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2つの神に愛された少年。
天界に住む、1人の少年は天使の白い羽根を持つ少年少女達とは違った容姿をして浮いていた。
天使:良き行いをした者を天使に導き次の人生を歩ませる。絶対に良き行いをした者を見逃さぬよう幼い頃から大天使になる為に育てられる。
悪魔:悪き行いをした者を地獄に落とし償いを終えてから良き人生は送れないが、次の人生を歩ませる。良き行いをした者を連れて来れぬよう幼い頃から教育されている。
そんな2つの世界がある中、どちらにも成れなかった少年は可笑しい。そう言われ育った。
右には悪魔の象徴である黒き翼を持ち、左には天使の象徴である白き翼を持つ。そんな彼を天使達は、天使であるまじき言葉で彼を罵った。
とある天使は『どちらにも成れなかった嫌われ者』また、とある天使は『神様に見捨てられた子』『君は大天使になる事は出来ない』そんな事、大人にも言われ、幼いながら自分はもう夢見る大天使には成れないのだと悟った。
「天之御中主神様である天之の名を貰った俺がどちらにも成れないなんて…」
幼い頃から大天使になる事を教えられ、憧れ、ずっと夢を見ていた。そんな俺は初めて羽根を見せる時、黒と白の羽根を見た時の周りの反応で嗚呼、ダメなんだ、そう悟った。
「っ______」
何度も謳った、天使の詩。成れないと分かっていても憧れが消える訳では無かった、成れなくても少しでも足掻きたかった
胸の前で手を組み祈るように風に灰色の髪を揺らしながら詩う。
髪までもが白く美しい天使とは違い、悪魔の黒い色が混じった灰色の髪を持つ天之に嫌な気がしていた天使達は、羽根を見て確信した。この子は大天使には成れない。そう
組まれていた手にポツリと水滴が落ちたすぐに気づくと、頬に伝っていた涙に驚きながら1度詩をやめ服の袖で涙を擦りながら神様に謝る。
「も、申し訳ございません!」
すると閉まっていた協会のドアがゆっくりと開き急いでいるようだった大人の天使が現れた。
「何をしている!今日は悪魔達との交流があるから集まるように言ったでは無いか!」
「!も、申し訳ございません!今すぐそちらに!」
「はやくしてくれ!」
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悪魔の王子であるマトリウス様はよく俺に会いたがる、なんでも天界と地獄を行き来する為の許可が地獄の王であるサタン様はマトリウス様に答えを求めていた。そんな中数十年返事は無く、次に口を開いた時こう言ったそうだ。
『交流会の時に天之、という少年を毎度呼んでくれ、呑んでくれるのであれば行き来を許可します』
なぜ俺を選んだのかが分からなかった、しかもそれを許可したのは俺が生まれたちょうどだ。
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マトリウス様は黒く長い髪を持っており無表情である、だけど俺を見つけた時、少しだけ微笑んでくれている気がする。いつも俺を隣に座らせ寒くないよう、と言いブランケットをかけてくれる。
「あの…」
「?どうしました?まだ寒いですか?ここは少し涼しいですからね、遠慮なさらずに」
「おれ、僕分からないんです…」
「はて、分からない。とは?」
「マトリウス様が何故ここまで良くしてくださるのか、僕はどちらにも成れないのに…」
「嗚呼、成程。其れは大天使や天使が分かっていないだけです」
「分かっていない?其れはどういう事ですかマトリウス様」
大天使、ミカエル様が問う。それに「其れはですね」と言うマトリウス様が俺の右の羽根を触る。
「嗚呼、折角ですからこの誤解、全て解いてしまいましょう。」
「天使の皆様、ここには居ない天使の皆様に聴こえる、見えるようここを空に映し出す事は可能ですか?」
「…それなら、私がやりましょう」
「嗚呼、ラファエル様、それではよろしくお願いします」
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何故突然全天使に見えるよう伝えたのか、誤解とは何か、何が何だか分からなく混乱している天之に「羽根を縮めないで、皆に見えるよう開いてください」そう、マトリウス様に言われた事をやる。
「この2色の羽根を、天使である皆様はどちらにも成れない者、どちらからにも嫌われた、そう仰いましたが、其れは大きな間違いです。」
「そもそも、どちらからに嫌われていれば天使、悪魔等には成れません。」
天使達からの視線がとても苦しい、羽根を閉じてしまいたい、見ないで、見ないで。そう思いながら羽根を閉じないよう、腕で顔を囲うとマトリウス様がその腕を退けた。
「貴方は胸を張りなさい天之、嫌われてなんか無いんですよ、天界と地獄に愛された唯一無二の天使なんですから」
「え…?」
あい、されてる?この二色の羽と混ざりあった髪が?どちらにも成れない、嫌われてると言われた俺が?
「ガブリエル様、貴方は神からのお告げは無かったのですか?」
そう、マトリウス様が問うとガブリエルは焦ったようにこう言った「一言も、その子については何度がお尋ねしましたが、それだけは何故か話してくれず…」
「なら、自分達で気がついて欲しいかった。そういう事でしょう。」
「私の場合は神であるサタン様がそういう隠し事とかが面倒なたちなのですぐに教えられましたが…」
「サタン様が…?」
「ええ、サタン様は知っていたのですよ、愛される子が産まれることも、貴方が神に近しい存在に成れる事も」
ふわりと撫でられるのは初めてここに来るまでに止めた涙が溢れ出る。
ああ、そっか嫌われてなかったんだ、愛されてたんだ
「天使の皆様、分かって頂けましたか?彼は嫌われていない愛されていたのだと、それに気づけなかった貴方方には少しガッカリ、」
ふぅー、と息を吐いたマトリウス様が首をゆるゆると横に振りながら言う。
「ここまで神の神力に溢れている少年、分からないはず無いのですが」
「さて、貴方達はもう少し天使として、自覚を持ってください。自覚が持てるまで天之は少し地獄で預かります。」
「なっ、そんな待ってください!」
1人の天使が止める。
「大丈夫、悪いようにはしません、逆に天界より居心地がいいと言わせて見せましょう。」
ふわりと抱えられた俺は背中を優しく叩かれながら移動した。次に目が覚めた時には天界のように明るくはないが何故か優しい雰囲気に包まれた場所で目を覚ました。
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2つの神に愛された少年。
エンド 5⁄16