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あいす@低浮上
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暗理
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コメント
3件
冬夜くんが登場した時の安心感えぐかったです~!! というかおにーさんめっちゃやばいやつでした!!!!😳 あの二人で明るい家に帰るなら私も連れて行って(迫真)
遅くなりましたが7話です
いいねしてね…。゚(゚´ω`゚)゚。
「…ッ彰人!!」
「っ……と、……や……?」
涙と汗でぐちゃぐちゃになった視界の向こう、激しい音を立てて開いたドアの光景が、信じられない思いでオレの瞳に飛び込んできた。
そこに立っていたのは、ずっと心の中で叫び続けていた、オレのたった一人の相棒だった。
(冬弥……? なんで、ここに……っ)
怒りと焦燥に満ちた冬弥のその真っ直ぐな瞳を見た瞬間、張り詰めていた頭の芯が急激に崩れ落ち、喉の奥からボロボロと嗚咽が溢れ出す。
男の指がオレの奥をかき回していた恐怖も、薬の不気味な熱も、冬弥がその名前を叫んでくれた瞬間に、ほんの少しだけ遠のいていくような気がした。
「とう、や……っ、冬弥……ッ!!」
オレは男の体躯の下から、震える腕を必死に伸ばして、ドアの前に立つ相棒に向かって、すがるようにその名前を叫び続けた。
「おい、何なんだよお前は……! 邪魔すんじゃねぇよ!」
男が部屋に押し入ってきた冬弥に向かって、狂ったように鋭い怒声を上げた。
次の瞬間、オレの体に無理やり男の両手が掛けられ、凄まじい力でベッドから引きずり下ろされる。
「っ、え、……あ……っ…、」
薬で力が入らないオレの体は、床を引きずられ、そのまま近くにあったクローゼットの中へと乱暴に放り込まれた。
「クソが、そこに閉じこもってろ!」
バタンッ!!!
激しい音を立てて木製の扉が閉まり、オレの視界は一瞬にして、完全な、逃げ場のない真っ黒な闇に包まれた。
「ひっ……、あ……、嫌だ……ッ!! 開けて、開けてくれ……ッ!!」
真っ暗だ。何も見えない。
扉の向こうから男の怒鳴り声や、冬弥が激しく暴れるような物音が聞こえるけれど、今のオレの頭にはそれすらまともに届かない。
頭の中を埋め尽くすのは、幼い頃と学生時代、あの冷たい路地裏の暗闇で男たちに囲まれた時の、おぞましい恐怖の記憶だけだ。
狭くて暗い箱の中で、過敏になった体を引きずり、オレは狂ったように頭を抱えてガタガタと激しく震え出した。
(怖い、怖い怖い怖い……っ! 真っ暗だ、誰もいない……っ!!)
過呼吸で喉がヒューヒューと鳴り、酸素がうまく吸えなくて胸が引き裂かれそうに痛む。
暗闇の奥から、あの日の男たちのニヤついた顔や、醜い息遣いが、今にもオレの体を掴もうと無数に伸びてくるような錯覚に襲われる。
オレはクローゼットの隅へと体を丸め、涙と汗でぐちゃぐちゃの顔を膝に押し付けて、ただひたすらに、叫ぶことすらできなくなった喉で、ガタガタと震え続けることしかできなかった。
「ックソ、お前……っ、!!」
「…っぅ、あ……っ…」
扉の向こうで響いた鈍い衝撃音に、オレはクローゼットの暗闇の中で、心臓が破裂しそうなほど激しく跳ね上がった。
(いま、の……殴る音……っ!? どっちだ、どっちが倒れたんだよ……っ!?)
