羽音の果てに

第三章: 「天使の力、そしてその意味」

研究が進むにつれて、私は次第にステラが何故「救えない」と感じているのか、少しずつ理解できるようになった。彼女の持つ力は、単に癒しや物理的な力を与えるものではない。それは、存在そのものを変えるような、非常に危険な力であることが分かってきた。

ステラは、普通の人間にとってはほとんど理解できないような能力を持っていた。その力は、生命そのものに介入することができる。しかし、それを使うことで、時として存在自体が崩壊してしまうこともあった。彼女が他者を救おうとすればするほど、逆にその人が持つ本来の道を外れてしまう可能性があったのだ。

「私は彼らを助けたい。でも、私は知っている。私が手を伸ばすことが、どれだけ恐ろしい結果を招くか。」

ステラの言葉は、私の心に深く響いた。彼女は、救う力を持ちながらも、その力を使うことで自らをも滅ぼす危険を背負っている。彼女の本当の苦しみは、その力をどう使うべきかという「選択の重さ」にあった。