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ゆゆゆゆ
バーベキュー当日。
——嫌な予感は、最初からしていた。
「でかすぎません!?」
ジョン・ドウの叫びが響く。
社内の中庭に設置されたそれは、もはや“バーベキュー設備”ではなかった。
鉄骨フレーム。
回転する巨大グリル。
無駄に多い煙突。
そして謎の操作パネル。
その前に立つのは——
ビルダーマン。
「問題ない」
自信満々。
「火力も安定している」
レバーを引く。
ゴォォォォッ!!
「強すぎません!?!?」
炎が普通じゃない。
社員たちが一斉にざわつく。
「熱っ!!」
「煙やばい!!」
「これ絶対普通のBBQじゃない!!」
その中で。
「……」
ジェーンは腕を組んで静かに見ている。
「……やれそう?」
ぽつり。
ジョンにだけ聞こえる声。
「……やります!!」
即答。
(ここで逃げたら終わる……!!)
焼き開始。
「肉いきます!!」
ジョンがトングを握る。
網に肉を置く——
ジュワァァァァッ!!
「うわ焼けるの早っ!!」
「火力三段階、今は中だ」
横から解説する
ビルダーマン。
「これで中!?」
すでに煙がすごい。
「回転機構起動」
ゴゴゴゴゴ……
グリルが回る。
「待って待って待って!!」
肉も回る。
「早い早い!!」
「均等に焼ける」
「均等に焦げそうです!!」
カオス。
「ちょっと貸して」
ジェーンが隣に来る。
「え、あ、はい!」
距離が一気に近い。
二人でトングを持つ形になる。
「この火力なら」
ジェーンが冷静に言う。
「頻繁に動かさないと」
「はい!」
「焦げる」
「はい!!」
完全に共同作業。
その瞬間——
ボンッ!!
「!?!?!?」
一瞬、火が跳ね上がる。
「うわあああ!!」
「落ち着いて」
ジェーンが冷静に腕を引く。
そのまま——
ジョンの手を掴んだまま、位置を調整する。
「ここ」
「……っ」
近い。
顔も距離も。
でも今はそれどころじゃない。
「ひっくり返す」
「はい!!」
息を合わせる。
ジュッ……
いい音。
「……今のはいい」
ジェーンが小さく言う。
「ほんとですか!?」
「声」
「すみません!!」
でも嬉しい。
その時。
「火力、上げてみるか」
最悪の一言。
「やめてください!!」
しかし——
ガコン。
「強にした」
「なんでぇぇぇ!!」
一気に炎が強くなる。
ゴォォォォ!!
煙、爆発。
「見えない!!」
「咳き込む!!」
「誰か止めて!!」
完全にパニック。
その中で。
「……ジョン」
「はい!!」
「こっち」
ジェーンが手を引く。
煙の少ない位置へ。
そのまま——
自然に、手を引いたまま。
「……っ」
ジョンの心臓が跳ねる。
でも。
「集中」
「はい!!」
言われて、すぐに戻る。
なんとか火力を調整し、焼き続ける。
数分後。
「……できた」
少し焦げてるけど、ちゃんと焼けている。
「おお……」
社員たちがざわつく。
「普通にうまそう」
「奇跡じゃない?」
「よし、食べてみるか」
一口。
「……うまい」
「え」
ジョンが固まる。
ジェーンが静かに頷く。
「ちゃんと焼けてる」
「っ……!!」
達成感が一気に押し寄せる。
その後。
なんとかバーベキューは続行された。
カオスだったけど、ちゃんと“楽しい”時間になっていた。
少し離れた場所。
「いや〜やりきったねぇ」
笑う
シェドレツキー。
「想像以上だったな」
頷く
デュセッカー。
「てかさ」
シェドレツキーがニヤッとする。
「さっき、手引いてたよね」
「……」
「進んでるな」
二人は満足げに笑う。
その頃。
「……さっき」
ジェーンがぽつり。
「はい?」
「ちゃんとできてた」
「……ありがとうございます」
少し照れながら答える。
「あと」
一瞬だけ間。
「……悪くなかった」
それは——
バーベキューのことか。
それとも。
ジョンは分からない。
でも。
「また、やりましょう」
自然に言葉が出る。
ジェーンは少しだけ視線を逸らして、
「……考えとく」
完全な否定じゃない。
むしろ——かなり前向き。
巨大グリルの煙の中で。
二人の距離は、確実に近づいていた。