真っ黒な闇に包まれて、一ミリ先すら何も見えない。
視覚を奪われたオレの耳には、外の物音が尋常じゃないリアルさで突き刺さる。
もし倒れたのが冬弥だったら、あいつがオレのせいで傷ついて、あの男にめちゃくちゃにされていたら。
そう考えた瞬間、幼い頃のあの路地裏の恐怖に、冬弥を失うかもしれないっていう最悪の絶望が重なって、頭の中が完全に狂いそうになった。
「とう、や……っ、冬弥……ッ!! 嫌だ、開けてくれ……ッ!!」
過呼吸で喉が完全に潰れて、掠れた悲鳴しか出ない。
オレは涙と汗でぐちゃぐちゃになりながら、力が入らない両手で、目の前の真っ暗な扉を必死に叩き続けた。
「彰人っ…!!」
「―――っ、と、うや……ッ!!」
バカみたいに眩しい光が視界に飛び込んできた瞬間、オレは涙でぐちゃぐちゃの顔を上げ、目の前にいる相棒の体を、すがるように両腕で強く抱きしめた。
(冬弥だ……っ、本当に、冬弥なんだな……っ)
衣服を剥ぎ取られてガタガタと震えるオレの体に、お前のそのいつもと変わらない、だけど少し乱暴なくらい必死な体温が、ぎゅっと押し当てられる。
その温もりを感じた瞬間、クローゼットのあの真っ黒な地獄が、あの日の冷たい路地裏の記憶が、オレの頭の中から一気に遠のいていくのが分かった。
「お前……っ、無事、なのかよ……っ。ケガ、してねぇな……っ!?」
お前の肩に顔を埋めたまま、オレは過呼吸で引きつる喉から、必死に言葉を絞り出す。
薬のせいで体はまだ内側からドロドロに熱くて、頭も上手く働かないけれど。
お前がこうしてオレを暗闇から引っ張り出して、一番欲しいその温もりで抱きしめてくれている。それだけで、オレはもう、何も怖くなかった。
「してない、大丈夫だ。…今すぐ、警察に連絡するからな」
「っ……、いや……だ……ッ!! けい、さつは……呼ばないでくれ……っ…、!」
警察という言葉を聞いた瞬間、オレは冬弥の服を、ちぎれんばかりの力で強く握りしめた。
薬のせいでガタガタと震える体を、さらなる恐怖が襲う。
「…彰人…っ、」
(嫌だ、あの部屋は嫌だ……っ! また、あの日みたいに……っ)
頭の中に蘇るのは、幼い頃と学生時代、被害に遭ったあとに連れて行かれたあの警察署の光景だ。
窓のない、狭くて、灰色の冷たい取調室。
何人もの大人たちに囲まれて、あの暗い路地裏で何をされたのか、どんな風に汚されたのかを、一から十まで細かく何度も喋らされる。
あの空間の、息が詰まるような圧迫感と、じっとりとした視線は、オレにとってあの暗闇と同じくらい恐ろしい地獄だった。
「っ、お願いだから……っ、冬弥……ッ! あそこには、行きたくねぇ……っ、あの部屋は、嫌だ……ッ!!」
涙と汗でぐちゃぐちゃの顔を冬弥の胸元に押し付け、オレは子供のように声を上げて泣き叫んだ。
大人になった今でも、あの場所の恐怖だけは、どうしても克服できてやしないんだ。
「…っ…、だが、こいつがまた彰人のこと……。」
「分かってる……っ、お前の言う通り、こいつを逃がしたら、また誰かが……っ」
冬弥の悔しそうな、必死な声が耳の奥に突き刺さる。
あいつはオレを心配して、これ以上誰かが被害に遭わないように、正論を言ってくれてるんだ。
(だけど、もう無理だ……っ。あの冷たい部屋で、また全部思い出して喋るなんて、オレの精神がもたねぇ……っ!)
男が床に転がっている気配を感じるだけで、薬で過敏になった体がビクビクと情けなく跳ね上がる。
警察へ行けば、この惨めな姿を、オレが液を出して汚された事実を、知らない大人たちに全部見せなきゃいけない。あの灰色の狭い部屋の圧迫感に、今のオレは耐えられる自信がなかった。
「……頼む、冬弥……っ。今は、ただお前と、あの明るい家に帰りたい……っ。こいつのことは、明日、オレが落ち着いてから……ちゃんとするからよ……っ」
オレは涙で視界を真っ白に染めながら、冬弥の背中に回した腕に、残ったすべての力を込めてしがみついた。
「…っ明日じゃ逃げられるかもしれないのにか!?」
「……あ、ぅ……っ、」
冬弥の怒鳴り声が、鼓膜の奥に冷たく突き刺さった。
あいつがオレにそんな声を上げたことなんて、今まで一度もなかったのに。
(……面倒、だって……思ってんのか……?)
