんが話しかけて来た
〈おつかー!〉
〈すごいじゃんっ!✨️〉
〈足、案の定筋肉痛になっちゃった??〉
「そうだね、リレーは涼に代走してもらうよ」
〈……そっかそっか!安静にね〜〉
今少し、暗い表情になったのは気の所為だろうか…?
控え席から見るグラウンドには全校生徒が強い眼差しで、最後の競技に挑もうとしていた
そこで、僕ははっとした
何故日比谷さんが暗い表情になったのか
……僕が日比谷さんの後の順番だったからだ
忘れてた
…でも今から行ってももう遅い
僕から代走を頼んだのに
俯いて、頭を抱える
「……やっちゃった…」
雷管の音と共に駆け出す砂の音だけがやけに耳に残った
おまけ その後
〈いや〜惜しかった…!〉
〈あと少しで1位だったのに…!〉
『まあまあ…w2位でもいい成績だよ』
二人はリレーを終えて、話している
僕はぼーっと、虚ろな目で青空を見上げていた
一応、写真は撮った
見返すと、日比谷さんが涼にバトンを渡す瞬間のものもあった
悔しい気持ちの半面、どうしたらいいのか分からない気持ちもある
写真は他にも、涼が撮ったであろう僕の200m走の写真や緑団の写真もたくさんあった
〈お!これよく撮れてるねー!〉
と、先程の2人が写っている写真を手に取る
「まあ…得意だからね」
〈というか、なんでこんなにたくさん写真撮ってるの?〉
「ああ…それは、」
『文化祭のためだよ』
言おうとした言葉を言われた
少しむっとした表情を涼に向けると、その眼が向く先には日比谷さんしか映っていなかった
……わかりやすすぎ、
がんっと、石で頭を殴られた気分だ
追い打ちをかけられて、少し捻くれてしまう
「そうそう、文化祭に写真を廊下に飾ったりするんだよ」
「例えば、写真部の中で1番よかった写真を額縁に入れたりとかね」
と、わざとらしく2人がお弁当を争奪しているときの変な顔を見せる
『ちょっ!?それを額縁にいれたりは…しないよ、な?』
〈そ、そうよ、ね??w〉
「…どうだろうね」
一言、だけど2人には大ダメージだったらしい
〈せ、せめて私のだけは消して!?〉
『俺だって!!』
言い争いが始まってしまった
……まあ、これもこれでいい、…のか?
僕らの騒がしい声と笑いが青く澄んだ快晴の空高くまで届く
本当にいい天気だと、改めて実感したのである
……やば、もうすぐ終わるわw
次回第21章:文化祭準備