テラーノベル
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〜最終手段〜
第81話
俺は、女と剣を鳴らし合った。剣術はまぁまぁと言ったところ。でも、相手が手加減中だから分からない。
……彼女は、何かを待ってる気がする。確証は無いけど、このままだと負けると勘が叫んでいる。
俺が次に狙った軌道から彼女は外れた。
びっくりしたけど、後ろを取られたのは直ぐに分かった。
振り向こうとしたけど、既に手遅れだった。背中をぱっくり斬られた。二人に任せてきたのに……
「ぐっ……っ!」
倒れた所を狙われて背中を踏まれた。苦しい。その苦しさは、呪いがかかるときと似ている。
「大口を叩いてたのに、これか? 期待したのは無駄だったな」
サラサラとした赤い血が俺の背中にできた一本の大きな傷から流れ出て俺の周りに血だまりを作っている。
俺は無理矢理、傷を治して抜け出した。
……死ねない。殺さない……また、皆に会いたい。怖いっ!
「まだ動けたのかい?」
「……」
「何か答えたらいいんじゃないのかい。一応、私も人だからさ」
「……」
「おい、人外が何、イキってるんだよ?」
俺は黙ったまま呼吸を整えた。
呼吸を整える――否、獣人の本領発揮をするための準備だ。
「……人外がイキってる? お前こそ、人でなしだろ。俺は人にちょっと獣が混じった変なヤツだ。一応、人という一括りから外れた訳じゃない」
「ふぅん。私を『人でなし』と……」
その女はそう言いながら、後ろに隠していた左手からリナを出した。
その左手は、胸ぐらを掴んでいた。気道が塞がれて息が出来ていない。
「リナっ!」
俺は、絶望した。
突っ込んだ。でも、指先一本ではじき返される始末だ。
駄目だっ! このままじゃ、リナが……
そう思ったところで、俺の腕の中にリナが――リナの生首がすっぽりとはまった。否、首を斬られたという事だ。
もう、助けられない。リナの魔力が無い。目も髪の毛も、艶が無い……
「あぁぁぁぁぁ!」
偽物じゃないだろう。全く同じだ。血の匂いから、容姿まで。
手遅れだ。もう、俺は……
そう思っていたら、お腹の中に残っていた銃弾をあの女に動かされた。
内臓がいくつか傷ついた。でも、リナの生首が目の前にあって頭が真っ白。
「よこしまな気配!」
そう言ってリナが、女の頭を蹴って吹き飛ばした。……は?
じゃあ、この生首は……誰?
いや、あっちが偽物?
「勝手に私の人形作らないでよね。しかも、どんな遊び方? ひっどーい!」
いや、この生首は偽物だ。
俺は、参戦しようとして立ち上がった。
すっかり忘れていたけど、身体はボロボロ。限界突破はとっくの前にしている。
案の定、立つだけが限界だ。
「ノア。休んでて。私の本領発揮するんだから……」
そう言ってリナはお団子にしていた自分の髪を解いた。
まさかっ……
「これで、最後になるかもしれない。最後じゃないかもしれない。そこは分からないけど……応援して」
「分かった。リナの事、応援する」
「それでこそ、私の相棒よ」
リナは、自分の周りに青白い光のベールを纏った。眩しくて何も見えない。
目を開けると、リナの髪が金でも、白でも、ブロンドでも……どれでも無い薄い色になっていた。とても綺麗。
今まで黒だったから分かりづらかったけど、オーロラのように光っている。
「へぇ……信じてたんだ。この人殺しを」
「私たちは信じる事は無い。信じたら、それ以上にいけないのだから」
「ソラーレ! 何をしている?」
そう言って、ソースが走ってきた。でも、そこまで言ったら、女が飛ばしたナイフで首が飛んだ。ソースは、神様だし、身体に無理矢理入ってるだけだから……ごめんけど、叫べなかった。
いや、こんなに冷静にいられるのもおかしいんだろうけどさ。
「見たまんまだけど、何?」
リナはやけに不機嫌だった。邪魔されたのが余程嫌だったのだろう。
「フハハッ! リーパー。今でもその名前は、耳にするさ。伝説の殺し屋って」
リナの前前世の世界か。
……やっぱり、他の世界線に転生するなんて、馴染みがないな。
俺は、昔、リナを救えなかった。とっても昔と、救ってくれて少し経った時と、今と……
「とっても光栄な事だね。そうでしょ? ソース」
『そうだな。あ、ネタバレで悪いようだが、俺がリーパーの司令官だ。今は、ソラーレ』
「ほう……創造主のお出ましか」
「いや、超人のお通りだよ。命が惜しければ、私に勝ってみな」
「そうだね。勝つことにする」
そう言って二人は、火花を散らしながら戦った。
コメント
1件
うわっ……第82話、一気に空気が変わったね🥀 リナの生首抱えた時のノアの絶望、胸がぎゅっとなったよ……でもそれが偽物って分かって、ほっとしたけど、それでも心臓バクバクだった。 リナが髪ほどいて「本領発揮」って言ったシーン、すごく綺麗でカッコよかった……! リーパーとしての過去とか、ソースとの関係も気になるな。 続き、ちゃんと読ませてもらうね🌙
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こはる
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