数年後。
僕は14歳半くらいになっていた。
あれから僕は、研究員に怖い目で見られるようになった。
理由は、色々ある。
まずひとつは『運命の力』があること。
そしてその力を取ろうと目をつけられている。
僕は、少し戦うのが嫌になってきたから、特訓も所々休んだりしていた。
体調が悪い訳では無いのに休むから、研究員は僕の事を怪しく思い始めた。
それで僕の様子を見るために、研究員が僕の部屋に来た時があった。
それが『悲劇』を呼んでしまったのだ。
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「はぁ……。」
僕はため息をついて、窓から空を見ていた。
今日の空も青くてとても綺麗だった。
空を見る度に、いつも思う事がある。
広くて大きな空は、自由なんだろうな、と。
(僕もいつか自由になりたいな。)
そんな事ばかり考えていた。
(──────僕、そんな『空になりたい』な。)
そう思ったのと同時に、僕に酷い頭痛と吐き気を感じた。
「ぅ……っ!?ぁあ……っ!?」
痛くてその場で少し唸り始める。
何かに魘されているような感覚だった。
痛くて痛くて、苦しくて苦しくて、ずっともがいていた。
その音に反応した研究員は扉を開けた。
その時の僕の瞳は、真っ白に光っていた。
「いやぁ!!!いやだぁ……っ!!!!!!」
痛くてずっと叫んでいた。
研究員はそれを見て、麻酔薬を撃って眠らせようとしたのか、何か銃みたいな物を出した。
だがその前に僕は……。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁああああぁぁぁぁあ──────!!!!!!」
真っ白な光が全体に広がらせながら叫んでいた。
これは──────『運命の力』だった。
光がやっと収まったかと思った頃には、僕には頭痛も吐き気も無くなっていた。
だがその代わり、目の前で研究員が血を流しながら倒れていたのだった。
たった一人だけだったが、その一人、というものが、とても痛く、僕の心の中に何か濁ったような気がした。
「ぇ……な、なんで……なんで……なんで……死んでいるの……?」
僕がやったものではあるが、自分でそうではないと信じ込んでいた為、とても怖くなった。
「僕が……人を……???嫌……嘘だって言ってよ!!!ねぇ!!!嘘だよ!!!死んじゃ駄目……僕、僕、人殺しになりたくない!!!なりたくない!!!」
何度揺り起こしても、研究員は起きる事は決して無かった。
どうやら僕は、本当に人を殺してしまったらしい。
目の前が見えなくなった。
研究員を揺り起こそうとした時に自分の手に着いた血を見た。
手は震えていた。
視界の中に、僕の涙も見えた。
「そんなの……嫌だよ……。」
僕は、自分が人を殺した事にとても後悔してしまった。
望んでもいない事をしてしまった。
たった一人だけだったとしても、僕にとってそれは『大きな犯罪であり、大きな罪』だった。
それにショックを受けてから、僕は元気が出なくなり、それが研究員の中で噂として広がり、皆、僕の事を怖い目で見るようになったのだ。
とても怖くて、僕はずっと部屋の中に篭っていた。
これが研究員達や周りの人達から距離を取られたり怖い目で見られるようになった理由である。
僕は、自分のした行為に、とても怖く感じながら、酷く後悔した。
体罰的な事は、たまにされるぐらいだったが、言葉と目線だけで、僕の心は『酷く傷つけられた』のだった。
夜はこの傷ついた心で泣いて、昼はなるべく泣かないように、無になっている日々だった。
(こんな日々、早く終わってくれたら……。)
そんな事を思いながら、僕は『傷ついた心を抱えながら』日々を過ごしていったのだった。
でも、まさか、『これからの出来事』で『僕の運命を大きく変える』なんて、この地点の僕は思わなかったけど。
コメント
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ふぁ…人が死んじゃうほどの力……すげぇ……。あと冷たい目で見るなよ研究員…ほとんどの責任はお前らにあるんだぞぉ……