テラーノベル
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誤解は、解けた。
けれど、解けたからといって、すべてが元通りになるわけではなかった。
Cielo Serenoのカウンター席へ、中の晴留と話せる形で横並びになっていた四人は、食後、奥まった席へ向かい合って座り直した。
新沼晴永の隣には小笹瑠璃香。
向かいには藤井田千紗と木朝良介。
少し離れた位置で、新沼晴留が水の入ったグラスを並べ直していた。
いつもなら、晴留はこの場を軽くするような冗談のひとつでも言う。
けれど今は、誰よりも空気を読んでいるのだろう。必要以上に口を挟まず、ただ全員が話しやすいように場を整えていた。
晴永は、膝の上で緩く握った自分の手を見下ろした。
ひとつ間違えば、瑠璃香を失っていた。
その事実が、今になってじわじわと胸に沈んでくる。
彼女は隣にいる。
けれど、さっきまで確かに離れかけていた。
自分の知らないところで傷つき、誤解し、ひとりで苦しんでいた。
その原因を作ったのは、間違いなく自分だ。
「……まず、俺から謝らせてほしい」
晴永が口を開くと、全員の視線が晴永へ向いた。
瑠璃香の肩が、わずかに揺れる。
「瑠璃香。怖い思いをさせた。本当にすまない」
「晴永さん……」
「藤井田さんにも、木朝さんにも、晴留にも迷惑をかけた。……全部、俺の動き方が悪かったせいだ」
晴永は、一度ゆっくり息を吐いた。
「俺、瑠璃香とちゃんと一緒になりたかったんだ」
瑠璃香が目を見開く。
「指輪を渡す前に。瑠璃香のご両親に挨拶へ行く前に。まずは自分の側をきちんと整理しておきたかった。あるんだかないんだかよく分からないまま宙ぶらりんになっていた許嫁の話も、創業家の問題も、中途半端なままにはしたくなかったんだ」
だから、母・清香に会いに行った。
副社長としてではなく、母として自分の話を聞いてほしかった。
ちゃんと好きな人がいること。
結婚したいと思っている相手がいること。
もう許嫁の話を曖昧なままにはしたくないこと。
全部、自分の口で伝えた。
「でも、それが結果的に藪蛇になったんだ」
晴永は苦く笑った。
「母さんに話したことで、角宮盛晴にも話が上がった。そこで曖昧になってたはずの許嫁問題が、一気に動き始めた」
千紗が静かに視線を落とす。
「俺が余計なことをしなければ、藤井田さんだって巻き込まれなかったと思う。有耶無耶のまま終わってた可能性もあった」
「そうかも、知れないわね……」
千紗の苦々しい一言に、晴永が再度「すまなかった」と頭を下げる。
「結局俺自身も、社長補佐なんて立場に引き上げられて、経営側の人間として表へ出される形になった。社長に、完全に、逃げ場を塞がれた」
あれは間違いなく、祖父からの牽制だった。
#素人作品
YAMATO
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#ほのぼの
#大人の恋
E―さん
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コメント
2件
はるながくんの人のせいにしない姿勢とか非を認めるところとか好きだな
うわあああ晴永くんの謝罪シーン、胸にグッときたよ…!「ちゃんと一緒になりたかったんだ」って言葉に全部の想いが詰まってて泣ける😭💕 誤解が解けてほっとしたけど、その代償の大きさもじわじわ伝わってきて切ない…。でも隣に瑠璃香さんがいてくれるだけで救われるね。晴留ちゃんの空気読む立ち回りもさすがすぎた!次が気になりすぎる…!