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少し高い丘を降りて、街の入り口のような門にたどり着いた。看板があるが、錆びついていて文字が読めない。ここ(マルティ)は、12年前まで内戦が起きていた。そこため街並みはボロボロで、どこか煙たい。12年も経つのに、街の復興はまるでなっていなかった。
-アンドレア-

「うう、さむっ」


カルドととの気温の差が凄すぎて驚愕する。アンドレアは口に手を当てて、手を擦った。セレーノも、寒すぎるせいかひどく武者震いを起こす。門を通り過ぎると、あたたかそうなコーヒーを売るおじさんがいた。


-セレーノ-

「おっちゃん、温かいコーヒー2つくれないか」


-おじさん-

「あいよ、2つね〜」


おじさんの笑顔をみてると、心まで温まってきたような気がしてきた。しばらくすると、煙を立てた温かそうなコーヒーが出された。


-おじさん-

「熱いからきぃつけや〜」


さっそく、コーヒーをいただく。


-アンドレア-

「あったまる〜、最高やん!」


-セレーノ-

「ふ〜、回復回復〜」


セレーノは、近くにあった無料配布の新聞紙を手に取った。

「—内戦終戦から12年、両国の間で緊張高まる—」・・・

どうやら、まだ冷戦状態で睨み合いが続いてるらしい。つい1週間前にはゲリラ戦もあったらしい。やたら血生臭い匂いと鉄の匂いが酷いと思ったら、、と納得した。


-セレーノ-

「両国の間で緊張高まる…

まだ睨み合いが続いているのか」


-アンドレア-

「ん?どうしたの?」


-セレーノ-

「いや…このままここにいると危ないかもしれない…。明日にはここを出て、ドルミーレ地方の東に向かおう」


-アンドレア-

「えぇ〜?それじゃあつまんない」


-セレーノ-

「内戦に巻き込まれて死にたいならここにいろ」


-アンドレア-

「はいはい。分かった行くよ」


2人は席を立って、泊まれる宿を探しに人混みを避けて裏路地に入った。するとなにやら男と袴を来た少女が何かをしている。


-少女-

「モウ、アリマセン」


-チンピラ-

「あぁ?なんつってるか聞こえねぇよ!💢」


-少女-

「勘弁してください…」


-チンピラ-

「5万くらいよこせやクソガキ」


-アンドレア-

「うわぁ…どうする?行く?」


-セレーノ-

「あの女…

   行くぞ」


セレーノは威張って歩いた。


-セレーノ-

「おい」


-チンピラ-

「あぁ?誰じゃテメェ」


-セレーノ?

