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俺は渡辺翔太。
クリスプ商事の部長だ。
今は朝礼の時間だけど秘書の深澤がいない。
口数の少ない岩本社長が言うには今日から新しく働く清掃員を迎えに行ってるようだ。
田中さん(50代のおばちゃん)が腰を痛めて退職して一ヶ月。
新しい人が見つかるまで余所の清掃員を雇っていたけど漸く決まったらしい。
それにしても遅い。
俺を含め他の面々も飽き飽きしたり業務が始められないことにイライラしていた。
すると、ガチャッと音を立て オフィスのドアが開き深澤が入って来た。
それと一緒に入って来た人物に俺や他の社員は目を奪われた。
艶々の黒髪にプルプルの紅い唇。
薔薇の花が咲き誇りそうなほど素敵な笑顔。
フリフリのエプロンと三角巾は清掃員とは思えないくらい上品なものだった。
💜「遅れてすいません。新しく清掃員として働いて頂く方です。…では自己紹介をどうぞ」
❤️「初めまして、涼子です。遅くなってしまい申し訳ございませんでした。皆さんが気持ちよく働けるように懸命に清掃させて頂きます。よろしくお願いします」
女性にしてはハスキーな声だ。
それにしてもなーんか見たことあるような?
考え事をしながら拍手をしていると岩本社長が深澤に耳打ちをし、それを聞くと咳払いをして「静かに!」と声を上げる。
💜「皆さん。綺麗な方が来てテンションが上がるのはわかりますが、まだ話は終わってないですからね!…では社長。補足をお願いします 」
💛「……涼子さんは佐久間と同じだ。だからと言って変に詮索しないように」
佐久間と同じ、それが何を意味するのか。
それは 女性の恰好をしている【男性】ということである。
本人は『私は自分に似合う恰好をしてるだけ!心は男の子だよーん!』と言っていたが本心は聞いてないからわからない。
だけど本当に似合ってるからいいと思う。
それにクリスプ商事は個人の自由を尊重してくれる心の広い会社だ。
だから新入社員のラウールがヘッドホンをしながら仕事しているのも受け入れられてる。
まぁ、社長の言い方だと涼子さんは佐久間と理由は同じではなさそうだけど。
なんとなくシーンとした空気の中、話題に出た佐久間が満面の笑みで涼子さんに近付く。
🩷「私、佐久間大介!だけど、さく美って呼んでほしいです!仲良くして下さいね!」
❤️「はい…!よろしくお願いします」
眉毛をハの字にしながらも笑顔の涼子さんは佐久間の手を取って握手をした。
受けいれられて安心してるように見える。
あの顔、俺の幼馴染がよくしてたな。
もう何年も会っていない、それどころか連絡すらしていない。
俺に何も言わず外国に行ってしまったから。
つい昔を思い出して、はぁ…と小さくため息を吐いた。
思いにふけってしまい皆の話していることが全然頭に入っていない。
❤️「本当は宮舘涼太って名前なんです。だけど聞き馴染みがないので涼子でお願いいたしますね」
💙「はぁ!?」
突然、聞き馴染みのある言葉を聞いて大声を出してしまった。
驚いてる社員達を無視し、ドカドカと彼の前に立ち両手で肩を掴んでジッと観察をする。
❤️「…あ、あのっ」
ほぼ同じ目線の彼は顔を紅くし目を伏せているが、そんなの関係ない。
今は俺の疑問を晴らす方が先だ。
彼が俺の幼馴染だとしたら……
右の首筋に二つ並んだホクロがあるはず。
昔、それを見つけた時に『吸血鬼に噛まれた跡みたいだよね』と二人で笑い合ったことがあった。
右肩にかかった長い髪を退かし首筋を見てみると……それはすぐ見つかった。
本当に彼は涼太だった。
でも、なんで?どうして?
聞きたいことが次々と浮かんでくる。
いざ声にしようとすると横から思いもしない衝撃に襲われ床に倒れ込んだ。
理由がわからず顔を上げると眉毛を吊り上がらせた佐久間が仁王立ちをしている。
🩷「もー!渡辺部長、セクハラですよ!涼子さんが困ってるじゃないですかー!」
彼は佐久間の後ろに身を隠しながら俺を覗き込んでいる。
彼を涼太だと理解して改めて、その姿を見てみると俺の心臓が跳ねた気がした。
❤️「……もしかして私のこと知ってます?」
💙「え?」
❤️「私、昔の記憶がないんです」
💙「………まじ?」
数年ぶりに会った幼馴染は記憶がなく、女性の姿になっていて俺の頭は訳がわかんなくなってしまいました。
マジで、どうなってんの…?
パニック、パニック…!
雑談も見た方は、わかると思いますが私が盛り込んだ設定について補足を。
1、❤️の首筋に2つ並んだホクロ
目に見えてわかる特徴を入れたかったので加えました。
2、❤️の記憶喪失
今後どうなるのかお楽しみに。
3、🩷は女装男子
クリスプ商事は個人を尊重する会社ということにして🩷も女体化させませんでした。
読んで頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに。
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