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視点 🧣
墓地を出てから、少し厄介な噂を聞いた。
「正義が執行される」
「神の使いが来訪された」
「今宵悪が消し去る」
「……あー」
嫌な予感しかしない。
神族。 しかもたぶん、上からの命令を疑わないタイプ。
「面倒だけど、放っとくと活動始める前に人が減るな」
「みどり」
俺はため息をついて、噂のあった廃聖堂へ向かった。
「………ナニ」
「神族について調べておいて」
「ン」
聖堂は、崩れかけていた。
天井は抜け、柱は折れ、 それでも――“光”だけは、やけに綺麗に差し込んでいる。
その中心。
十字槍を構えた青年が、立っていた。
「……近寄んな」
低い声。
「ここは、浄化対象区域や」
足元には、 倒れ伏したモンスターたち。
生きているが、動けない。
殺してはいない。 でも、逃がしてもいない。
「へぇ」
俺は、にやっと笑った。
「殺さない天使か。珍しいね」
天使は、こちらを睨む。
「お前も、対象や亜鬼人」
「やだなぁ。俺、神族相手は苦手なんだよなぁ」
「……」
一瞬、天使は顔を顰めた。
その隙に、俺は一歩前へ出る。
「魔力系統を見るに反逆者を狙った反抗だろ」
「……お前には関係ないやろ」
直後調べ物が終わったみどりが顔を出す。
「多分鬼人狙イ。最近ハ赤鬼ノ活動ガ活発ダカラ。」
「聞きたいんだけどさ」
「神サマってそんなに偉いの?」
天使の眉が、ぴくりと動いた。
「……何の話や」
「いやさ」
俺は今までの神族の行いを言葉にする。
「神族と鬼族は長らく対立関係にあり、種族間の争いは幾度も大きな戦乱を生んだ。その結果、魔族や海妖族の繁栄に危害を加えた。」
「君はこれ……正しいと思う?」
沈黙。
数秒。
天使は、視線を逸らした。
やっぱり。
「へぇ」
俺は、少しだけ声のトーンを落とす。
「じゃあさ」
「今まで赤鬼って理由で裁いた奴ら」
「……」
「冤罪だった可能性、あるよね?」
天使の手が、震えた。
「……黙れ」
「天使なのに、忠誠心はない
でも命令は完璧に実行する」
俺は、楽しそうに言った。
「最悪の組み合わせだね」
「違う……!」
叫ぶ。
「俺は、間違ってない!」
「神の意志に従って――」
「でも、神が正しいとは本気で思わない」
その一言が、刺さった。
光が、揺らぐ。 翼が、わずかに不安定になる。
「……なぁ」
俺は、ヌンチャクを肩に担いで言った。
「君さ」
「“正しさ”を疑う気、ない?」
「……」
「ないなら、ここで壊す」
「あるなら――」
一歩、近づく。
「第三勢力、来いよ」
長い沈黙。
やがて、天使は十字槍を地面に突き立てた。
「……俺は」
声が、かすれている。
「善悪を、知らない」
初めての告白だった。
「それでも、裁いてきた」
俺は、静かに頷いた。
「じゃあさ」
にっこり。
「一緒に、”悪”を見ようぜ。
”善”を知ろうぜ。」
その後。
正式にはまだ仲間じゃない。
神族の命令網は、彼を縛っている。 立場も、しがらみも、山ほどある。
でも。
「……しばらく」
彼は、視線を逸らしたまま言った。
「お前の行動を、観察する」
「はいはい」
俺は軽く手を振る。
「そのうち壊れるから、覚悟しといて
名前は?俺らっだぁ。亜鬼族。」
「緑色。変異族ノ、幽霊。」
「金豚きょー。神族の天使や。」
聖堂を出た瞬間、空気が変わった。
さっきまであんなに澄んでた光が、急にくすむ。
――あぁ、神族の監視網が気づいたな。
「……はやっ」
「来ル」
みどりが短く言う。
同時に、屋根の残骸がずるりと滑った。
「うわっ」
俺は反射で後ろに跳ぶ。
次の瞬間、落下してきた石材を――
ぐしゃりと、きょーさんが受け止めた。
「……っと。危ねぇなぁ」
きょーさんが驚いた顔をするより早く、
石を放り投げた人物は、のそのそ前に出てきた。
白色のコンプレッションウェア。
胸下丈の赤色パーカー。
背中はマントみたいに揺れてて――猫耳フード付き。
「いやぁ、聖堂壊すなら事前連絡欲しいっすわ」
「めっちゃきょーさんと似てるじゃん!双子?」
「……誰や」
「ん?」
男は首を傾げて、にやっと笑う。
「俺?俺は
あんたの処理係でーす」
空気が、ぴしっと凍った。
「……命令か」
きょーさんの声が低くなる。
「まぁ、そーなるね」
黄色は肩をすくめる。
「“素行に問題のある個体が、第三勢力と接触”
……上、めちゃくちゃ嫌がってましたよ」
「……」
「で、連れ戻すか、破棄するか。
どっちにするかは――」
黄色の視線が、俺に向く。
「そっち次第っす」
「へぇ」
俺は笑った。
「自己紹介もなしに脅すタイプ?