「その女から手を離せ」


-チンピラ-

「おぉ。良かったなぁクソガキぃ。正義のヒーローのお出ましだぞ」


-少女-

「….」


チンピラは、少女の髪を引っ張りながら頭に膝蹴りを一発入れた。セレーノは見てもいられずチンピラに殴りかかった。馬乗りになり、6回ほど顔面を殴りつけた。


-チンピラ-

「わ、わかったからやめろ!」


命乞いするチンピラに容赦なくひたすら殴り続ける。


-アンドレア-

「落ち着けセレーノ!」


アンドレアが後ろから抱きつき、セレーノを押さえつけた。チンピラは血だらけのまま逃げていった。


-セレーノ-

「ありがとう、アンドレア

    ところで、大丈夫か?あんた」


-少女-

「あ、ありがとうございます、大丈夫です」


-セレーノ-

「なら良かった、君にいくつか聞きたいことあるんだけどいい?」


-少女-

「はい…」


-セレーノ-

「ここじゃあチンピラの追っ手が来るかもしれない、別の場所へ移動しよう」


3人は、人目のない公園のような場所まで歩いていった。


-セレーノ-

「君、胸に帝国軍のバッジつけてるけど、なぜここにいる?」


-少女-

「私…私逃げてきたんです、ここまで」


-セレーノ-

「なぜ?」


-少女-

「嫌なんです…向こうに行くと、私を人間扱いしてくれず、まるで人形のようにひどく扱ってくるんです…

変な実験にも参加させられて…

回ってくる仕事は全て雑用ばかりで…

その上理不尽に怒ってきて…」


-セレーノ-

「そうか…辛かったな」


-アンドレア-

「・・・」


-セレーノ-

「名前は?」


-少女-

「サムエル…です」


-セレーノ-

「僕はセレーノ。僕の横にいるのはアンドレアさ」


-アンドレア-

「ア、アンドレアって言います!」


-セレーノ-

「ところで1つ聞きたいことがあるんだけどいい?」


-サムエル-

「はい」


-セレーノ-

「地下神殿って知ってる?」


-サムエル-

「はい、知ってますよ」


-セレーノ-

「俺たち今、その地下神殿目指して明日ネーヴェの東向かう予定なんだけど、敵に見つからない道を教えてほいしい。」


-サムエル-

「地下神殿に行くんですか?」


-セレーノ-

「うん」


-サムエル-

「私も行かせてくたざい」


-セレーノ-

「…でも君、そんなことしたら…」


-サムエル-

「いいんです。私も地下神殿に何があるか知りたい、そしてあなたたちと一緒に旅がしたい」


-セレーノ-

「協力してくれるのか」


-サムエル-

「はい。私の目的は…“帝国を潰すこと”ですから

帝国の情報はある程度知っています。それに私はもう人形でもなければ帝国軍人でもない」


サムエルは強い意志を示した。


-セレーノ-

「分かった。一緒に協力しよう」


-アンドレア-

「決まりだな」


-セレーノ-

「仕方ないけど今日はここで野宿にしよう」


3人は野原で寝込んだ。なんとなく落ち着きがない感じがするのはみんな感じているだろう。いつ内戦が起こるかわからないこの街…

ここは12年前、かつて血と炎に染まった、終焉を感じるような街だった。それにしても、一体なぜ内戦が起こったのか気になって眠れない。


ーー翌日ーー


鳥の鳴き声が静かな街の中に響き渡っていた。一番早く起きたセレーノは、2人を起こした。


-アンドレア-

「んぁ…もう朝ぁ?」


-サムエル-

「おはようございます」


-セレーノ-

「おはよう。よく眠れた?」


-アンドレア-

「野宿の割には案外よく寝れたわ」


-サムエル-

「笑笑」


アンドレア、サムエルは起き上がり、体を伸ばしてから支度をした。お腹を空かせていたアンドレアが腹を鳴らす。セレーノが呆れた顔をしながら一切れのパンを渡す。サムエルも「私も」と言わんばかりの顔でこちらを見つめてくるので、仕方なく最後の一個のパンを渡した。


-セレーノ-

「地下神殿へ行くのはいいんだけど、どの道から帰る?ネーヴェで内戦が始まってたら、帰る道がないぞ」


-アンドレア-

「んー、まあ、大丈夫でしょ

ある意味俺たちの運が良ければ、明日には内戦始まってるかもしれんけどな」


-サムエル-

「確率はかなり低いですが」


-セレーノ-

「なら、安心だな」


3人は、国境と思わしき柵を乗り越え、ついにドルミーレ地方の地に足をつけた。

ネーヴェの薄暗い雲とは裏腹に、青空が広がっていて空気が澄んでいた。しばらく風景を眺めた後、再び歩き出した。


-アンドレア-

「あとどれくらいで着くんだよぉ〜」


-セレーノ-

「あと5000mほどで着くよ」


-サムエル-

「そろそろですね」


セレーノは眉間にしわを寄せ、目を細めて遠くを眺めた。奥に何か、人影が立っているのが見えた。セレーノは咄嗟に身を屈めるよう2人に命令すると、口に人差し指を当てて”シーッ!”という。幸い、ボロボロの建物があったおかげで隠れることができた。


