【影。視点】
みや「で、俺の過去の話は終わった事だし。かげまるの過去の話聞かせてよ」
影。「おれぇ?!なんでよ!」
ぐるっと辺りを見渡せばみんな期待するような眼差しでこちらを向いている。いや、話すような過去なんてないんだけど。ていうか常識問題半分取れてから聞いてくれるかなこの人外共は。
影。「面白い話なんてなんもないよ。ちょっと暗いし、聞いてて楽しくないと思うけど。」
K「暇つぶしに聞いてあげるって言ってんの。早く話しなさい」
影。「随分上から目線ですねぇあr((ん゙っ、奏さんっ!」
机に頬ずえをつきながらこっちを見上げる奏に若干の怒りを感じながら、人間だった頃の自分に思いを馳せる。
影。「後悔ばかりの人生だったよ。最後の最後までずっと後悔してた。」
墓まで持っていくつもりだった話を2度目の生を受けて墓に行けなくなった時に話すなんて思ってもみなかったや。
俺の父親は警察だった。100年以上前だし、今とは全然違うけどね。だから俺も小さい頃から警察になろうって決めていた。
影。「大人になったら父さんより優秀な警察になってやる!」
父「なれるもんならなってみな。」
父親はさぞ優秀な警察だったって。俺があと少しで警察になれるってところで、現役を引退した。いや、殉職したんだ。
これはあとから聞いた話。最期死ぬ時に父親は、
父「俺の息子は、俺より大物になる男らしいぞ….期待してやれ。新人にな。」
そう部下に言い残したらしい。重荷を俺に預けて死んでったんだよ。最悪の父親だよなぁ。
そのまま俺も警察になった。ちゃんと父親の名に恥じぬ警察官をできてたって思う。それでも、それでも救えない命は沢山あって、中には救えたはずなのに失ってしまった命だって沢山あった。
全部を、気負いすぎたんだよ。日に日にメンタルは削れていく。そんでそれが仕事に影響した。足に大怪我負って、一ヶ月療養になった。
救えた命と救えなかった命。どっちが多かったかなんて知らないし知ろうとも思わない。俺は救えなかった命の方が多いと思ってるよ。思い込みだろうけど。
「影人は立派な警察だよ!お父さんにも負けず劣らず!」
「お願い、助けて、警察さん….ねぇ、影人…」
完全に心が折れたのは奏と会う少し前だったかな。姉が死んだ時。
目の前にいたのに救えなかった。救えなかった命がまた増えた。それも、自分の肉親が。
影。「奏を助けたのも、1種の罪滅ぼしだったのかもなぁ…」
みや「見た目によらずすごい重い過去背負ってんね。」
影。「見た目によらずって何?」
正直人に話すなんて思ってなかったから構成もめちゃくちゃだし上手く話せたかなんてわかんない。
影。「ちょ、ちゃげぴ泣かないで…?」
ちゃげ「ん〜…かげぴも泣いてんじゃん…!」
そう言われて自分の目元に手を当てて。少し湿ったその指を見て初めて自覚した。
K「へぇ、かげまるって感情あったんだ( °o°)」
みや「俺らより情の深いやつだから。」
バカにしてんのかしてないのか。きっとこの人たちにとって俺の過去なんてどうでもいい話だろう。今が全て、過去は振り返らない精神の人たちだから。
プテ「後ろなんて見ても辛いだけだよ。前見て生きてこ!」
ねろ「人の過去に首突っ込む気は無いけど、笑っとけ笑っとけ」
ポン酢「笑う門には福来る!!!」
ハチ「正解っ!」
影。「問題の話かよぉっ!!!」
K「相変わらず感情知らずだねぇバブル。」
バブケ「人の話聞いて何泣くことがあるんですか?」
あるま「感情移入って言葉知ってる?」
ちゃげ「知ってるわけないだろこの中で一番感情ないやつが!」
影。「あるまは知ってんの?」
さこ「何それ」
ちゃげ「語り手と自分を重ね合わせて同じ感情抱いちゃうってやつ。」
あるま「そうそう語り手と自分をね。」
影。「知らなかった!絶対知らなかったやつの反応!」
みや「うるせーだまれ勉強中だろうがよぉ〜!!」
影。「この話振ったのふじみやだから!俺覚えてるからね?!」
みや「あん?なんか言ったかかげまるぅ」
影。「人の話を聞けバカ!」
アベ「まぁまぁ落ち着いて!とりあえず涙ふこ?」
めーや「ダサいことじゃないから。男だって泣いていいんだから!な、アベレージ !」
アベ「僕は泣かないですけどね!」
なつ「2回泣いたことあんだっけ」
アベ「そんなに泣いたかなぁ?」
なつ「でも初めて会った時涙の跡あったよね」
アベ「そ、そうだっけ?」
めーや「だからダサい事じゃないって!涙拭けよアベレージ!」
影。「泣いてんの俺ね?!今泣いてんの俺だからね!!」
ちゃげ「失礼な!俺も泣いてますけど!」
ねろ「俺は泣いてませんけど!」
影。「知ってるわぁい!!!」
泣く隙も休む隙もボケる隙もありゃしない。でもこれがサイコパスと人外っていう心のないやつが集まってる何よりの証拠であり居心地の良さ。
いず「….いっぺん静かにしよか?」
瀬戸「俺寝るから静かにして?」
いず「いや寝るなよ」
俺だって人じゃなくなって100年たってんだ。人の心なんてもうどっかに行っちゃったんだろうなぁ…
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