その考えが脳裏をよぎった瞬間、薬の熱さとは違う、ゾッとするような冷気が全身を駆け巡った。
大人になっても暗闇に怯えて、一人で帰り道も歩けなくて、挙げ句の果てにこんな風に男に騙されて汚されて。
こんな情けない奴の世話を焼くのなんて、もうウンザリだと思われても仕方がない。
お前をイラつかせて、呆れさせて、ついに見捨てられるんじゃないかっていう恐怖が、男への恐怖を上回る。
「っ、悪い……冬弥、ごめん……っ! オレが、オレがこんなに面倒な奴で、ごめん……っ!」
お前の服を掴む指先が、絶望でガタガタと激しく震え出す。
見捨てないでくれ、置いていかないでくれ。
オレは涙と汗でぐちゃぐちゃの顔を冬弥の胸元に押し付け、これ以上あいつが離れていかないように、ただ必死にしがみつくことしかできなかった。
「…ぁ……、ごめ、ごめん彰人…。…面倒じゃない。俺は、彰人が心配で…っ」
「……っ、と、うや、」
お前のその、今にも泣き出しそうな、必死に焦った声が耳の奥に届いた瞬間。
怖いくらいに冷え切っていた胸の奥が、一気に崩れ落ちて、涙がまたボロボロと溢れ出してきた。
(面倒じゃねぇって……、本当に、そう思ってくれてんのか……?)
オレのせいで呆れられたわけじゃねぇんだ、って。
ただ、本当にお前はオレのことが心配で、だからあんなに必死な声が出ちまっただけなんだ、って。
冬弥の真っ直ぐな言葉が、お前に見捨てられる恐怖で凍りつきそうだったオレの心を、ゆっくりと、だけど確実に溶かしていってくれる。
それだけで急に全身の力が抜けて、お前の胸の中に崩れ落ちそうになった。
「っ……あー、クソ……分かった、分かったからよ、……そんな、泣きそうな声出すな……っ」
薬のせいで体はまだ内側からドロドロに熱くて、下半身を剥ぎ取られたオレの姿は、どうしようもなく惨めなままだ。
だけど、お前がオレを拒絶してないって分かっただけで、喉の奥のつかえが少しだけ取れていく。
オレはお前のコートの裾を、今度は安心を確かめるように、すがるようにぎゅっと握りしめた。
やっぱりお前は、オレの欲しい言葉をくれる、世界でたった一人の相棒だ。
「……ありがとな、冬弥。……わりぃけど、今は、……早くお前と、あの明るい家に帰りたい……っ」
お前の胸元に額を押し付けたまま、オレは掠れた声で、自分の本当のワガママを静かに吐き出した。
「…わかった。でも、明日はすぐ警察に言うからな。…その時はちゃんと、隣にいるよ」
「……あぁ。ありがとな、冬弥」
お前がオレのワガママを受け入れて、その上で「隣にいる」って言ってくれた瞬間、喉の奥のつかえが本当に全部消えていった。
(お前が隣にいてくれるなら……警察の、あの狭い部屋も、きっと耐えられる……)
そう思えるだけで、さっきまで全身を支配していたあの息が詰まるような圧迫感が、すっと薄れていくのが分かった。
薬のせいで体はまだ内側からドロドロに熱くて、下半身を剥ぎ取られたオレの姿は、どうしようもなく惨めで、情けねぇままだけど。
でも、お前がこうしてオレを暗闇から連れ出して、一番欲しい言葉を全部くれて、強く抱きしめてくれている。
オレの過去も、この情けない弱みも全部知った上で、決して否定せずに寄り添ってくれるお前が隣にいるから、オレはもう大丈夫だ。
「……じゃあ、帰ろうぜ。……オレたちの、あの明るい家にな」
オレは涙でぐちゃぐちゃになった顔を冬弥の肩から離すと、お前のコートの裾を握りしめたまま、少しだけ安心したように小さく微笑んでみせた。
♡…40(いけるかな…)