私には好きな人がいます。でもそれは叶わない恋かもしれません。
だって……その人はいつも女の子に囲まれているんですもの。
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放課後になりました。今日も私は教室に残っている人たちへ挨拶をして回ります。
「ごきげんよう皆さん」
私がそう言うだけでみんな笑顔になってくれるのです。なんて素晴らしいことでしょう!
「姫乃さんこんにちは!」
「今日の髪型素敵ですね」
「またお話聞かせてくださいねー」
次々とかけられる声に返事をしながら席に戻っていく途中、私はとある人の横を通り過ぎます。
(あぁ……今日もまたあの子の周りに集まってるわ。もううんざりよ)
思わずそんなことを考えてしまい、慌てて首を振って考えを振り払います。
いけないわ。こんなこと考えるなんて。私はこの学園の生徒会長なのです。皆の模範となるべき存在なのに、それでは示しがつきません。だからこんな風に考えてはいけないのです。
しかしどうしても考えてしまいます。あの方は今頃何をしているのかしら。元気にしているかしら。またお会いしたいものだけれど、きっと無理でしょうね。だって私は生徒会長ですもの。生徒会長の私が、あの方とお話出来るはずがないのだわ。ああ、何故こうなってしまったのかしら。私はただ、あの方に想いを伝えたいだけなのに。
***
私はリディアーヌ・ブランシェ。男爵家の令嬢です。
貴族とは言っても、実は庶民との隔絶はあまりなく、庶民文化や価値観などもある程度理解している。そのため、自分の考えや理想を押し付けるのではなく、あくまで助言という形で他者へアドバイスを行う事が多い。また、庶民目線の意見を取り入れるために、自ら街へと出向く事もある。ただし、そのせいなのか、少々お節介焼きになる傾向も見られる。
基本的には温厚な性格だが、自分の事になると途端に自信を失いがちになり、「自分は駄目人間なのでは……?」と思い込んでしまう時もある。そういった時は、自分で自分を肯定するための儀式として「自分を褒めてあげる」事を日課にしているらしい。ちなみに、そんな時によく使うフレーズは「わーい! 今日もちゃんとお仕事できたぞ!」というもの。
「俺なんか」「私なんて」が口癖。自分に自信がなく常に卑下している。しかし実は内面はかなりの努力家で、努力すれば結果が出る事を熟知しているため、普段は自分を奮い立たせて頑張ろうとする。ただし失敗への恐れが強く、失敗した時のダメージを恐れるが故になかなか前に出られないタイプでもある。また自分の実力以上の事を望む野心家でもあり、一度こうだと決めたら最後までやり通そうとする意志の強さもある。ただこの性格が災いし、よく無理をして倒れている。
一見クールだが、実際はお調子者でいたずら好き。意外と腹黒く、悪知恵を働かせることもしばしば。しかし根っこの部分は非常にピュアであり、純粋さゆえに騙されやすい
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