TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


二つ目の遺物を見つけたこともあり、おれたちは下流に向かっている。上流の小屋は役目を終えたと言わんばかりに影も形も無くなっていた。


「はわあぁぁ……!! 出た途端、小屋が亡霊さんごと消えちゃいましたねぇ」

「ルティが装備してる腕輪が外に出たからだろうな」

「はぇ? じゃ、じゃあ、わたしが外に出ちゃったせいですか!?」

「いや、どのみち変わらなかったと思うぞ。だから気にしなくてもいい」


エラトラリングは移動魔法が使える腕輪だ。しかし、ジオラスから去り際に言われたことが気になり腕輪はおれではなくルティに預けている。


最初の首輪もそうだが、魔力がある者が装備しているとあまり良くないことが起きるという話だった。すぐ使う分にはいいらしいがずっと持つと悪さを働くのだとか。


その意味もあって、魔力の無いルティに装備させている。ただ、少なくともルティの様子を見ている限り何も問題が無さそうだ。


……しばらくして、おれたちは上流から下流の水路にたどり着いた。そこからさらに進んだところで、今まで遭遇しなかった魔物の気配を感じるようになった。


しかし、その気配を真っ先に感じているのはおれではなくシーニャだ。


「ウウニャ! アック、ダークスライムがたくさん見えるのだ!」


ガチャで出したダークネス装備のスキルに魔物探知がついていたようで、丁度良く闇属性に特化しているらしい。


「ダークスライムか……。影のダンジョンだけあってそれ系の魔物がいるってことか? 厄介だな」

「どうするのだ? スライムを倒しながら進むのだ?」

「一本道だったらそうするしか無かったが、水路が分岐してるし避けて進もう」

「分かったのだ! シーニャ、もっといい水路見つける。前に出るのだ、ウニャッ!」


魔法制限があることを踏まえ、ここでは無理に戦闘をする必要は無いと判断した。これまで進んで来た水路と違い、水路が何本かに分岐するようになったのも理由の一つだ。


魔物を倒すのはしつこい連中よりも簡単ではある。しかし、魔物はキリが無く湧く場合が多いのでうかつに手を出さない方がいい。


「そういえばアック様。魔石って確か、魔物から出るんじゃなかったでしたっけ?」

「まぁ、そうだな」

「それなら、魔物を倒して魔石をもっと得るのはどうですかっ?」

「……ん?」


現状における手持ちの魔石は、サンフィアを除いた彼女たち専用魔石とレアガチャをする魔石のみ――とはいえ、ガチャをするには足りているので増やすつもりはない。


よほどハイランクの魔物でない限り、レアな魔石を得られることが無いことも関係する。


……だったのだが。


「そのぅ、アック様……わたしも欲しいです~」

「何を?」

「シーニャばかり、ズルいじゃないですかぁ~! わたしも真新しい装備を着てみたいですよぉぉ」

「装備をか? 別に新しい魔石は必要無いだろ」

「専用魔石じゃない魔石でもしかしたら変わったものが出るかもしれないじゃないですか! だからアック様、お願いしますです~」


シーニャの闇系装備は場所や状況に応じた結果、彼女専用の魔石を使わずにレア魔石で出している。


「ルティが着ているメイドエプロンは初期に比べればかなり性能がいいんだぞ? 嫌なのか?」

「嫌じゃないです。でも、たまには違うものを着てみたいなぁと……」


変わった装備に違う魔石を加えるとなると手強そうな魔物を探す必要がある。ミルシェたちと合流、あるいはその間にそういう魔物に遭遇出来るかどうかが問題となるわけだが。


「……それもそうだな。仮に魔石が見つからなくてももう少ししたら出すから。それまで我慢してくれ」

「はいっっ! もちろんです!!」

「代わりといってはアレだけど、ルティ」


とりあえずの誤魔化しだ。


「はい? はひゃぁぁぁ!? ア、アァァァ……アック様?」

「なでなでだ。今はそれで我慢だ」


今は特にあげる物が無かったので、ルティの頭をなでなでするしかなかった。しかし即効で効果があり、ようやく大人しくなってくれた。


「アック、アック!! 変なのがたくさん群がっているのだ!」


ルティを大人しくさせたところで前の方にいるシーニャが声を上げている。


また魔物だろうか?


「すぐ行くからそこで待ってるんだぞ、シーニャ!」


しばらくは、細長くて浅い水の流れになっている水路を歩いてきた。しかし、シーニャが声を上げた所に行くとそこに見えた光景はまるで異なるものだった。


「これは流れが止まっているのか……?」

「はぇぇ、おっきい水たまりのような部屋ですねぇ」


そして、肝心のシーニャは得体の知れない黒い集団を前にして戦闘態勢を取っている。


「ウウゥゥ……!」

「シーニャ! 待った。おれが話をしてみるからそのまま、そのまま大人しくしているんだぞ?」

「ウウニャ」


よくよく見ると、集団の多くはサンフィアに似たエルフ族のような風貌をしている。しかし、血が通っていないような鋭い目つきと全身から感じる闇はただ事じゃない。


もしかしてダークエルフというやつだろうか?


「獣人と……人間? 人間、何用でここに来た?」

loading

この作品はいかがでしたか?

36

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