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私は決して、平凡では無かったと思う。
否、正確に言えば、小学生までは至って平凡だったと思う。ただ、中学生に上がってから、私は自分と周りの“差”を痛いくらいに感じた。小学生までは周りも自分も特に躓くことの無かった勉強は、急に躓き始める人が居る中で、私は特にムズカシイと思ったことはなく、テストの一週間前から勉強を始めたとしても学年順位はいつも一番上だった。
運動も嫌いだと思ったことも無ければ、苦手だと思ったこともない。やれと言われたからやるし、これ以上出来たらスゴいよ、と言うから空気を読んでそれをこなすのが日課なような、そんなつまらない体育の時間を過ごしていた。でも日焼けするのはあんまり好きじゃ無かったかな。肌が焼けると赤くなってヒリヒリするから、あの感覚だけはどうしても慣れなかった。
だけどそんな私を変えてくれる物と出会ったのが、中学三年の冬。私はとある漫画と出会った。その漫画はアニメにもなっていて、世界的にも人気があるお話だった。
──その名を、“ハイキュー!!”という。
私は特に主人公の日向翔陽がお気に入りだった。いつも何となくで過ごしていた私とは違って、バレーを愛し、バレーに尽くし、最終的にはその人生をバレーで締めくくる。私の目にはそんな彼が眩しかった。
「お母さん、私、バレー始める」
母「えっ……高校から始めるの!?」
「うん」
日向翔陽と、その彼の周りでバレーをする最高の彼らのバレーに、私はあっという間に感化されてしまった。そして高校一年からやったことも無いバレーを始める。
もしかしたら日向のように私も顔面レシーブとかしちゃうのかなと密かに胸を高鳴らせる日々だったけど、残念ながら、私という人間はそこまで面白くはなれない人間らしい。顔面レシーブをする機会なんて高校三年間で一度もなく、ここでも平凡とは言い難い、私のセンスが光ってしまったようで、高校一年から大会でスタメンで出てしまう事態になった。偶然私の進学した高校はバレー部が強かったからそう簡単にはスタメンなんてなれないだろうと思っていたのに。
「(……なっちゃったじゃん)」
日向とは全然違うスタートから始まってしまったけれど、バレーボールというのは始めてみるとこれまた沼の深いスポーツだった。いつの間にか、ハイキュー!!という漫画を抜きにしても、私はバレーボールにハマりきっていた。
大人になって、バレー選手になるくらいには、ドップリと。