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セイギ

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セイギ

11 - Case 2-1

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2024年08月05日

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「俺マジで嫌なんだけど…。暴発したらどうすんだよ」

支給された拳銃を手に、高地は顔をしかめる。事件柄、上層部から携帯許可が下りたのだ。

「じゃあなんでそもそも刑事になったんだよ」

大我が突っ込んだ。

「白バイがよかったんだけど、そう思う奴がほかにも大量にいたから譲ってやっただけ」

「なるほど、あぶれたのか」

北斗が言って、「言い換えるなよ!」と眉尻を下げた。

「まあでも刑事になれたのもすごいじゃないですか」

慎太郎がなだめて、場の雰囲気が和む。

その隣で、何やらぶつぶつとつぶやいている捜査官。

「やっぱグロッグが使い慣れてるからな…。リボルバーはわかんない」

「まあまあ、ここはFBIじゃなくて日本警察なんだから。しょうがない」

樹がジェシーの肩をたたく。

そして各々懐などにしまった。

「じゃあ俺は被害者に会ってくる。…誰かついてくるか?」

大我がくるっと振り返って見てみれば、慎太郎とジェシーが手を挙げていた。

「どうしよっかな…」

手のひらの先を慎太郎に向けた。「森本。行こう」

残念そうな顔のジェシーと面倒くさそうな3人を残し、主任と巡査長は出て行った。



「港原亮司さんですね。警視庁捜査一課の京本です」

ベッドの上の男性に声を掛けると、男性は恐々というようにうなずいた。

「森本です」と慎太郎も続く。

「怪我の具合はどうです?」

港原の右腕には包帯が巻かれていた。八尾川に突き飛ばされた際に骨折したという。

「ええ、まあ」

困った表情で答える。「あの…俺も逮捕されるんすか? あいつは逃げてるし、今までの事件だって探されてるだろうし…」

「証拠が積み重ねられれば、いつでも逮捕できますよ」

大我にそう冷ややかに言った。さらに怯えの強くなった顔をしている港原に、ふいに唇の端を緩めて訊く。

「加害者に襲われたときの様子はどうでしたか」

「…『お前のせいでサツに追われてんだよ』って言って来ました。まああのことかなって予想はついたんすけど…」

「都内の特殊詐欺事件ですね」

慎太郎が確認する。

「はい。俺、サツに職質されたときについ情報を漏らして…」

「じゃあ、加害者の逃走先に心当たりは?」

港原は首を振った。「わからないっす」

今度は慎太郎が訊いた。

「では、狩崎組の事務所の場所は」

「……言えないっす」

それを聞き、大我の目の色が変わった。

「お前が加担した違法薬物の密輸、四課に詰めさせてもいいんだな?」

ひっと小さく声が聞こえた。

その後、港原は暴力団事務所の場所を吐いた。 2人はうなずき合い、病院を後にした。



「……すげえ怖かったです、主任」

捜査車両に戻ると、しばらく無言だった慎太郎が口を開く。

「被害者が?」

「……いえ、京本主任が」

大我は何度か瞬きしたあと、そうか、と苦笑する。

「いや、この仕事やってるとまあそういう性格になっちゃうんだよね。でもみんなのほうがもっと怖いよ、樹とか」

確かに、と心の中で思う。

「知ってる? 樹ってマル暴だったらしいよ。なんで一課に来たのかは知らないけど」

「え、そうなんですか」

ふと慎太郎は、今回の件で樹が見せた表情を思い出す。いつもの強気なものとは打って変わった、怯えたような顔だった。四課出身なら慣れているはずなのに、なぜだろう。

「ま、気になるなら訊いてみれば。あいつは答えなさそうだけど」

慎太郎は大我を見やる。真顔で前を見据えたまま、

「…しゃっ、アジト潜入といきますか」

ふいに瞳にぎらりと妖しい光が灯った。


続く

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