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2XXX年一月に、私はとある貧しい街で産まれた。外は凍えるほど寒く、一桁が最高気温であることはよくあった。雪が降ることもしばしば。
そんな状態では作物が育たず、輸出や輸入が頻繁に行われていなかったことに加え、恐慌が起きたことにより大飢饉が発生。失業者が増え、数多くの企業が倒産。金融機関が破壊されて、まともに暮らすこともできなくなった。そんな時代に産まれたが故に、子供達にも飢饉が押し寄せた。飢えを凌ぐために、人間が人間や動物を食う光景はよく見ていたものだ。まさにカオスだった。
子供が産まれてもすぐに死んでしまうか。母胎自体が亡くなってしまうことが多かった、劣悪な環境だったのさ。
もし産んだとしても人を育てるお金などなかったし、中絶する技術はなかったので出来ない。産まれた子供は当然のように捨てられてしまう。まあ、お金持ちの子供に産まれれば話は別だがな。
私自身も親に捨てられたので、彼らの顔は知らない。寒くて凍えそうな空の下。ゴミ箱の近くに捨てられ、泣いても泣いても誰も助けに来なかった。
そんな私を助け出したのが、児童保護施設を取り締まる女の人だった。この時期は児童保護施設が二つ存在しており、その一つに奇跡的に入ることができた。とはいえ、食糧がないのには変わらない。小さい頃は貴重なミルクを少し飲み、四、五歳の頃は少しばかりの麦飯と少量の野菜や肉を食べて飢えを凌いだものだ。
私は零歳の頃からずっと児童保護施設で暮らしていた。三歳になった頃から、ずっと一人で遊ぶ生涯を送った。一人の方が落ち着いたし、自分のペースで生きられるからね。
そこで働く先生たちは無理やり子供たちと遊ばせることはしなかったが、私のことを訝しい眼差しで見ていた。この歳なら、他の子達と遊ぶ方が全うだと思い込んでいたから。
上の年代の子供に何を考えているのか分からないという理由でいじめられたこともあったが、私はそれを見向きもせずにスルーしていた。スルーすれば、事が大きくならないことを知っていたし、倍返しすれば自分に返ってくるはずだ。
そんな思考を持ちながらも、私が四歳になった頃。庭で猫が死んでいるのを見つけた。私は当時それを見て、ひどく心が躍った。死とはこういうものなのかと思い知り、ゾクゾクと胸が高まり解体してみたいと思った。
「先生、ナイフ貸して」
私はそう拙い言葉で話しかけると、児童施設の先生は眉を一瞬顰めたが棚に入っているナイフを渡してくれた。そのナイフを使って猫の腹を切り、飛び出る内蔵を見てみた。死んでから時間がそんなに経っていなくて、とても綺麗な内臓を見ることできて私は満足したんだ。
それからというもの、欲望が加速して次々と庭で飼っている動物を殺していった。皆死んだ動物を埋めていたので、一瞬しか満足できなかったけどね。
「アルマ君はどうして動物を殺しちゃったのかな? 猫ちゃんもうさぎちゃんも殺しちゃうなんて可哀想よ。もうやめなさい」
先生にそう注意されたが、私には理解できなかった。私は澄ました顔でこう返した。
「動物は皆いつか死ぬんだよ。いつ死んでも同じことさ。死期が早まっただけ」
「どうしてそんなこと言うの? 訂正しなさい!」
「訂正する気はないよ。事実だし」
先生はそれを聞いた後、驚いた表情をして無言のまま立ち去った。説得は無理だと思ったのだろう。
それから動物を全部殺したせいか、庭で動物を飼うのをやめてしまった。処理が大変だからだろうね。それに衛生的な問題もあるし、あいつらは動物が死んでいるのを見たくないからだろう。
私は苛立ちが募り、隠されたナイフを盗んでは自分の手を傷つけることで快感を覚え始めた。いじめっ子を傷つけたら、自分に返ってくるという考えを尊重してたからね。先生は何回も止めようとしたが、私は動脈を切らない程度に腕を切り刻んだ。
今考えればバカなことをしたと思ってるよ。なぜ人にナイフを向けなかったんだってね。昔から自分が決めたことは曲げずにそのまま実行しちゃうから、そんなこと言っても無駄かもな。
そんなドタバタ騒ぎの日々が続き、五歳になったばかりの頃。運命の出会いがあった。
肌寒くて雪が降っている季節。児童保護施設に、大柄の男がやってきた。黒髪はまったく跳ねておらず、前髪を綺麗に揃えている男だった。マフラーをしていて、両目の下にクマが出来ている怪しげな人物。
彼の名はヨーク。私の育て親さ。
コメント
3件
うわ、重い……読みごたえめっちゃあった🥀 アルマの子どもの頃から既にヤバい片鱗出ててゾクゾクした。動物♡♡♡て内臓見て「満足」とか、精神の闇深すぎ……でもそれを淡々と語る感じが逆に背筋冷える。 ヨークって人が育て親になる流れ、ここからどう転がるのかすごく気になるよ。続き読みたい。