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「いえ、別に…」
咄嗟に誤魔化そうとするのを、
「別にではありませんよね」
言いながら、集めたカルテを私に差し出して、
「そんなに腰が引けて、拾う手も……、微かに震えていますよ?」
その美しい容貌に、婉然と微笑を浮かべて見せた。
「えっ、あ……」
言葉に詰まり、あまりに整って綺麗すぎる容姿から目を逸らす。
「そんなことは……」
心を読まれたことに戸惑いつつも、目の前の男が人を分析することに長けた精神科医だったことがふと思い出された──。
「……なかなか、興味深いですね、君は……」
政宗医師は、薄く微笑ったまま顎の先に片手を当てて、じっとこちらを観察するようにも眺めると、
「この私の外見に、単純に捕らわれない女性がいるなど、思ってもみませんでした……」
そう、低くぼそりと呟いた。
耳を疑うような台詞に、「えっ……?」と、思わず聞き返す。
「……君は、私にとっていい興味対象です。……この私のことをどう見ているのかが、とても気になりますね」
聞き返した私に、そう意味有りげな口ぶりで答えると、
「興味ついでに、今夜これから食事でもどうですか?」
不意に、誘いをかけてきた。