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昼休みの教室はざわざわと賑やかだった。
各自お昼ご飯を広げて友人との会話に花を咲かせている。
その中心で笑い声を響かせているのは桜花。
彼女は誰もが認めるクラスの中心人物である。
明るくて可愛くて誰とでも優しい。
自然と人が集まってくるその姿はまさにトップカーストそのものだった。
『ねえ桜花!もうすぐ文化祭だけど,何やりたい?』
💜「ん〜,…喫茶店とかカフェとか?」
『さすが桜花!楽しそう!!』
『みんなでコスプレして接客するのはどう?』
『それさ、メイドカフェ好きなだけじゃん、笑。』
💜「うん、楽しそうだね。…、みs…鶴屋さんはどう思う?」
桜花の視線がある1人の子に向かう。
窓際の席で音楽を聴きながら机に伏している女の子。
最初に見た時は男の子と勘違いしてしまいそうな整った顔立ち。
髪は染めていて、ピアスもバチバチだった。
桜花の声にゆっくりと顔をあげると少しだけ瞳を動かしたが、表情はそのままだった。
🧡「、いいんじゃない。」
💜「鶴屋さんもコスプレしようよ!!」
🧡「私は興味ないから。」
美咲の答えを聞いたクラスメイトから少しだけざわめきが起きた後、足音が近づいてくる。
桜花の取り巻きに机の周りを囲まれるが、美咲が顔をあげることはない。
『ちょっと鶴屋さん!』
『折角、桜花が誘ってくれてるのに、。』
💜「私は大丈夫だよ。続き話そう!」
桜花の一言で渋々戻っていく彼女たちは、去り際にも口々に美咲を非難していた。
『なんで鶴屋さんなんかに話しかけたの?』
💜「ん〜、みんなと仲良くしたいし?…ひひっ。」
『桜花ってばいい子すぎ〜!!』
わざと聞こえるように話す彼女たちに呆れながら、作曲でもしようとヘッドフォンを付けると不意にスマホから通知がなった。
📱「これ以上話しかけたら皆にバレちゃうかな?笑」
慌てて桜花を見るとばっちり目があってしまった。
にこやかに手を振る桜花から慌てて目を逸らし、音楽の世界に浸る。
実は桜花と美咲は周りに内緒で付き合っている。
中学で出会った2人は桜花の一目惚れ後、同じ高校に入学し桜花の猛アプローチを経て恋人になった。
放課後にだけつながる2人の世界。
放課後の帰り道、図書館の隅っこ、誰もいない公園のベンチ。
その時間だけはお互いを独り占めできる。
『ねえ聞いてる?』
💜「ん?何?」
桜花が取り巻きに話しかけられた隙にヘッドフォンを付け直し、周りをシャットアウトした。
これ以上何かアクションを起こすべきではない。
そう思って次の授業の準備をしていると不意に後ろから肩を叩かれた。
『おーい美咲ちゃん!!みさキング〜!』
🧡「あ、先輩!お疲れ様です。そのあだ名やめてください〜笑。」
『ははっ、笑。ごめんごめん。お疲れ様。このプリントありがとう!まじ助かった!!』
🧡「それなら良かったです。」
同じ委員会で委員長を務める先輩に議事録をプリントにまとめて渡しておいたが、役に立ったみたいだ。
大分チャラそうに見える先輩だが、仕事はきっちりやるし何より口数が少ない美咲の意見も聞いてくれるいい人だ。
🧡「お返しとして駅前の古着屋で何か奢ってください。」
『ん?、、え?』
『奢る、か…最近古着高いんよなあ、まあ俺の行きつけならいいけど。』
🧡「ありがとうございます!!笑」
おまけに服の好みも同じことがわかって、距離が縮まった。
そんな美咲が珍しく誰かと和気藹々と話すところを静かに、しかし鋭い視線を送りながら見ている人がいた。
桜花だった。
笑っている美咲の横顔、相手の声に応えて頷く仕草に理由もなく腹が立つ。
自分以外の人が美咲と仲良くする光景を見た瞬間、桜花の胸がざわついた。
なんで、私以外にあんな顔見せるの。
そんな様子に気づかず、相変わらず取り巻きは会話を続けたが桜花は笑顔を崩さなかった。
けれど心の中では拗ねていた。
あれだけ他の人と仲良くしないで欲しいって言ったのに。
モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、午後の授業をやり過ごした。
放課後になり美咲が教室を出た隙に手を引き人気のない階段の踊り場に連れて行った。
🧡「ちょ、桜花…?」
桜花の行動の理由がわからないまま、後ろをついていくしかなかった。
そんな美咲を見て、桜花は腕を組んで顔を逸らした。
💜「さっき、楽しそうに話してたの誰なの?」
🧡「え?」
💜「知らない人だった。先輩?」
🧡「、…ああ。委員会の先輩。仕事のお礼を言われてただけ。」
桜花は美咲の返答に納得がいかないとでもいう風に返事をしない。
🧡「桜花?」
💜「何。」
🧡「もしかしてだけど、嫉妬してる?」
図星を突かれて桜花は思わず焦ったように口ごもる。
💜「してないし。、違うもん、」
🧡「はは、。」
💜「してないってば、!」
🧡「かわいい、笑。」
美咲は笑いながら桜花の手を取った。
💜「そんなので許さないから、!」
🧡「うん。でも、私が好きなのは桜花だけ。」
その一言でみるみるうちに真っ赤になっていく桜花をみて微笑む。
誰にでも愛される桜花が、誰よりも欲しがったのが自分という事実。
それだけで世界の中心がひっくり返るような幸福を感じる。
💜「私以外に可愛い顔見せるのやだ、」
🧡「うん。分かった。桜花だけにするね。」
💜「うん、大好き。」
小さい子のようにぎゅっと抱きついてくる桜花を抱き締め返す。
昔はこうやってか弱い桜花を私が守ってたっけ。
そんな彼女が独占欲に溺れて私が他の人と居るのは耐えられないと言い出したのは高校生。
だから恋人関係になった。私も桜花を独り占めしたかったから。
眼鏡をかけて!!、とお願いされたのが懐かしく思える。
💜「私だけでいて、。」
🧡「だから大人しく1人で過ごしてる。わざわざ眼鏡までかけて。」
💜「でも、オーラが違うって。一定の人たちは気になってるって、!!」
🧡「大丈夫。私は桜花と居るためなら何を失ってもいいの。」
💜「うん、」
🧡「いい子いい子。」
そんな2人を引き裂くように下向を促すチャイムが鳴った。
🧡「今日は私の家に来ていいから、帰ろう?」
💜「ほんとっ、?」
🧡「勿論。」
階段を降りていく2人の距離は先ほどに比べて、近くはなかった。
ただのクラスメイトとしての距離を保ったまま歩く2人。
人それぞれに愛の形があるならば、世間から見てこの2人の愛が多少歪んだ形であったとしてもそれが2人の正解なのであった。
END