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mg.side
ab「好き。」
「えっ?」
唐突な言葉に、頭の整理が追いつかなかった。
あべちゃんは、顔を伏せて下を見続けている。
「今、なんて?」
ab「 …す、き、めぐろ…の、ことが。」
あべちゃんの口から出た言葉は、微かに震えていて、まるで、必死に絞り出したかのような声だった。
あべちゃんがぱっと顔を上げた瞬間、俺の顔を見たあべちゃんは、少し申し訳なさそうだった。
あべちゃんの体は小刻みに震えていて、まるで、俺の放つ言葉に怖がっているかのように思えた。
そんなあべちゃんを、なるべく安心させられるように俺はそっと肩に触れた。
「あべちゃん。」
あべちゃんは、何も言わない。
ただ、ずっと下を向いていた。
「…ごめんなさい。」
「俺、あべちゃんとは、付き合えない。」
俺は、あべちゃんに嘘がつけない。
いや、嘘をつけないんじゃない。
嘘を、つきたくないんだ。
だから、正直に、でも、なるべく、傷つかないように。
できる限りの優しい声で、言ったつもりだった。
でも、ちらっと見たあべちゃんの頬には、すーっと、涙が溢れていた。
な、かせた?
気がついたら、あべちゃんの肩をぎゅっと握っていて。
あべちゃん、そう名前を呼ぼうとした瞬間にマネージャーさんに呼ばれる。
あ、ごめん、今、話してた?みたいな顔で突っ立ってるマネージャーさんに、今、行きます。とだけ言って足早に楽屋を出た。
振り返れなかった。
マネージャーさんは色々話してくれているのに、全く話の内容は入ってこなかった。
俺、あべちゃん、泣かせちゃった?
え、どうしよう。
でも、男の人と付き合うなんて…考え、てはない。
恋愛対象は女性…だし。
いや、でも、俺はあべちゃんのこと…どう思ってるんだ?
そんなたくさんの想いが頭を巡る。
でも、あの感情…だけは忘れられない。
あべちゃんが、泣いた時、今すぐにでも、抱きしめてあげたい。と思ったことを。
その日の個人の収録は、あべちゃんのことだけが頭でいっぱいで、全く話が入らなかった。
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