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「なーなー!聞いてくれよ、緒方少年!」
「どうした、ポンコツ少年。登校中、目がある白と赤の水玉模様のキノコでも食べたか?」
「ああ、ヒゲの生えた赤い帽子のおっさんがテレッテッテレッテー、って音楽鳴らしながら走っててたぞ。」
この朝からうっるさいのがこの2年4組のムードメーカー、和田大智。そしてそのムードメーカーをしれっと受け流すのが緒方圭介。この二人はクラスのお笑い担当と言っても過言では無い。と、語り口調の俺は平凡男子筆頭、柊隼人。
「ふーん、それでどうなった?」
「良かった、このままおっさんの話で終わるかもと思ってたところだったよ。そう!よくぞ聞いてくれた緒方少年!実はさ、俺フェルス・レッグ・オンライン(訳してフェレオン)の隠しイベントクリアしたんだよねぇ〜。」
「へー、それで?」
「反応薄っ!」
「だって俺そのゲームやってねーし。てか時代はファミコンだろ。」
「緒方少年の感覚がおかしいだけだよ。てか今更ファミコンで何にハマっているのさ。」
「ぷよクエ。」
「今の時代スマホで出来るからね!?それ!てかぷよクエファミコンでやるならニンテンドースイッチでやりゃいいじゃん!」
「うちのファミコンちゃんが要るというのに浮気しろと!?最低だなお前!」
「いいじゃん!ファミコンちゃんだって『少しの浮気は良いですー』って言ってるよ!?だから浮気しなさい!」
「お姉ちゃんの、バカああ!」
「メイのバカ!もう知らないっ!」
「ちょっと男子うるさいよ。」
「「さーせん。」」
二人は恒例行事のコントを済ませ自分の席に無言で座った。
「またあの二人はコントをしてたのかい?」
「ま、あのコントがなきゃ平日の朝って感じがしないもんな。」
「おっ、野木と翔か。」
このクラスでは結構俺と仲のいい、野木と中学の時からの親友の翔が俺の机に手を付き和田たちを見る。
「でもお前ら今日ちょっと遅かったな。」
「ああ、何せ目がある白と赤の水玉模様のキノコを見かけてな。」
「その先で赤い帽子を被ったおじさんに出会ってね、野木さんも一緒に姫を助けに行ってたんだよ。」
「お前ら実は結構早くに学校着いてただろ。」
「「ナンノコトヤラサッパリ。」」
「お前らー、出席とるぞーっ。」
「わっ、やべっ。宿題やってねーのに。」
「じゃあ僕はお先に。」
「え、っておい!くっそ、東雲が裏切りやがった。…なぁー、柊ぃー、宿題見せてくんね?」
そういうことか。俺は悟った。何故そこまで仲がいいとも言えないし、家が近いわけでもないこの二人が一緒に学校に来た理由。ずばり、宿題を見せてほしかったってことか。まあ、でもな、翔だもんな。見せてくれるわけないよな。しかーし、俺か?ふっふっ。
「俺も終わってねー!翔ぅー!」
「東雲ぇー!」
「ついでに俺らもー!」
「えっ!?ちょっと、何で隼人まで!?しかも和田さん達まで!」
「よーっし、和田、緒方、東雲、柊、野木、お前ら廊下で立ってろ。」
チーン。みたいな効果音が似合いそうなこの光景。今俺らは左から和田、緒方、翔、俺、野木の順番でバケツを持って廊下に立っていた。
「……俺、大智が俺らって言っただけで一言も喋ってないんだけどな…」
「それを言うなら宿題やってたのに何故か巻き込まれた僕もだよ…。」
ごめんな、翔。心の中でそう思いながら天井を見上げたその時、向うから近づいてくる足音が聞こえてきた。5人は一斉に横を向く。この羞恥プレイを誰にも見れたくないからだ。
「あの。」
女子の声。多分、ここの5人は一瞬で誰かか分かったと思う。
「清水さん?」
そこには日傘を持った清水が居た。何故日傘を持っているかと言うと、清水は肌がとても弱いらしく太陽光を浴びないためだ。でも何で清水が今ここにいるのだろうか?考えられるのは……普通に遅刻?いやいや、清水に限ってそれは無いだろー。
「そこ、傘立てです。」
「「あっ。」」
この学校の傘立てはちょっと特殊で教室の外側に面した形で箱が置いてありそこに傘を入れる単純な仕組みだ。で、毎回この傘立てをどうにかできないかと生徒総会で挙げられているが却下されている。きっと予算がたりないんだろうな。
「ああ、ごめんね、清水さん。今退くから。」
翔が一旦その場を離れる。その間を清水の小柄な体が通り静かに傘を傘立てに入れる。
「ありがと。」
清水さんはそれだけ言い残して教室の中に入っていった。
「おー、遅刻だ、清水。」
村田先生の陽気な声が廊下の方まで響く。そして「すみません」とだけ言っている清水。皆、俺たちのことも思い出して。
「柊、スキありー!」
「あっぶ!」
気付くと、教室の窓が開けられ丁度その窓から現れた教科書が俺の頭に炸裂する。クソいてぇ…
「お前ら、反省したか?」
「その前に僕何もしてないんですけど?」
「黙れ東雲。潰すぞ?」
「理不尽極まりない。」
こうやって笑いあうのが日常だった。バカみたいな事で笑って泣いていたかった。今となれば懐かしい。
そこは学校だった。でも、普通の学校ではない。ここは異世界の学園だ。
「アノさん?大丈夫ですか?あっ!駄目ですよ、寝ていてください。ふふふ。ごめんなさい。ついアノさんの寝顔が可愛くて……まだ寝てて良いんですよ?って、わっ!?ちょっとナディア!え?お、お似合いカップル!?ア、アノさんとはそんな関係じゃ無くて、ってアノさんも何笑ってるんですか!……ふぇ?か、可愛い?私が、ですか?……あ、ありがとうごじゃいましゅ……って、アノさんったら〜!もー!私をからかわないで下さい!」
少女は何を思うのか。死、憎悪、恨み、憎しみ、裏切り、絶望……多々ある感情が蠢くこの俺の中で何かが始まった。これはまだ序章に過ぎなかった。