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第2章「仄暗い願い」その9
安藤健が倒れた。
修介がその話を聞いたのは、練習場に集まったときだった。
そこにはすでに姫乃、香島、相瀬、直木、岡島、東海林の姿があった。
「三限(さんげん)のときに倒れたみたい」
「教室で倒れたらしいから、僕たちも詳しいことは知らないんだけどね。隣が騒がしかったのはよく覚えてるよ」
「そうだったんだ……」
姫乃と香島の話に、修介は不安げに声をもらした。
「授業のあとは保健室に運ばれたらしい。その後のことは知らん」
重苦しい空気の練習場に、相瀬の冷めた声が響く。
集まってはみたものの、このままでは練習ができない。
岡島がおもむろに、ホワイトボードを持ち上げる。
「『安藤が戻ってこられなかったら、どうする?』」
しばらく、その文字に答える者はいなかった。
誰も答えないのを見てか、相瀬がため息をついた。
「……外すしかないだろうな」
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