テラーノベル
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21時過ぎ、涼太さんの言った通り、 店を出て数分でウェイターの制服のベストやネクタイを外しただけのシャツ姿に軽くパーカーを羽織ってるだけの翔太くんが出てきた
近くの喫茶店に入る
遅くまでやっているところらしく、夜の喫茶店にしては珍しく、そこそこ客が入っていた
「おれコーヒー。康二は?」
「俺もそれで」
テーブル席に案内されて向かい合って座る
こじんまりしたテーブルは、涼太さんのお店の時より距離が近い
コーヒーが運ばれてくる
一口飲んだ後、翔太くんは煙草に火をつける
あの日と同じように煙草を咥える姿は様になっていて格好いい
それでも少し気になったことを聞いてみる
「翔太くんは煙草やめへんの?」
「ん?あ、煙草、無理だった?」
「いや、大丈夫。けど、美容ハマってるってこの前言うてたから」
「あぁ〜、そういうことね。辞めた方がいいかなぁとは思ってるんだけどね……」
そう言いながらもまた煙草を吸い込んで、横を向いて煙を吐き出す
「康二はどう思う?」
顔を正面に戻して聞いてくるから、素直な感想を口に出した
「好きにしたらいいと思うで。でも俺は、せっかく肌も声も綺麗なんやから、もったいないなぁとは思うけど」
机の上に置かれた翔太くんの片手に自分の手を重ねて、じっと目を見ながらそう伝える
「………っ!」
翔太くんの手がぴくりと反応して、ふいっと顔を背けられる
喫茶店の少し薄暗くてオレンジ色の光の下でも、ありありとわかるくらいに耳が赤い
(え、かわえ…)
「……考えとく」
ぽつりと呟いて煙草の火を消して、顔を見られないようにするかのようにコーヒーを飲む
重ねた手は振り解かれないまま
束の間の沈黙
するっと指の腹で撫でた手の甲は滑らかでスベスベだった
翔太くんの手は頑張って動かないようにしてるのか、少し力が入っているのが重ねているだけでも分かった
「お前も」
ぽつりと翔太くんの声が落ちる
「ん?」
「お前の声も特徴的だよな」
「あぁ、よく言われるわ。揶揄われることも褒められることもあるから、自分ではいいのか悪いのかわからんけど」
「ふぅん、……お前歌は得意?」
「歌かー、得意かは分からんけど歌うのは好きやで」
「じゃ、今度カラオケ行こ」
「ええの?」
「うん」
「よっしゃ!」
「ふは笑」
思いがけず翔太くん側から次のデートの約束をされて、両手をあげて舞い上がる
手を離してしまったけど、次が決まったことがシンプルに嬉しい
その日はカラオケに行く日を決めて、少し話して解散になった
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