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{キールさん、準備は整いましたか?}




世界樹の真下。

その先、わずか数百メートルの距離に――山亀はいた。




その最前線に並ぶのは、キール率いる人間パーティー。

リュウトが合流し、今――全員が“完全体”になった。




「……あぁ、こっちは準備万端だ」




{そうですか……では――}




「……その前に、ひとつだけ、ユキくん」




{えっ?なんですか?}




「この討伐が終わったら――一緒に飲もう。

私はそんなに強くないが……君は、強いだろ?」



思い出すのは《スロー村》の居酒屋。



{……! 覚えててくれたんですか!?私のこと――!}




「ふっ……物覚えはいい方だからな」




{絶対ですからね!!

生きて、みんなで――祝杯をあげましょう!!}




「あぁ。……楽しみにしてる」




通信が切れる。




「……あーあ。ルコさんも来ればよかったのにのぉ」




「まぁ、そう言うな。私たちがここに集まったのも、偶然が重なっただけだ」




「それが“運命”なら、ルコも来るべきだったと思うけどね……」




「それは……無理があるだろ」




クロエとオリバルは、ここにいない“仲間”のことを少しだけぼやいた。

だが――




「……しかし。確かにここまで揃うと……ルコサも欲しい、ってのが本音だ」




その言葉に、誰も返さなかった。




3人の視線が――山亀へと向かう。




もう間もなく、“射程圏内”に入る。

合図は、あと数秒のはず……。

















――来た。






「行くぞ!! 最後まで魔力を込めろ!!」




「任せろ!てめーらこそ足ひっぱんなよ!!」




「これに足引っ張るって……どうすんだよ……」




何万というアバレーの騎士たちと、キールたち人間パーティーが――


一斉に地面へ手をつけ、魔力を流し込む!






「「「「――【土塔】!!」」」」






轟音とともに――


大地が盛り上がった!




山そのものの巨体を持つ“山亀”が――

そのまま、ぐらりと傾き――




持ち上がった――!!


異世界転生したら女になった!?

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