テラーノベル
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「さっきみたいに、止まるのはなしね」
その一言で、空気が張り詰める。
チャンスの視線が、揺れない。
もう迷ってない。
そのまま——距離が消える。
深い口づけ。
迷いがない。
抑えていたものが全部出たみたいに。
エリオットの目が一瞬大きくなる。
「……っ」
息が詰まる。
離れる。
でも。
ほんの一瞬だけ。
すぐにまた引き寄せられる。
もう一度。
今度はさらに深い。
チャンスは完全に止まらない。
さっきまで我慢していた分。
全部ぶつけるみたいに。
何度も。
何度も。
エリオットは最初。
また笑おうとした。
煽ろうとした。
でも。
できない。
想像してたのと違う。
強くて。
真っ直ぐで。
息が追いつかない。
頭がじんとする。
また口づけ。
エリオットの指がソファを掴む。
呼吸が乱れる。
頭の奥がぼんやりする。
「……ちょ……」
声が出ない。
チャンスが一瞬だけ離れる。
エリオットの顔を見て。
低く言う。
「言っただろ」
息が少し荒い。
「覚えてろって」
エリオットは数秒何も言えない。
金髪がクッションに広がったまま。
目が少しぼんやりしている。
頭が真っ白。
さっきまでの余裕。
全部どこかに飛んでいった。
チャンスはその顔を見て。
少しだけ笑った。
「……エリオット」
低く言う。
「さっきの余裕は?」
エリオットはしばらく黙る。
それから。
やっと小さく言う。
「……やばい」
息を整えながら。
「チャンス」
チャンスが少し眉を上げる。
エリオットはぼんやりした顔で続ける。
「想像より」
少し笑う。
「すごい」
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