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私
には理解できない。
なぜ人は、こんなことに命をかけるのか? だが、その答えはもうすぐ出るだろう。
これは予言だ。私の未来を見通す力が告げている。
人類は、新たなステージへと到達するのだ! そうして始まる新世界への旅路。
私が見届けようではないか!! この世界のすべてを!!! 私は、夢を見る……。
いつも同じ夢だ。
白い部屋に閉じこめられた少女の夢。
あの子は、いったい誰なのか……。
目覚めると忘れてしまう。ただの悪夢ではないと思うのだが……。
記憶を失う前の自分のことを思い出すことができない。
思い出そうとすると激しい頭痛に襲われる。
おそらく自分は何かを知っているはずなのだが……。
最近になって、ようやくわかったことがある。
それは、自分が何者かということではなく、自分自身のことでもない。
あの子のことだ。
彼女は、きっと私のことを待っている。
早く会いに行きたいものだ。あの子に。
そうすればきっと、また一緒に暮らせるから。
あの子は今ごろ、何をしているだろうか? ああ、もうすぐだ。もうすぐ会えるよ。
ずっと我慢していたんだ。もう限界だよ。
早く帰っておいで。僕の可愛い娘。
今日はね、君の好きなハンバーグを作ってあげる。
お父さんの大好物だから覚えておきなさい。
さあ、できたぞ!召し上がれ!! はやく会いに行ってあげないと……。お姉ちゃん?だれのことかなぁ~♪ ああ、そうか……まだ寝てるんだね。うん、起こしてくるよ。
ねえ、知ってる?昨日のお話だよー! えへへっ♪また一緒に遊ぼうねー! あの子はもういないんだよ。
そっか……じゃあぼくたちだけで遊びたいんだね? わかったよ!……また来るからさぁー、それまでにはちゃんと決めておいてよねぇー? ねぇっ!! ──────────── うわあああっ!? なんだよこれぇっ! こっち来んなよぉおおおっ! お前らなんか嫌だぁあああっ! なんでこんなことするんだよぉっ! やめろよぉっ! はやくどっかいけよぉおおおっ! おいおい!冗談じゃないぜ。
俺はただの一般人だってのに、あんたらときたら、まるで俺まで超人みたいに扱ってくる。俺には特別な才能なんてないんだからさ、そこんところわかってくれよ。頼むぜ? 俺は普通の人間なんだ。だから、普通に生きてくだけで精一杯なんだ。
だから、あんまり無理させてくれるなよ。
もうこれ以上、期待しないでくれ。
俺は凡人だ。だから、夢を見る暇もないくらい忙しいんだ。
ほら、よく言うだろう? 忙しくて寝ている暇がないって。あれだよ。
それにしても……なんでこんなことになってんのかねぇ。まさか俺の人生の中で、二十八歳で会社を辞めることになるとは思ってなかったぜ。しかも辞め方が最悪だし。
えっ? どんなふうだったか教えてくれないかって? はぁ~あ。しょうがねえなぁ。じゃあちょっとだけ話してやるよ。
今さら言っても遅いけど、あの時はマジでまいったぜ。そりゃあ確かに仕事のこととか将来のこととかを考えて迷ったりもしたけど、あんな形で突然クビになるなんて想像できるわけないだろう。
俺の名前は平林光太(ひらばやしこうた)。二十五歳独身