神族って、ほんと効率厨だよね」
「失礼」
黄色は軽く頭を下げる。
「金豚きょー処理係に任命されました。
コードネーム:きょー3です」
「……ややこし」
「よく言われます」
その瞬間。
みどりが、すっと前に出た。
「キョーサン、産マレタ時カラ善悪教エラレテナイデショ?」
一瞬だけ。 きょー3の目が、泳いだ。
「……それは」
「英才教育ってやつですかぁ?」
俺が即座に畳みかける。
「ソレハチョット違ウ」
「神族ハ善悪ヲ教エナイ。
考エサセナイ為ニ。」
「才ガアレバ選別シ、戦イノ為ダケニ育テル。
疑問ハ堕落、反抗ハ異端。」
「ソレハ聖ト呼バナイ。ソレハ、支配ダ。」
「……」
沈黙。
きょーさんが、ぎゅっと槍を握る。
「……嘘、やろ」
きょーさんが、ため息をついた。
「まぁ……神族なんて、そんなもんっす」
「効率が正義。上が正義。
傲慢で強欲で高貴な存在。それが神だ。」
「……」
「だから」
きょー3は、きょーさんを見る。
「あなたが何を斬ったかなんて、
誰も気にしてない」
「第三勢力に神族が居るなんて知られたら立場がどうなるか。」
――その言葉で。
きょーの翼が、大きく揺れた。
「……はは」
小さな笑い。
「……なら」
顔を上げる。
「俺が悪を見る意味も、ないな」
「お?」
俺は口角を上げる。
「いいねぇ、その顔。
きょーさん」
俺はヌンチャクを回した。
「選択肢、二つ」
「今すぐ神に帰って、
何も知らなかった天使に戻る」
「それか」
一歩、踏み出す。
「常識が歪んだ世界を、
第三勢力と一緒にぶっ壊す」
きょー3が、苦笑した。
「……選ばせるんすね」
「当たり前でしょ」
俺は言い切る。
「“命令じゃない選択”をした天使なんて、
そうそう見れないからさ」
長い沈黙。
やがて――
きょーさんは、ゆっくりと翼を畳んだ。
「……破壊や」
きょー3を見て、言う。
「俺は、こいつらの観る
常識の外の世界を観てみたくなったわ」
「……はぁ」
きょー3は頭を掻いた。
「上、荒れるなぁ……」
でも、どこか楽しそうだった。
「じゃあ俺も――
しばらく様子見で」
「え、仲間?」
「半分」
きょー3はにやり。
「3:1は分が悪いんで」
俺は吹き出した。
「最高かよ」
その日。神族上層部はコードネーム:金豚きょーを手放した。
初めての堕天者。
「俺はこれから縛られずに生きていく。」
__________________
名前 金豚きょー
年齢 167歳
神族
ポジション アタッカー
武器 十字槍(じゅうじやり)
性別 男
魔法 聖
中級、初級技の例
初級 ホーリーフラッシュ
初級 エンジェルスラスト
中級 ルミナスジャベリン
中級 パージリング
身長 177cm