テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
???「そういえざアタシタイムカプセル埋めたんだった」???「タイムカプセルだぁ?」
???「随分可愛いことしたんだね」
ここは、生徒会室。「桃時」は「雨花」、「瑠璃人」にタイムカプセルを埋めていたことを話していた。
桃時「アタシが小学校低学年の頃埋めたのよ」
雨花「よく想い出したね」
瑠璃人「何で想い出したんだ?」
桃時「ニュースで「皆さんはタイムカプセルを知っていますか?」っていうナレーションが流れたのよ。それで想い出したの」
雨花「なるなる。そういう事ね〜」
瑠璃人「じゃあ土から返さなきゃな」
雨花「そうだね〜」
桃時「…………ねぇ。あんたたち」
瑠璃人「じゃあオレたちはこの辺で〜」
雨花「わたしもアデュー!」
雨花と瑠璃人ははそそくさと荷物をまとめて帰ろうとした。それをガシッと捕まえる桃時。
桃時「な〜にしてるのよ?あんたたち……」
雨花「捕まっちゃったね」
瑠璃人「大丈夫だ。逃げ方を考えれば……!」
桃時「あ・ん・た・た・ち?」
雨花「これは逃げられないね」
瑠璃人「く、くそぉ……」
桃時「さぁ……」
「「タイムカプセルを掘り返すわよ!!」」
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
瑠璃人「あのさぁ……」
「「こういうのって自分で掘り返すことに意味があるんじゃね?」」
雨花「結構深くまで掘ったけど……」
瑠璃人「つうか。何で神社の御神木の前に植えたんだよ!!坊さんに怒られたらどうすんだよ!!」
桃時「謝れば良いでしょ?それにアタシ手とか汚したくないし」
雨花「じゃあ埋めた時はどうしたの?」
桃時「男子にやらせた」
雨花「なる」
瑠璃人「へぇ……へぇ……疲れた……。ん?おっ!これじゃね?」
掘り返すと、スコップに固いものがぶつかった。それはお菓子の缶だった。
桃時「あぁ!これよこれ!このお菓子の缶懐かしいわぁ〜」
雨花「中には何が入ってるの?」
桃時「開けてみましょ」
桃時がタイムカプセルを開けると……
桃時「うわぁ!」
瑠璃人「すげぇ」
雨花「おぉ」
中にはキラキラした石のようなものとボトルシップと手紙が入っていた。
桃時「懐かしい!この石。ミラクルストーンよ!」
雨花「知ってるよ!昔流行ったよね!ゲーム機にその石をはめ込んでこの石に書かれてる服とか小物をキャラに着せて踊らせてその曲のリズムで遊ぶリズムゲーだよね!」
瑠璃人「オレも知ってるぜ!海音がやりたがってたから!」
桃時「こんなものもあったわね。でも……何でボトルシップなんて入ってるのかしら」
タイムカプセルの中にはその他にもボトルシップが入っていた。
雨花「手紙に何か書いてるんじゃない?」
瑠璃人「読んでみろよ」
桃時「えぇ。そうね」
桃時は手紙を開く。そこには……
『アタシへ
お元気ですか?無事にファッション関係の道には進めましたか?進めてたら嬉しいです。』
雨花「へぇ!桃時ちゃん。ファッション関係の道に進みたかったんだ!」
瑠璃人「でもお前遊んでばっかで将来のこととか何にも考えられてないじゃねぇの?」
桃時「でもアタシ服飾学校の推薦書貰ったわよ」
瑠璃人「ほら!やっぱ何にも考えられて……ん?え?え?!推薦書!?」
雨花「ちゃんと考えてたんだね!偉いじゃん!」
桃時「家庭科の授業で服を作ったんだけど、それが服飾学校の先生の目に止まって推薦書を貰えたのよ」
瑠璃人「兎白さんみたいに才能で突き進んだんだな……」
雨花「才能っていう言葉は努力を短絡的にするための言葉だよ?例え才能を持っていても、努力をし続けた者の力には及ばないんじゃない?例え及ぶとしても才に恵まれた者の力を得た瞬間と才に恵まれなかった者が力を得た瞬間なら後者の方が心地良いはず」
桃時「そうよ。アタシだって頑張ったんだから」
瑠璃人「へいへいすみませんねぇ〜早く手紙の続き読もうぜ」
雨花たちは手紙の続きを読む。
『でも今のアタシはとてもしんどいです。男の子に貢がせることしか出来なくて、友達ができません。誰もアタシが何でそんなことをしてるのか知ろうとすらしてくれません。未来のアタシは、自分を自分自身を認めることができていますか?そんなアタシに気づいてくれる人には出逢えましたか?出逢えてたら良いな。
それからお母さんとはどうですか?
お母さんが置いていったボトルシップ。このボトルシップの船はお母さんとお父さんが結婚式をした船です。これを未来に運べば何か変わるんじゃないかと想ってタイムカプセルの中に入れました。例えお母さんが帰ってこなくてもアタシはどうか生きて頑張って。それだけは約束しなさいよ?
アタシより』
桃時・瑠璃人「…………」
雨花「桃時ちゃんは……これに託したんだね。その時抱えきれなかった想いを未来に託したんだね。未来の自分しか頼れる相手がいなかったのかな。桃時ちゃんは頑張ったんだね」
雨花は桃時の頭を撫でる。
桃時「!」
昔のことなんて長いこと忘れてて
本当に苦しかったけどそういう想い出が
覆いかぶされるくらい”今”は……
桃時「楽しいって感じてるのかな」
瑠璃人「そうなんじゃねぇの?」
雨花も瑠璃人も笑いかけている。
桃時「うふふっ、タイムカプセル掘り返してくれてありがとう。お礼に駄菓子屋で何か買ったげる」
雨花「マジで!?やったぁ!!」
瑠璃人「オレもオレも!買いたい!!」
桃時「全く……安上がり」
桃時は大切そうにタイムカプセルを持って、雨花と瑠璃人と共に駄菓子屋に向かい、ちょっとしたお茶会をしたのだった。