テラーノベル
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部屋の灯りは消えているのに、
ないこの意識だけが冴えていた。
布団の中で、
何度寝返りを打っても、眠れない。
(……静かすぎる)
耳に入るのは、
外の風の音と、隣の布団の気配。
「……」
小さく息を吐く。
その音に気づいたのか、
隣から声がした。
「起きとる?」
「…うん」
少し間があって、
布団が擦れる音。
まろが、体の向きを変えたのがわかる。
「眠れへん?」
「……多分」
曖昧な返事。
でも嘘ではない。
ないこは、
この沈黙が続いてほしいと思った。
「……近く、いっても…いい? 」
自分でも驚くほど、
素直な言葉だった。
まろは、すぐには返事をしない。
でも、
布団が少しだけ動く。
距離が、詰まる。
「ええよ」
それだけ。
俺は ゆっくりと身体を寄せた。
触れてはいない。
でも、温度は伝わる。
それだけで、
胸の奥が、少し緩んだ。
「……今日」
「楽しかった、」
「前なら、 疲れるって思ってたと思うから」
言葉が、少しずつほどけていく。
「……でも、 今は……」
続きが出てこない。
代わりに、
息が少し乱れる。
「……こうしてるの、 落ち着く」
それは、
ほとんど独り言だった。
まろは、
何も言わない。
でも、
離れもしない。
その沈黙に背中を預けるように、
少しだけ近づいた。
「……俺」
「……感情、あるかな? 」
質問でも、
確認でもない。
ただ、
口からこぼれた言葉。
まろは、
低い声で答える。
「あるよ」
即答だった。
「最初から」
その一言で、
胸の奥が、じんと熱くなる。
「……」
ないこは何も返せなくなって、
目を閉じた。
近くに人がいる。
それを、拒まなくなっている。
それだけで、
今は十分だった。
呼吸が、
ゆっくり揃っていく。
まろの気配を感じながら、
いつの間にか眠りに落ちていた。
感情を“曝け出した”という自覚すらないまま
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