「……っは、う……ぅ、ひぐ、……はあ、はっ、」
生理的な涙が、ぽたり、DDの手を濡らす。胸が痛くて、頭がきんとして、身体が重くて、それでもなんとかしなきゃだめなんだって、そう思った。一人だったら、多分とっくに諦めてた。こんなの、俺なんかのために焦ってくれているDDが報われないから。人通りの少ない道でみっともなくぽろぽろ泣きながら、必死で引きつりそうな呼吸を繰り返す。
「…………げほ、でぃ、でぃ……っ」
「喋らなくて良いって。どうしたの」
「……ゃ、…………ぁ、はく、かも……」
「え? …………ちょっと待ってよ」
だんだんと身体に酸素が回り始めたら、途端に忘れかけていた吐き気を思い出した。息を吐くたびにびくりと身体が震えて、口の中が苦くなる。自分ではどうにもできなくて、これ以上迷惑なんてかけられないと思っているのに、気がついた時にはDDの袖を引っ張っていた。
「……っうぉえ、ぅ、…………」
「うみにゃ、無理そうだったら吐いても良いよ」
たまらずに空嘔吐きをしていれば、見かねたDDが背中をさすってくれた。こんなところで、吐いても良いわけがない。地面と、DDの顔を見比べて考える。本当は、意地でもトイレまで我慢したいけれど、そうも言っていられない。
最近はたいていこの調子だから、通勤カバンの中にお守りがわりに入れていたビニール袋を、震える手で取り出そうとすれば、それも結局DDが手伝ってくれた。目の前でがさがさと音を立てるそれを見ていると、酸っぱい唾液がだらだらと止まらなくなって、喉の奥がごぽりと嫌な音を立てる。
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