-セレーノ-

「誰かいるぞ」


-アンドレア-

「誰?」


-セレーノ-

「あのマントにあの西洋剣の持ち方…

         まさか…..!!!!」


人影はこちらに近づいてくる。3人は息を沈めてじっと人影が消えるのを待つ。

しかし、人影はまるで3人の居場所がわかっているかのように確実にこちらへ向かってくる。


-セレーノ-

「まずい、居場所がバレている…」


-アンドレア-

「まじ…?」 


-???-

「誰じゃ

  許可は取っておるのか」


-セレーノ-

「この喋り方…マヌエルではなさそうだ」


セレーノは諦めて身を明かした。2人も便乗して身を明かす。3人は両手をあげて


-???-

「真ん中のお主

  落ちこぼれ王子ではないか

    そうか、もう王子ではなかったか」


-セレーノ-

「…どっかの誰かさんに似てるな」


-???-

「貴様ら…さてはネーヴェから来たな?

  鉄臭さがあの頃を思い出させてくれるわ

    フハハハハハ!!」


-セレーノ-

「あの頃…

まさかコイツ

ネーヴェ内戦の関係者…!?」


-サムエル-

「あなたは一体何者なんですか

     ここをどいてくれますか」


-???-

「名を伝えることはできん

  わしは貴様らを待っておったのじゃ」


-セレーノ-

「待っていた…?

僕たちがここにくることを予測していたのか…?いや、まさかそんなわけがない」


    ーーー帝国王宮本部ーーー


-アメデオ-

「ネーヴェ内戦はどうなっておる」


-幹部-

「今のところ変化はありません。

しかし、男2人、女1人の計3人が地下神殿に向かっているのを騎兵が目撃したとの伝令を受け、現在エルゼオを向かわせております。」


-アメデオ-

「そいつらはなんとかなりそうか」


-幹部-

「はい、エルゼオに3人まとめて捻ってこいと命令しましたので。

ですが1人、ヴィータ王国の息子と名乗る者がいまして」


-アメデオ-

「ヴィータ王国の息子…か」


-幹部-

「こちらで保護するというのもありですが、どうでしょう」


-アメデオ-

「あいつはここへ立ち入れるな

  反乱を起こしてもらっては困る」


-幹部-

「では、殺してしまってもよいということでよろしいですか?」


-アメデオ-

「あぁ。反乱者は死刑と決まっておるからな」


-幹部-

「承知いたしました」


     ーーーーーーーーーー


-エルゼオ-

「どうやら今

  貴様らを捻ってこいという命令があった

    運が悪かったな

      次は来世に期待するがよい」


-セレーノ-

「ま、待て!」


-エルゼオ-

「どうした

  遺言か?」


-セレーノ-

「…」


-エルゼオ-

「わしが怖くて喋れんか

  なら今から楽にしてやろう」


エルゼオは剣を大きく振るった。セレーノはギュッと目を瞑り、死する覚悟で座り込んだ。次の瞬間

シュパッッッ!!

ポタポタ…

隣で誰かが斬られる音がした。


-セレーノ-

「まさか…!!」


ゆっくり目を開けると

右腕を失ったアンドレア前に立っていた。


-セレーノ-

「お前!なにバカなことを!」


-アンドレア-

「約束…したよな」


-セレーノ-

「おい…おい!!」


血が腕からドバドバと大量に出血している。

血を流したまま、セレーノの方へ倒れ込んだ。


-セレーノ-

「おい…テメェ」


セレーノは、ゆっくりと腰から剣を抜いた。


-サムエル-

「戦うんですか…?」


-セレーノ-

「お前は俺の後ろにいろ

    絶対に助けに来るなよ」


倒れ込んだアンドレアの体を、建物の壁によしかけて、エルゼオの方へ剣を向けた。


-エルゼオ-

「ほう…

 このわしと戦うと決めたか

     少しは強くなったのう

        落ちこぼれ元王子くん」


-セレーノ-

「黙れ…!!」



               つづく

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