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ゆゆゆゆ
バーベキュー終盤。
巨大グリルはまだゴウゴウと音を立てているが、最初のカオスはひと段落していた。
——はずだった。
「いや〜最高だねぇ!!」
テンションが異常に高い
シェドレツキー。
「肉!!煙!!達成感!!」
「あと謎の疲労な」
冷静にツッコむ
デュセッカー。
「なんかみんなテンションおかしくないですか……?」
ジョンが周りを見渡す。
社員たちも妙にハイ。
「うまい!」「焼けた!」「もう一回焼く!」
意味もなく盛り上がっている。
「煙吸いすぎだろ、多分」
デュセッカーがぼそっと言う。
「軽く酔ってるみたいなもんだな」
「そんなことあります!?」
あるっぽい。
「ジェーンさん、大丈夫ですか?」
ジョンが隣を見る。
「……平気」
いつも通り。
……のはずなんだけど。
「……楽しい」
ぽつり。
「え?」
「……こういうの」
ほんの少しだけ、いつもより素直。
「いいなって思った」
「……っ」
ジョンの思考が止まる。
(今の、かなりレアでは……?)
その時。
「よーし!!次は!!」
シェドレツキーが急に叫ぶ。
「ペアで焼いてみよう企画〜!!」
「また始まった」
デュセッカーが呆れる。
「いやこれ絶対面白いって!」
「やめてください!!」
ジョンが即拒否。
「はい決定〜!」
「決定しないでください!!」
「ペアは〜……」
にやりと笑う。
「もちろんこの二人!!」
ビシッと指差す。
「ジョンとジェーン!!」
「ですよね!!」
もう止まらない。
再びグリル前。
「……また」
ジェーンが小さく言う。
「すみません……」
「別に」
少しだけ間。
「嫌じゃない」
「……っ」
それだけで十分すぎる。
「いくぞー!!」
シェドレツキーの掛け声。
「火力は——」
「触らないでください!!」
ジョンが全力で止める。
しかし。
カチッ。
「強にした」
「なんでぇぇぇ!!」
二度目。
炎、爆発。
ゴォォォォ!!
「学習してない!?」
「してるけど面白いからな」
最悪。
煙の中。
「こっち」
ジェーンが腕を引く。
また、自然に手を引かれる。
「……っ」
でも今度は、ジョンも少しだけ落ち着いている。
(慣れてきた……?いや慣れるなこれ……)
「置く」
「はい!」
息を合わせる。
「今」
「はい!」
ひっくり返す。
ジュワッ——
いい焼き音。
「……さっきよりいい」
ジェーンが小さく言う。
「ほんとですか!?」
「声」
「すみません!!」
でも、顔は完全に嬉しそう。
周りでは。
「おお〜!」
「いい感じじゃん!」
「カップルかよ!」
「違います!!」
即否定。
——したけど。
ジェーンは何も言わない。
「……」
ちらっとだけ、横目で見る。
でも否定しない。
(あれ……?)
ジョンの心臓がまたうるさくなる。
焼き上がり。
「……はい」
ジェーンが一口食べる。
少しだけ間。
「……美味しい」
「っ!!」
やっぱり嬉しい。
「これ、さっきよりいい」
「やった……」
思わず小さくガッツポーズ。
ジェーンはそれを見て——
ほんの少しだけ、笑った。
一瞬。
でも確かに。
「……」
ジョンは固まる。
(今……笑った……?)
「……ジョン」
「はい!」
「さっきより、ちゃんとできてる」
「ありがとうございます」
「……その調子で」
少しだけ間。
「次も」
——“次”がある前提。
「はい!!」
迷いなく答える。
騒がしくて、煙だらけで、ちょっとおかしな空間。
でもその中で。
二人の距離は、もう“偶然”じゃないくらい近くなっていた。
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